ギリシアのお土産 PART5 お菓子のカラヴァン

公開日 : 2009年03月20日
最終更新 :

 ギリシアの代表的なお菓子の店「カラヴァン」、以前からご紹介しようと思っていましたが、先日やっと取材に行ってきました。昨年末、もうすぐ空港に新ショップができると聞いたので、観光客の方々にも見つけやすいし、そのお店を紹介した方がいいかな〜と思っていたのです。が…ギリシアの常でやっぱり予定がずれこんでいるようなので、来たる本格的観光シーズンの前に早めにご紹介することに決定。でもアテネ市内郊外にけっこうたくさんのお店がありますので、見つけたらぜひ入ってみてください。

 ギリシアのお菓子というとやっぱりバクラヴァス、カダイフィ、ガラクトブレコなどが有名。でもなんとカラヴァンのお菓子はバクラヴァスだけでも100種類もバリエーションがあるのです。 

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 カラヴァンは1982年創業。パナヨティス・ドガノグロウ氏とヨルゴス・アンドニアディス氏の共同経営で、ヴクレスティウ通り(コロナキ周辺)の小さな店からスタートしました。2人ともコンスタンティノープル(イスタンブール)に住んでいたギリシア人です。ギリシアとトルコは歴史上、様々な対立がありましたが、もともと長い間、アナトリア半島(現在のトルコ)はギリシア人を主体とした東ローマ帝国の領土で、美しい都・コンスタンティノープルが築かれていました。1453年コンスタンティノープルが陥落。ギリシアはオスマン・トルコに400年間占領され、戦争や独立と激動の時代がありましたが、それでも多くのギリシア人がコンスタンティノープルに住み続けていました。しかし幾度となく政治的な事情により、ギリシア人がコンスタンティノープルを追われました。両氏もやはりそのような状況下、コンスタンティノープルを離れ、アテネにやってきたのです。

 前述の事情でギリシアとトルコの食文化は共通要素も多く、東西の融合も見られ、前述の代表的なお菓子もそのひとつ。そこで彼らは、「アテネにもバクラヴァスはあるけれど、コンスタンティノープル風の伝統の味を広めたい」と菓子店を始めることに。パナヨティスさんのお祖父さんはパン屋さんを営んでおり、幼い頃から手伝っていたため、お菓子作りには造詣が深かったのです。基本的にバクラヴァスは紙より薄いフィロ生地を幾重にも重ねてナッツなどを包み、シロップを染み込ませた層状のお菓子ですが、アテネのものは大ぶりで、ベタベタになるほどシロップがかけられているものが多いことにも気付きました。

 そこでプチ・フールのように小ぶりで指でつまんで食べることができ、シロップが少なめのものを作ろうと決心。このアイディアが大ヒット。カラヴァンのスイーツなら美味しくて小ぶり、ホームパーティのデザートにも最適。お呼ばれのお使い物としても喜ばれると、短期間で評判を高めていきました。コロナキの次にグリファダ、パレオ・ファリロ、キフィシアと次々に店を出し、今はフランチャイズでアテネ市内郊外やサントリーニ島などにも広がり、現時点では22店舗。スイーツだけではなく料理のケータリングサービスも行っています。 

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 以前ご紹介したキリーザで登場したヨルゴスくんは、カラヴァン創業者パナヨティスさんの息子さん。カラヴァンはグリファダに2軒あるのですが、最近リフォームをしたというヨルゴスくんお気に入りのエスペリドン広場のお店へ。どの店も伝統的なお菓子だけではなく、一般的なケーキやクッキー、アイス、サンドイッチなども売っていますが、ここはフレッシュジュースのコーナーもあるという新しい試みの店。モダンな明るい店内の奥にジュースバーコーナーがあります。スタッフのミレヴァさんにも最近の売れ筋なども教えてもらいました。ギリシアで写真のように紺と金でラクダのマークがあるこの店のロゴを見かけたら、気軽に入ってみてくださいね。

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 左下の写真のカダイフィはエンジェルヘアと呼ばれるパスタのような極細のペイストリーで、ナッツ類をくるんで焼き上げ、シロップを染み込ませたもの。カダイフィは私も大のお気に入り。このフィンガーサイズのものはとても人気があるそうです。2番目の写真でお皿に盛ってあるバクラヴァたちも全て人気のもの。私は一番外側のピスタチオがふりかけてある「ハヌン・フィスティキ」がお気に入り。右下はガラクトブレカキ(小さなガラクトブレコの意)。ガラクトブレコはカスタードをフィロ生地で包んで焼いたパイで、シロップをかけたものですが、セモリナ粉を使うのが特徴。タヴェルナなどではプディングのようなタイプのものも多いです。カラヴァンのはカスタードがくどくなくて、フィロ生地が香ばしくて食べやすいです。

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 正統派ではないですが、私は下の写真2点のものもお気に入り。「ケディマタキ」という名(刺繍とかレースの意)のフィンガーサイズのお菓子で、とても小さくてフィリングも少なく軽い口当たり。ギリシア人にも定番人気だそう。カラヴァンのお菓子はどれもシロップが少なめなので甘すぎず、フィロのフレッシュバターの香りがふわっと口に広がります。右下の写真は「ヴァルクーラ」(小さなボートの意)。とろーりチョコレートとフィロのコンビネーションがヤミツキで何個も食べたくなります。ほとんどが直径2,3cmの円形や3cm角、フィンガーサイズのものなので、ついつい何個もつまみたくなります。

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 グリファダのお店は9時から16時まではミレヴァさん、16時から22時まではヴァゲリスさんが親切に応対してくれます。写真は左からヨルゴスくん、ミレヴァさん、ヴァゲリスさん。グリファダはアテネ中心部からクルマやバスなら約30分、トラムで約1時間。ビーチやゴルフコース、ショッピング、レストランといろいろ充実しているので、観光でも楽しめる街です。 

 上記にいくつかお菓子の名前を書きましたが、バクラヴァスとひとくちに言っても様々な種類があるため、それぞれの名前は「踊り子」とか「女性のバスト!」などを意味する詩的な(?)名前がついています。ヨルゴスくんでも覚えきれてませんし(笑)、ギリシア人でも名前を言って買う人はいませんので、ショーケースにあるものを指差せばOKです。ひとつひとつが小さいので、個数で売るシステムではなく、箱の大きさを選んで詰めてもらいます。ギリシア人は思い切りキロ買いなのですが(笑)、ハーフキロの箱もあります。1キロで17ユーロ。下の写真の長方形の箱がハーフキロ(500グラム8.5ユーロ)。ご紹介した売れ筋を全て2つずつ入れてもらっても十分なサイズ。ただスケールで計りますので、選ぶ種類によって値段は多少の誤差があります。また「ぴったり500グラムで」と指定すればそのように調節もしてくれます。

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 旅行者の方々は滞在中にホテルでつまんでもいいし、ガラクトブレコのように卵やクリームを使っているもの以外は常温で1週間くらいは日持ちがしますので、お土産にもいいと思います。ただ持ち運ぶ際はシロップが少な目とはいえ、箱から染み出さないようビニールなどでくるんだほうがいいでしょう。カラヴァンの箱は長年、お店のマークと同じ紺と金でしたが、最近、新パッケージにリニューアル。写真のような白い箱になりました。描かれているのはコンスタンティノープル(イスタンブール)のロマンティックな風景、レアンドロスの塔です。六角形の箱も可愛いです。いろいろ詰めてもらってお気に入りを探してみてください。アテネ中心部、コロナキの店も観光客の方々にとっては行きやすいと思います。

★カラヴァン グリファダ店(エスペリドン広場店)

住所     Γιαννιτσοπούλου 3 (πλατεία Εσπερίδων) Γλυφάδα ヤニチョプール 3 (プラティア エスペリドン) グリファダ

TEL      210 8944 829

営業時間  9〜22 無休

★カラヴァン アテネ店(コロナキ)

住所      Βουκουρεστίου 11 Αθήνα ヴクレスティウ11 アシーナ(アテネ)

TEL      210 3641 540

営業時間  10〜22 無休

※他の店舗情報はこちらへ。(ギリシア語のみ) 。リニューアル中、休業中などで現在オープンしていない店も記載されているので、TELしてからお出かけください。店により多少営業時間は異なりますが、10時〜22時はオープン。

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