リカヴィトスの野外劇場へ

公開日 : 2009年07月08日
最終更新 :

 6日の夜、アテネのランドマークのひとつで、最も高い丘リカヴィトスにある野外劇場に、故ニーナ・シモンの名曲を聴くコンサートに行ってきました(sing the music of truth NINA SIMONE)。ニーナが長年一緒に活動したオリジナルバンドのメンバーが奏で、彼女の娘を含む4人の素晴らしいアーティストたちが歌う名曲の数々に酔いしれました。

 アテネの夏のコンサートや観劇は野外劇場が中心ですが、ここ数日、アテネの夏にしては曇り空や雷雨の日があったので、お天気を心配していましたが、雲ひとつなく晴れ渡った美しい月夜のコンサートになりました。

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 ニーナ・シモンは、主にジャズなどを独特の弾き語りのスタイルで歌い、世界中に多くのファンを持った黒人女性ヴォーカリスト。60年代のアメリカで黒人公民権運動にも参加、精力的に活動しました。晩年はパリに在住し、03年に70歳で亡くなりましたが、その数年前にラストツアーを行い、アテネではリカヴィトスの野外劇場でコンサートを持ちました。よって今回もこの劇場でこのコンサートが開催される運びに。ニーナの代表的なナンバーを歌いあげたのはリズ・ライト、リサ・セレステ・シモン、アンジェリーク・キジョー、ダイアン・リーヴスとかなりの豪華メンバー。

 21時開演、クルマで15分前には手前の駐車場に着いたのですが、満車。結局また丘の坂道をずんずん下り、やっと駐車スペースを見つけて停め、また徒歩で上る羽目に。その時点で21時を過ぎていましたが、周りはこれから会場に向かう人だらけだし、どうせ開演は遅れるんだから…とギリシャ時間が体に浸透し、全く慌てなくなってきた今日この頃…。知らない方のために説明しますと、ギリシャの観劇などの開演は遅刻者が多すぎて、めったに定刻には始まりません^^;21時ならたいてい21時半ごろになるので、ゆっくりビールを買ったりしてから席へ。

 しかし!案内係について席に誘導されると、なんとそこには既に他の人が…。はじめは案内係も私たちも先客の間違いかと思ったのですが、両者のチケットを見るとなんと指定席の番号がかぶっている!チケットを売った店のミスでしょうが、先に座っていた人たちも間違っているわけではないので、どいてくれるわけもなく、私たちとしてもいい席を求めて高いチケットを買ったのに席がないなんて「冗談じゃないわよ〜」と色めきたちました。しかし案内係のお姉さんは珍しく(?)落ち着いていて公平な人で、空いていた1列前の真ん中寄りのいい席を勧めてくれて、「後にここの席の人が来ても対処するので大丈夫」と言います。「ホントに〜?!」と思いながら不安な気持ちで開演を待っていましたが、時計を見るともう21時45分前!しかし観客は入り口からまだゾロゾロ入り続けています。

 そしてついに本来のその席の人たちが来たのですが…。約束どおり、案内係のしっかりしたお姉さんが来て説明してくれました。しかし初めはその人たちも納得できない様子…。でも私たちとしても、きちんとチケットを買ったのに、何度も席を移らなければならない渡り鳥状態では困るので経緯を話し、元々の私たちの席とかぶっていた人まで加勢してくれてギリシャ人らしく、皆でわーわーと話しまくるとなんとか決着。その席の人たちも納得して、2列前の更に真ん中寄りの席が提供されました。その後、そこには人は来なかったのでよかったのですが…満席だったらいったいどうなったのかしら…^^;

 元々の席よりいい席になったので、結果オーライですが、開演前、久しぶりに来たリカヴィトス劇場の雰囲気を楽しもうと思っていたのに…疲れました^^:コンサートや観劇はよく行っているのですが、今まで十数回行った中で、こんなことはなかったのでちょっと驚き。しかし教訓としては、全ての案内係がきちんとした対応をとってくれるとは限りませんので、とにかく早く行くに越したことはありませんね。あと何かおこっても落ち着いてしっかり自分の言い分を主張するのが大事です。 

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左からリズ・ライト、セレステ・シモン、アンジェリーク・キジョー、ダイアン・リーヴス

 さてコンサートはというと…22時すぎにやっと開演。どのアーティストも素晴らしかったですが、個人的にはニーナの声の印象が強いナンバーは、リズ・ライトの歌声がとても合っているように感じました。最初にリズが出てきて、名曲「アイ ラブ ユー、ポーギー」を歌い出した時は、太くて深い、語るようなヴォイスが素晴らしく、劇場全体からため息が漏れました。

 ニーナの娘、セレステはすごいノリノリで、会場を盛りあげ、母ニーナの思い出を語ったりしました。オリジナルバンドのミュージシャンの語るニーナのエピソードも興味深かったです。

 アンジェリーク・キジョーはダンスなどパフォーマンスもすごかったですが、ベナン共和国出身、ユニセフ親善大使でもある彼女はアフリカの女性の惨状なども訴えました。後半になるにつれ、後ろの方の席の観客が舞台前の左右に押し寄せて踊り出したりとかなりの盛り上がりでした。トリ的な存在のダイアン・リーヴスはやはり貫禄の歌いっぷり。メッセージ性の強い曲を存在感のある声で歌いあげました。

 コンサートの内容はよかったのですが、けっこうチケットが高い割りにあっさり23時半には終了してしまったので、もう1曲ずつ歌ってくれてもいいのになあ〜と思ったりしましたが、久々に野外の劇場でクオリティの高い音楽を聴くことができ、リフレッシュした夜でした。リカヴィトスの丘から眺めるアテネの夜景はとてもきれいです。音楽の余韻に浸りながら、夜景を眺めつつ丘を下って家路に着いたのでした。 

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ダイアン・リーヴス 存在感たっぷりの伸びやかな声

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