【メリーランド州ボルチモア】早すぎた天才作家エドガー・アラン・ポーの終焉の地

公開日 : 2021年12月28日
最終更新 :

町の歴史としては17世紀までさかのぼり、アメリカの中では古都の一つであるボルチモア。数多くの著名人も輩出しておりますが、今回は19世紀前半にボルチモアで活躍していた作家で詩人のエドガー・アラン・ポーが居住していた家と墓をご紹介します。

■波乱に満ちた生涯を送った天才作家・ポーの墓

後世の推理作家にも大きな影響を与えた史上初の推理小説「モルグ街の殺人」、ボルチモアを本拠地とするNFLフットボールチームのチーム名にも反映されている『レイブン(大鴉 おおがらす)』という詩、著名な日本の推理作家江戸川乱歩のペンネームの基となった名前でも知られるエドガー・アラン・ポーEdgar Allan Poeは、19世紀前半に小説家、詩人、雑誌編集者と様々なジャンルで活躍しましたが、1849年10月7日にボルチモアで40歳の若さで謎の死を遂げています。


ボルチモアにはポーが作家としての活動を始めた頃に住んだ家と、墓が残されており、2018年よりポーの祥月(亡くなった月、一周忌以後)である10月には、国際エドガー・アラン・ポー・フェスティバルというイベントが開かれています。ボルチモア土産専門店には特徴的なポーの顔を印刷したシャツやグッズが売られているなど、ボルチモアの代表的な人物の一人として広く認知されています。


ダウンタウンの一角にある古い教会墓地Westminster Hallの一角に、ポーの墓があります。墓地は1786年に設立され、独立戦争やボルチモアがマクヘンリー要塞の戦いで有名な1812年戦争などで功績のあった人々の墓が多くあり、墓石や埋葬方法もかなり歴史を感じる古い墓地の一つです。

ポーの墓があるウェストミンスター教会
ポーの墓があるウェストミンスター教会

アメリカの独立戦争で功績のあった、ポーの祖父の墓も同じ墓地にあります。

ポーの祖父の墓
ポーの祖父の墓

ポーの墓は、最初墓地内に簡素な墓石に番号が付いただけの状態でおかれましたが、ボルチモアで学校教師をしていたサラ・シガーニー・ライスという女性が、約10年間ポーの墓を再建する募金活動をして、1875年に大理石の記念墓(メモリアル・グレイブ)が墓地内に完成し、現在に至っています。最初にポーが埋葬された箇所には埋葬地であったことを記す石碑があります。

没後25年に建てられたポーの記念墓
没後25年に建てられたポーの記念墓
最初に埋葬された場所を示す石碑
最初に埋葬された場所を示す石碑
エドガー・アラン・ポーの墓・ウェストミンスター埋葬地
住所
519 W. Fayette St., Baltimore MD 21201
開門時間
毎日午前8時~午後4時30分 、ガイド付きツアー(4月~11月第1、第3金曜・土曜)は別途要予約。
アクセス
ライトレイル レキシントン・ストリート駅から徒歩約8分、MTA地下鉄レキシントン・マーケット駅から徒歩約5分

■エドガー・アラン・ポーの家博物館

ボルチモア市内に現存する「エドガー・アラン・ポーの家」は彼の終(つい)の家ではありません。ポーの墓からほど近いところにあるレンガ造りの小さなタウンハウスにポー一家が暮らしたのは1832年頃から1835年までの数年間。屋根裏部屋付き2階建て。寝室3つと台所、居間だけの簡素なつくり。当時の質素な暮らしぶりが偲ばれます。1941年に地域一帯の建物の解体計画が持ち上がった際、ポー一家が暮らした家の保全運動がはじまり、修復を経て1949年に博物館としてオープンしました。資金難などで数回の閉館や管理団体の変更をしたのち、2013年10月に再オープンして現在に至ります。博物館の周辺はあまり治安の良くないこともあり、事前予約の上、当日は玄関のドアをノックして中にいるキューレーターに鍵を開けてもらわないと入れない方法を取っています。

ボルチモアにあるポーの家(外観)
ボルチモアにあるポーの家(外観)

ボルチモア市内各所にはほかにもポーに関連する場所があり、それらを訪ねて歩くウォーキングツアー では、ポーにまつわるポーの家、亡くなる直前にポーが立ち寄った酒場、ポーの墓、ボルチモア大学構内にあるポーの銅像を見て回ることができます。

エドガー・アラン・ポーの家・博物館
住所
203 N. Amity Street, Baltimore, MD 21223
開館日
木曜~日曜 午前11時~午後4時
入館料
大人$10 12歳以下$5 65才以上$8 ※見学は事前要予約
アクセス
ウェストミンスター墓地のポーの墓から徒歩約12分。
墓石にあるエドガー・アラン・ポーのレリーフ
墓石にあるエドガー・アラン・ポーのレリーフ

筆者

アメリカ・メリーランド州特派員

ベスト加島 聡子

神奈川県出身で、在米20数年になります。現在メリーランド州北東部の町で、家庭菜園とクラフトアートを楽しんでおります。

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