アテネのクリスマス&この季節の治安情勢について

公開日 : 2009年12月24日
最終更新 :

 アテネのクリスマスツリーといえば、シンタグマ広場。このツリーはなんと250本のモミの木を集めてできていて、クリスマスシーズンが終わったら山へ植えられることになっています。ギリシャは夏によく山火事がおこるので、木が焼け尽くされた山肌に植林されるのです。あまりエコが進んでいるとは言えないギリシャですが、これはとてもエコな取り組みだと思います。

 警官の誤射による少年射殺事件を発端にした去年の暴動では、暴徒がこのシンタグマ広場のクリスマスツリーに放火。デモ隊と機動隊の衝突、催涙弾などが飛び交う中、クリスマスツリーが炎上しているというショッキングな映像が世界中に放映されました。

 ことし12月11日のツリー点灯の際は警官が警備に当たるなどしていましたが、何事もなく無事点灯。しかし先に述べた少年の命日、12月6日は全国で大規模なデモがあり怪我人も出ました。でも去年ほどひどいことにはならず、落ち着きを取り戻しています。しかしこの日のデモは毎年恒例化するだろうと言われています。またこの事件の裁判は治安維持のため、アテネから約140kmほど離れたアンフィッサで1月20日に開催されますが、その前後も全国で警戒が必要と言われています。

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 これらの写真は先週末に撮ったものですが、やはりクリスマスツリーは昼間に見るより、暗くなってからの方が断然きれいですので、夕方ごろからどんどん広場の混雑度が増してきます。焼き栗や焼トウモロコシなどを売る屋台も増えますし、エルムー通りなどでクリスマスショッピングをする人もたくさんいてかなりの人出、とても盛り上がっていました。

 近くのザピオンや国立庭園でもクリスマスのイベントがいろいろ開催されているので、華やかなクリスマスムードの散策を楽しめると思います。ギリシャの場合、クリスマスは年が明けた1月6日のセオファニア(キリストがヨルダン川で洗礼を受けた記念日)まで続くので、年末年始はずっと雰囲気を楽しめます。

 でも広場などに出かけるならバッグは首からかななめがけにして、その上にコートなどをはおり、必要以上の現金やカードなどは持って歩かない方がいいですね。この辺りの治安は悪くないですが、写真を撮っている時など、スリなどに遭わないように気をつけてください。

 寒くなったらお茶をするのにおススメなのは、広場の向かいにあるPablic(書籍、CD,DVDなどを扱う大型店)の5Fにクリスマス直前にオープンしたカフェ。窓際の席がとれれば、広場のクリスマスツリーや国会議事堂がきれいに見渡せます。週末などはかなり混んでますが…。 

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 アテネは他のヨーロッパの首都と比べたらかなり安全な都市でした。犯罪の被害も、エクサルヒアやオモニア広場付近など治安が悪いと言われているところに近づかなければ大丈夫という感覚がありました。しかしここ数年で、周辺の貧しい国やアフリカ、アジア方面からの不法入国者が爆発的に増えているので、スリはどこでも起こります。私自身は日常生活を送っていて被害に遭ったことはなく、夜の一人歩きなどでも特に怖い思いをしたこともありませんが、やはり常に気を張っています。特に混んだバスやメトロ、人出の多い場所ではバッグに必ず手を添えていた方がいいですね。

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 また暴力的なひったくりなどはめったに聞きませんでしたが、最近、私の周辺のギリシャ人にもけっこう被害が起きています。

 閑静な住宅街の通りで、後方から走ってきたバイクの2人乗りに、蹴られてバッグを奪われたというケース。彼女は80歳くらいのギリシャ人のおばあさんですが、そんな高齢者を蹴って転ばせてバッグを奪っていったというから酷い話です。

 また若くて大柄な男性でも被害にあったケース。バイクにまたがってさあ出発という時に携帯電話が鳴ったそうです。それで電話に応対しようとしていた時に、やはり後方からカバンを強奪され、バイクで逃げられました。カバンの金具が指にひっかかったのを、犯人がものすごい力でひっぱったので怪我をしてしまいました。

 両方ともどちらかといえば治安がよい地区なので、聞いた時は驚きました。この両方のケースに共通しているのが、銀行に立ち寄った後だったということ。犯罪者はやはり銀行からねらいをつけ、尾行してくることが多いようです。世界中どこでもそうですが、今はあまりどこが危ないとか誰が危ないとかの垣根がなくなってきていますね。長年、アテネで生活してきたギリシャ人でさえ被害に遭うのですから、旅行者も十分な注意が必要です。

 最近は旅行者でも旅先のATMを使って現地の通貨を引き出せるサービスを利用したりしますが、なるべく日本で両替をしてきて、銀行やATMに行くのはできるだけ避けた方がいいと思います。

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 ちなみに上の写真のクリスマスツリーは私のメトロ最寄り駅ノミズマトコピオに設置されたもの。薬物中毒の更生施設の患者さんたちが作ったものだそう。手作りの飾りはなんと折り紙!鶴(?)もどきのものも飾られていますが、なんかちょっと折り方が違ってるものも多いみたいだけど…。ことしは日本でもずいぶんと芸能界の薬物汚染が話題になりましたが、何はともあれ折り紙文化は薬物中毒の患者さんの地道なリハビリなどにも役立っているのですね。

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 いいニュースを見つけるのが難しい今日この頃ですが、クリスマスイブの朝は近所の子供たちが聖歌を歌いにやってきます。リコーダーやトライアングルなどで演奏してくれて、終わったらコインやお菓子をあげたりします。大晦日の日もやってきますが、まだ近所でこの風習がまだ残っていることにほっとし、子供たちの可愛らしい歌声や笑顔には癒されます。それでは…素敵なクリスマスとよいお年をお迎えください。

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