【タイ・バンコク】9月1日から規制緩和▶営業を再開した百貨店や飲食店の様子を在住者がリポート

公開日 : 2021年09月06日
最終更新 :
筆者 : 日向みく
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▲9月5日撮影 Central Worldの様子

サワディーカー。バンコク2特派員のぴっぴです。感染力の強い変異ウイルス「デルタ株」による感染急拡大をうけ、首都バンコクを含む厳格最高管理区域(ダークレッドゾーン)では2021年6月28日より店内飲食禁止、7月12日からは事実上のロックダウン(都市封鎖)、さらに多数の業種の営業禁止や運動施設や公園の閉鎖、夜間外出禁止など、新型コロナウイルス対策のための非常に厳しい措置がとられていました。

しかし8月末頃からようやく新規感染者数が減少に転じ、タイ政府は8月27日、各地域で実施されている規制を9月1日から緩和する方針を決めました。今回は規制緩和後の9月5日時点における、飲食店やショッピングモールなどの営業再開で徐々に活気を取り戻しつつあるバンコクの様子をお伝えします。

規制緩和前の8月下旬▶バンコクのショッピングモールの様子

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▲8月25日撮影 Siam Paragonの様子

まずは規制緩和される前の8月下旬におけるバンコクのショッピングモールや飲食店の営業状況についてです。もっとも事態が深刻である厳格最高管理区域(ダークレッドゾーン)に指定されているバンコクでは、6月28日より店内飲食禁止、7月20日よりショッピングモール内の飲食店閉鎖などの規制が敷かれ、一時はモール内の飲食店に対しテイクアウトやデリバリーですら禁止となっていました。

しかしロックダウン以降もタイ全土の1日あたり新規感染者数の急増はおさまらず、8月中旬には新規感染者数が2万人を超える日が続く非常事態となりました。8月25日にバンコクの大型ショッピングモール「サイアム・パラゴン(Siam Paragon)」と「セントラル・ワールド(Central World)」を訪れると、常時であれば華やかでキラキラしたこの場所も、食料品店・薬局・銀行などをのぞきすべて閉まり不気味なほど真っ暗になっていました。

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▲8月25日撮影 Siam Paragon(スーパー・薬局・銀行のみ営業)

飲食店については今年の4月18日から店内アルコール提供の禁止、そのほか店内の収容可能人数の制限など、長期にわたって厳しい制限が続いています。売り上げが低迷するいっぽう、新型コロナの給付金や補助金ももほとんどなく、多くの店舗が耐えきれず撤退に追い込まれ、人気店ですら閉業が相次いでいます。

また私たち消費者も、新規感染者の急増による不安と緊張感が高まり、お子さんがいるご家庭の多くは3月から続く休校とオンライン授業の限界を感じて疲弊し、さらにこの長期にわたる店内飲食禁止でリフレッシュする場所を失ったことで、SNS上では「精神的に疲れた。もう限界」といった在タイ邦人の悲痛な声が多く聞かれました。

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▲8月25日撮影 Central Worldの様子

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▲8月25日撮影 Central World(飲食店はテイクアウトやデリバリー販売のみ)

タイ国民の不満も最高潮に達するなか、プラユット政権の新型コロナ対策を批判する反体制デモが盛んにおこなわれ、警察隊とデモ隊の衝突が激化。街中は重苦しい雰囲気に包まれ、バンコク在住者にとって心穏やかでない7・8月となりました。

規制緩和後の9月上旬▶バンコクのショッピングモール・飲食店の様子

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▲9月5日撮影 Central Worldの様子

しかし8月下旬頃からようやくタイ全土の1日あたり新規感染者数が2万人を割り込み、減少傾向に転じました。9月5日の新規感染者数は1万5452名、死者数は224名となっています。8月24日には、タイ保険省のタイ疫病管理局が「ピークアウトした」という認識を発表。「9月から10月にかけて陽性率は減少し状況は改善するだろう」という見解をしめしました。

8月27日には各地域で実施されている規制を9月1日から緩和する方針を決め、ショッピングモールや飲食店の営業についても条件つきで許可されることになりました。なお、アルコール提供禁止や映画館やスパなどの営業禁止、夜間外出禁止といった対策は継続となっています。

■ダークレッドゾーンに課されている主な規制

(※2021年9月1日から適用)

・午後9時~午前4時は外出禁止

・公共交通機関は乗客数を75%以下に制限

・25人以上での活動は禁止

・レストランは午後8時に閉店。店内飲食は、エアコンなしは75%まで、エアコン付きは50%まで使用可

・ショッピングモールは午後8時閉店

・映画館、スパ、遊園地、フィットネスセンター、スイミングプール、会議室は営業不可

・美容室、理髪店は営業可能(ひとりあたり2時間以内利用)

・マッサージはフットマッサージのみ

・屋外スタジアムは午後8時まで営業

ショッピングモールなどの商業施設は午後8時まで営業を認められ、飲食店は空調がある室内で客席の50%、屋外では75%まで入店を許可されます。理美容室はひとりあたり2時間以内の利用、マッサージ店はフットマッサージのみが認められます。

9月5日に再びサイアム・パラゴンとセントラル・ワールドを訪れると、飲食店やアパレルなど多くの店が営業を再開し、明るい表情でショッピングや食事を楽しむ人々の様子を見ることができました。こういった光景を見ると、以前のような日常を少し取り戻せたような気がしてホッとします。

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▲9月5日撮影 Siam Paragonの様子

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▲9月5日撮影 ソーシャルディスタンス維持を徹底する飲食店 (Siam Paragon)

タイ政府から規制緩和の発表があった当初は、店内飲食の条件として「従業員と客のワクチン接種もしくは陰性証明が必要」という話があがっていました。しかし「それは厳しすぎる」との抗議をうけて条件が見直され協力要請にとどまることになりました。9月5日現在はほとんどの店でワクチン接種証明や陰性証明がなくても入店できます。

ただし10月からは本格的にその条件が義務化される可能性も示唆されています。現在タイ全土のワクチン接種率はまだ11%ほどなので、より早急なワクチン確保と供給を進めてほしいところです。

みんなが待ち望んでいた店内飲食解禁により、SNS上では「やっぱり外で食べるご飯は最高!」「久々にリフレッシュできて幸せ」といった喜びの声が上がっています。私も2ヵ月ぶりにカフェでお茶しましたが、お店で味わうコーヒーは格別ですね。

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▲9月5日撮影 店内飲食を再開した日本食レストラン (Siam Paragon)

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▲9月5日撮影 フードコートも営業を再開 (Siam Paragon)

飲食店側も「やっと営業を再開できる」と安堵するいっぽう、いつまた規制が強化されるかわからないといった不安も拭えず、店舗によっては「デリバリー&店内」の両方を営業することで従業員の負担が増えるといった現状もあるようです。

9月5日時点でのモール内の飲食店については、9月1日の規制緩和後もシャッターをおろしたまま、休業を継続している店舗も複数ありました。

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▲9月5日撮影 一部の飲食店のシャッターはおろされたまま (Siam Paragon)

10月1日からタイの国境開放?今後の見通し

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▲9月5日撮影 久々の店内飲食を楽しむ人々 (Central World)

タイではデルタ株による感染拡大が8月末にピークアウトしたという見通しから、9月1日からロックダウンの規制が一部緩和されて国内のムードは明るくなってきています。ただし油断はできません。新規感染者数は減少傾向にあるものの、重症・死亡数は高止まりで、タイ全土のワクチン接種率もまだ低いままです。

いっぽう9月2日にはタイの観光大臣が「10月1日からの開国を支持する」という声明をだしており、タイ政府の「With コロナ」へ舵をきる方針がうかがえます。その流れもあってタイでもほかの諸外国と同様に、ビジネス再開のためにいわゆる「ワクチンパスポート」が必要な未来が迫ってきているのかもしれません。随時状況は変化しておりますので、タイ在住者やタイ渡航予定の方は最新の情報収集に努めてください。

私自身も感染予防を徹底しながら、今後の流れを注視していきたいとおもいます。またなにか状況が変わりましたら現地からリポートしますね。それでは皆様、また次回の記事でお会いしましょう!

≪参考ウェブサイト≫

筆者

タイ特派員

日向みく

バンコク在住ライター。中南米やアフリカ、中東を含む世界43ヵ国を訪れた旅好きです。

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