ギリシアの旅を深める本

公開日 : 2009年04月29日
最終更新 :

 ギリシアはイースター休暇も終わりましたが、日本はゴールデンウィーク真っ只中ですね。GWでギリシアを訪れている日本の方々もいらっしゃるかと思いますが、これからより本格的な観光シーズンを迎えるにあたって、ギリシアを旅される前に読んでおくと、より旅が面白いものになるような読み物をご紹介しようと思います。

 思い起こすと意外にけっこうあるので、網羅しきれませんが、私が独断と偏見によって!なるべく誰にでも楽しめる系を選んでみました。

 いまや世界的な作家となった村上春樹氏は80年代にスペツェス島に数年住んでいたことがあります。エッセイ「遠い太鼓」(講談社文庫)ではギリシア滞在中のことも書かれ、ロードス島周辺の小さな島、ハルキ島を訪ねたり、世界的ベストセラー「ノルウェイの森」(講談社文庫)をギリシア滞在中に書いたことなども綴られています。

「スプートニクの恋人」(講談社文庫)はギリシアの島が舞台。写真はギリシア語に訳された「スプートニクの恋人」。村上作品はギリシアでもけっこう読まれています。

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 池澤夏樹氏も70年代にギリシアに在住していたことがあり、ギリシアの詩やギリシアが舞台の小説の翻訳、有名なギリシア人映画監督テオ・アンゲロプロスの映画の字幕をはじめ、ギリシアに縁のある作家です。大英博物館の作品に因む旅をする「パレオマニア」(集英社文庫)は旅好きには興味深い本ですし、「星に降る雪/修道院」(角川書店)の中の「修道院」はクレタ島を舞台にした話です。

 日本人にとってギリシアのイメージといえばやはりギリシア神話や古代史。訪れる前にその国の歴史を知るのは旅心を誘います。しかしギリシア神話や古代ギリシア史を学ぼうと思ったらあまりにも膨大で途方にくれますし、ギリシア神話を普通に読むとけっこうドロドロした内容で疲れてしまいます。

 そこで里中満智子さんの「マンガ・ギリシア神話」(中央公論新社)がおススメ。美しい劇画でさらっと読めるわりに、解釈もかなり高レベルで、有名なストーリーをうまくピックアップ、単行本で全8巻とコンパクトにまとめられています。いまは文庫も出ているかと思います。

 遺跡や博物館での古代彫刻などにはギリシア神話がモチーフになっているものも多く、特に考古学博物館を訪ねる際など、神話の一部分を知っておくだけでかなり理解も興味も深まります。

 例えばパルテノン神殿は女神アテナに捧げられたといわれますが、これは彼女がアテネの守護女神だからです。ギリシア神話で神々がこの地の守護神を決める際、名乗りをあげたのが海神ポセイドンと知恵の女神アテナでした。この地の王の子供たちにそれぞれ贈り物をしたのですが、アテナがこの地を潤すオリーブを、ポセイドンが海を創り出しました。王の子供たちはオリーブを選んだので軍配はアテナに。よってこの地は彼女に因んでアテネと呼ばれるようになったのです。

 阿刀田高氏の「ギリシア神話を知っていますか」(新潮文庫)も気軽にさらっと神話を知るにはいいかもしれません。

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 アテネだけでなく世界遺産メテオラを訪ねる人も多いと思います。青池保子さんの名作少女漫画「エロイカより愛をこめて」(秋田書店)はNATOのドイツ人少佐とイギリス人貴族の大泥棒伯爵を軸にKGB、CIA、SISなどが入り乱れるスパイストーリー。主にヨーロッパ全土が舞台なので、どこに行くにも参考になりますが、28巻に「メテオラな日々」という番外編があります。この巻はビザンティン美術を巡る話もあり、トルコへ渡って30巻辺りまで地中海周辺をウロウロしますので、ギリシアとトルコ両国を旅する人にもうってつけです。

 この作品もコミックですが本当にあなどれません。高校生の時にクラスで回し読みなどしていましたが、大人になってからも十分楽しめるというか、かなり勉強になります。軍事評論家を脚本アドバイザーに迎えた時期もあり、大人の男性読者も多く、ヨーロッパの政治情勢のウラが詳しく学べたりします。アテネの海運会社社長で大富豪という顔を持つKGBスパイのヘラクレス、彼の愛人ドーラとクリオ、ゾルバというボディーガードが登場する話もあります。

 またこの作品も作画が現地の風景そのものといわれるくらい丁寧に描かれることで有名です。アテネやテッサロニキ、メテオラの風景は街角に至るまで写真のように精彩に描かれていて臨場感があります。アテネの連絡員はもちろん遅刻、観光局長の秘書の仕事が遅いなど国民性もユーモアたっぷりに描かれていて笑えます。どの巻から読んでも楽しめるので、訪ねる前に読んでおくとガイドブック並みに役に立つと思います^^

 書いてみてまだいろいろあるなあと思いつつ、長くなりそうなのでこの辺りでひとまず終わりにしますが、また続いて映画もいろいろご紹介したいと思います。

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