【アメリカ食生活】メリーランドのローカルフード・海の幸編
チェサピーク湾の北部から東側沿岸を囲むように位置するメリーランド州は、湾に面したボルチモアやアナポリスなどの湾岸都市を中心に、古くから海運産業や漁業が盛んで、特徴的なシーフード料理が多くあります。メリーランドならではのローカルグルメを一挙紹介します。
■メリーランドの代名詞的グルメ・ブルークラブの料理いろいろ
・スチームドクラブSteamed Crab
北米大陸の大西洋岸からメキシコ湾にかけて広く生息しているブルークラブ(学名Callinectes sapidus、ワタリガニ科アオガニ)。メリーランド州では毎年4月から12月までレジャーとしての蟹釣りを楽しむことができます。
スチームドブルークラブはメリーランドの代表的な料理のひとつで、これもメリーランド発祥のスパイスである、オールドベイ(Old Bay)というスパイスをたっぷり振りかけ、丸ごと蒸したカニ料理です。
オールドベイ・スパイスを使ったメリーランドの郷土料理は数おおくあり、このスパイスがメリーランドの味の特徴でもあります。
食べる時は、皿を使わずにテーブルに紙のクロスや新聞紙を敷き、豪快に木槌で殻を叩きながら蟹の身を食べます。1ダース単位から売られていることが多く、大勢でワイワイ食べるのが基本。レストランではマーケット・プライス(時価)であることが多いので、オーダーの際確認をお忘れなく。
・メリーランド・クラブスープMaryland Crab Soup
スチームドクラブと同じくブルークラブの蟹肉をほぐしたものと、ミックスベジタブル(ニンジン、スイートコーンなど)、オールドベイ・スパイスを使った、トマト味ベースでほんのりピリ辛のスープです。メリーランドでシーフードを扱うレストランでは、たいていクラブスープのメニューがあります。
・クラブケーキCrab Cake
ここでいうケーキとは、デザートのケーキではありません。意訳するなら「蟹肉ハンバーグ」といえばわかりやすいです。Deep Fried(揚げ)とBroiled(オーブン焼き)のふたつの調理法がありますが、とりわけメリーランド風は、ふんわりボール型に蟹肉をまとめてオーブンで焼くBroiledのほう。レストランだけでなく持ち帰り専門店Carry Outや魚市場Seafood Marketなどでも定番のメニューのひとつであり、またそれぞれ独自のレシピがあるので、食べ歩いて味の違いを楽しむこともできます。サンドイッチやサラダとの組み合わせとしてもポピュラーです。
ソフトシェル・クラブSoft Shell Crab
脱皮したばかりで殻がまだ薄く柔らかい状態のブルークラブが、ソフトシェル・クラブとして売られています。そのままフライパンで焼いてもおいしいですが、天ぷらやフライにしてもとてもおいしくいただけます。メリーランド州のシーフードレストランの多くではソフトシェル・クラブを丸ごとフライにしてパンで挟んだサンドイッチもあります。
■メリーランドは牡蠣もおいしい
大西洋に面したデルマルバ半島南部に位置するシンコティーグ島(バージニア州に位置しますが、メリーランドとの州境にある)をはじめ、チェサピーク湾では牡蠣やハマグリなどが多く獲れることで知られています。このエリアの牡蠣のシーズンは11月から翌年3月まで(※漁獲状況によって毎年若干の変動あり)です。
メリーランド州の公式ツーリズムページでおすすめのメリーランド風牡蠣料理は、カキフライFried Oyster とオイスターシチューOyster Stew で、どちらもレシピにはこれまたボルチモア発祥のオールド・ベイOld Bay Spiceというスパイスが使われています。
ちなみに、オールドベイ・スパイスOld Bay seasonings を現在生産・販売しているマコーミック社の本社はメリーランド州ハント・バレーにあります。
シーフード以外にも、ボルチモアで100年以上愛されている食べ物や飲み物がほかにもあります。また次回紹介します。
筆者
アメリカ・メリーランド州特派員
ベスト加島 聡子
神奈川県出身で、在米20数年になります。現在メリーランド州北東部の町で、家庭菜園とクラフトアートを楽しんでおります。
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