【アメリカ・メリーランド州】ボルチモア・ワシントンモニュメントと大理石の階段

公開日 : 2022年04月22日
最終更新 :

ワシントン記念塔というと首都ワシントンDCにある全長555フィート(約169m)のオベリスク(上部に向かってやや細くなる四角柱)が最も有名ですが、隣町であるボルチモアには、ワシントンDCの記念塔よりも70年近く前に完成したワシントン記念塔があります。規模は小さいながらも、この塔からさまざまなボルチモアの歴史的背景を知ることができます。(撮影・掲載許可済)

ボルチモアのワシントン記念塔(奥)と塔の北側にある騎馬像。この像は独立戦争で活躍したボルチモア出身の軍人で政治家のジョン・イーガー・ハワードJohn Eagar Howard
ボルチモアのワシントン記念塔(奥)と塔の北側にある騎馬像。この像は独立戦争で活躍したボルチモア出身の軍人で政治家のジョン・イーガー・ハワードJohn Eagar Howard

■1815年完成・全米で最初の「ジョージ・ワシントン初代大統領」記念碑

ボルチモアの鉄道玄関口、ペン・ステーションPenn Stationからチャールズ通りCharles Street沿いに南方面に15~16分ほど歩くと、通りの真ん中が細長い公園地帯になり、歴史的な風情のある建物が立ち並ぶマウント・バーノン地区Mount Vernon neighborhoodがあります。地区の中心には円柱の塔の頂点にジョージ・ワシントン初代大統領の立像を配したワシントン記念塔Washington Monumentがあり、周囲にはウォルターズ美術館The Walters Art Museum、ピーボディ音楽院Peabody Institute of the Johns Hopkins University 、マウント・バーノン・プレイス・メソジスト教会Mt. Vernon Place United Methodist Church、メリーランド歴史文化センターMaryland Center for History and Culture などが立ち並ぶボルチモアの歴史地区です。


ここにある「ワシントン記念塔」は1815年に完成し、最近では建立200年にあたる2015年に向け、大規模な修復が施されました。頭頂部のワシントン像を含めた全長は178.8フィート(約54m)、展望台は120フィート(約36.5m)という高さですので、小ぶりな塔ですが、1799年に亡くなった初代大統領ジョージ・ワシントンの記念碑としては、全米で最も古い建造物として知られています。首都ワシントンDCにある有名なワシントン・モニュメントの方は、1848年に建設開始しましたが、南北戦争などによる工事の長期中断を経て、1885年に落成していますので、いかに早期の記念塔であったかがうかがえます。

ボルチモアのワシントン記念塔全景
ボルチモアのワシントン記念塔全景

■メリーランド産の大理石

ボルチモアとワシントンにあるふたつの「ワシントン記念塔」には意外な共通点もあります。ボルチモア郊外(ボルチモア郡)にはかつて良質な白大理石の採掘場があり、ボルチモアとDC両方のワシントン記念塔には同じ採掘場から掘られた大理石が使われています。19世紀半ばのボルチモアでは、あらゆる公共建物やタウンハウスなどの一般住宅にいたるまで、玄関口の階段を大理石でつくることが流行し、家の大理石の階段を磨くことがボルチモアの伝統ともいわれていたそうです。

記念塔への入口部分
記念塔への入口部分

■中世の古城のような塔内の階段を上る

塔の内部はギャラリーと呼ばれるロビー空間に塔の歴史や概要を紹介するスクリーンパネルがあり、中央部には塔の先端まで上がれる227段のらせん階段への扉があります。階段は人が交差するのがやっとで、最上階の展望部分もたいへん狭いため、一度に階段エリアに入れるのは5人までと制限されています。壁はレンガ造りで階段は大理石製。館内案内の方にうかがうと、レンガ壁は2015年に修復されたものであるが、階段の大理石は建設当時からのオリジナルであるとのことです。
227段の階段はさほどきついものではありませんが、窓がほとんどないレンガ壁だけの空間のなか、狭い大理石のらせん階段を、足を踏み外さないようゆっくり回るように上り下りすると、中世の世界にタイムスリップしたような不思議な感覚を体験できました。

階段のスタート地点
階段のスタート地点
階段の途中部分。周りに見えるのはレンガ壁だけ
階段の途中部分。周りに見えるのはレンガ壁だけ
最上部に到着。足場は非常に狭いです
最上部に到着。足場は非常に狭いです

最上部の展望台は、バルコニーの手すり位置が低すぎることから、現在は階段の踊り場からガラス越しにしか見学できませんが、それでも東西南北四方の景色がはっきり見ることができます。

展望エリアから見えるボルチモアのダウンタウン
展望エリアから見えるボルチモアのダウンタウン
ワシントン記念塔の南側にある騎馬像は、ジョージ・ワシントンの軍事支援をしたフランスのラフィエット侯爵の像 Marquis de Lafayette
ワシントン記念塔の南側にある騎馬像は、ジョージ・ワシントンの軍事支援をしたフランスのラフィエット侯爵の像 Marquis de Lafayette
ボルチモア・ワシントン記念塔(The Washington Monument )
住所
699 Washington Place, Baltimore, MD 21201
開館時間
水曜日~日曜日 10:00~17:00
入館料
塔の階段を上る場合は大人$6、子供$4。土台部分(ギャラリー階)のみの見学は無料。
アクセス
公共交通機関利用の場合は、Charm City Circulator(無料の市内巡回バス)のパープル・ラインPurple Lineに乗車、北方面ルートは#307 Washington Monument停留所下車、南方面ルートは#324 Madison Street または#325 Centre Street下車。

筆者

アメリカ・メリーランド州特派員

ベスト加島 聡子

神奈川県出身で、在米20数年になります。現在メリーランド州北東部の町で、家庭菜園とクラフトアートを楽しんでおります。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。