ガソリン運送業者組合のストの影響

公開日 : 2010年07月30日
最終更新 :

 26日から始まったガソリンを輸送するトラックやタンクローリーなど運送業者のスト。ガソリンの欠乏で約8割のガソリンスタンドが休業に追い込まれ、営業しているスタンドにはガソリンを求める車両が長蛇の列をなしています。

 5月の暴動以降、かなりのダメージを負っている観光業界にとっては更なる打撃です。ギリシャは夏の観光ピークに達しているのに、観光バスがストップしてしまう状況も。また8月といえばギリシャ人のバカンスが本格的に始動。周りにもバカンスの計画を立てたものの、ガソリンを入れられないとせっかくの休暇に出かけられないとパニックの人々もいます。スーパーなどでは生鮮食品が品薄になっている店舗もあるようです。

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 そもそもなぜ彼らがストをおこしているかといえば、ギリシャ政府がガソリン輸送に関する規制緩和策を言い出したからです。今までガソリンの輸送は輸送営業免許(営業許可権)を持った一部の事業者に限られていました。しかし財政危機の中、消費税のアップに伴いガソリンが高騰、輸送コストの面から全てのものが値上がりをしていきました。そんな中、輸送システムを変えることによって、全体的な物価の底下げを狙った政府が、ガソリン輸送の門戸を広げようとしました。EUからの改革要求もあり、一気に話が進みました。

 ところが今まで営業免許を持っていた事業者たちは、その営業許可取得にけっこうな金額を支払っていました。それがここにきて、ガソリン輸送のビジネスを始めたい人は資金なしで誰でもすぐに開業できる、EUからの外国資本がきて事業所をオープンすることも可能になるというわけ。2013年までに解禁の動きを見せています。それに対して元々の事業者たちがフェアではないと反発をしているという状況です。

 我が家はたまたまこのストが始まる前になんとなく何かがおこるような気配を察知(?)していて、ガソリンを満タンにしていたのでよかったのですが、近所でも明日からバカンスに出かけようとしていたのにクルマで出かけられない、帰省もできない、別荘にも行けないとパニック状態になっている人もいます。

 また観光バスのストップで観光客がホテルに足止めになったりと深刻な状況も。今週後半に差し掛かり、周囲ではなんとかガソリンがゲットできたという話も聞きますので、いくらかマシになってきたような気もしますが…。

 政府は「ギリシャは観光がメインの国。観光客に迷惑をかけることだけは避けたい。観光業に従事しているギリシャ人は90万人もいるのだから、その人々の生活のためにもこれ以上の異常事態はさけたい」とし、運輸大臣ディミトリス・レパス氏と運送業者組合のトップとの話し合いも行われましたが、決裂に終わりました。

 政府は更にストを続けるならば営業免許を剥奪、逮捕もやむを得ないとしていますが、収拾の目処はたっていません。

 追記  8月1日の時点で事態は収束に向かいました。 

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