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スペイン/バルセロナ特派員ブログ 岸田 早希子

スペイン・バルセロナ特派員が現地からヨーロッパ地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。


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去る12月21日に行われたカタルーニャの州議会選挙。
独立宣言を強行突破し、政治的に不安定な状態への打開策として(おそらく中央政府は”反独立派が勝利し事態に決着がつくだろうとの意図のもと)前倒しで行われました。

投票率は83%と史上最高を記録し、当然のことながら州民の関心の高さがうかがわれました。結果は”反独立政党が総合的には得票数を独立派に上回った”ものの、得票数の割合に応じて各政党に議席数が割り当てられる比例代表制のため独立派が過半数の議席を確保し、独立派の勝利となりました。若干得票数に違いはあるものの2015年に行われた選挙と全く同じ結果になっています。


■ カタルーニャ州会議選挙の結果概要

第一党 Cuidadanos 37議席(市民党:反独立派中道右派)

第2党 Junts per catalunya 34議席(カタルーニャのための結束:独立中道右派)

第3党 ERC(Esquerra Republica Catalana) 32議席 (左派カタルーニャ共和党 :独立中道左派)

第4党 PSC(Partidos solialistas de catalunya) 17議席(カタルーニャ社会党:反独立中道左派)

第5党 Cec(Catalunya en comun) 8議席 (全ての人のためのカタルーニャ:反独立急進左派)

第6党 CUP(Candidatura d’Unitat Popular) 4議席(人民統一候補:独立急進左派)

第7党 PPC(Partido popular Catalunya) 3議席(国民党:反独立中道右派)

今回、前回の選挙では一つの政党として参加していたプチデモン前首相を代表とする独立派のJxSi(Junts per Si)が今回の選挙ではJunts per catalunya(カタルーニャのための結束)とERC(Esquerra Republica Catalana:左派カタルーニャ共和党)の2党に分裂したため議席の割り当ても分かれどちらの政党も第一党となることはできませんでした。
代わりに反独立派のCuidadanos(市民党)が大幅に議席数を伸ばし第一党となりました。反面、ラホイ首相の属する国民党は前回の選挙より大幅に議席数を減らし(前回の選挙では11議席)、国民党の票が同じ反独立中道右派の市民党に流れたことが想定されます。

■ なぜ反独立派が得票数で上回るのに、独立派の勝利といわれるのか?
総議席数135席のうち、独立派の政党が合計で70議席を獲得したため過半数となり独立派政党のみでの連立政権の樹立が可能になります。州首相は連立政権の代表が州首相に任命され、また議会の決定は過半数により行われるため独立に有利な政策の決定がしやすくなるという仕組みです。
ちなみに市民党は第一党となりましたが、残りの反独立派政党の議席数をすべてあわせても連立政権を立てるには議席数が足りません。また連立を組むには反独立派といっても、掲げる政策が違いすぎます。


■ これからまたカタルーニャは独立を試みるのか?
独立派が勝利したものの、Junts per catalunya(カタルーニャのための結束)の党首であるプチデモン前首相はまだベルギーに滞在しており、スペインでの逮捕状は取り消されていません。方や、ERC(Esquerra Republica Catalana:左派カタルーニャ共和党)の党首 ユンケラス氏も反逆罪で告訴され、拘束されている状態です。なお10月27日に突発的に行われた独立宣言に関しては独立派にも疑問を呈する動きがあったため、まずは中央政府との対話を試みる方法で進められるかと思います。そのため今回は独立急進派であるCUP(人民統一候補)とは連立を組まず、代わりに反独立派であるCec(全ての人のためのカタルーニャ)との連立を試みるともいわれています。
Cecは反独立派ではあるものの、反中央政府のスタンスをとっており、特に今回独立選挙に対する中央政府の暴力による弾圧や独立運動のリーダーの拘束に対して強く抗議をしています。そのため独立に対する考え方は違うものの連立は不可能ではないでしょう。その場合独立そのものよりも、自治権の拡大に向けての話し合いが行われていくことになるかと思います。


選挙後、プチデモン前首相がラホイ首相にスペイン国外での対談を申し入れたところ、たった2時間後に断られたようで、まだまだ事態の収束には時間がかかりそうです。
個人的には、そもそもカタルーニャが独立を強行突破しなければならなくなったのは中央政府が断固として対話を拒んできた結果に思えるので、今回の選挙の結果を受けて中央政府の歩み寄り、少なくとも弾圧ではなく対話を望みます。
今回の選挙ではラホイ首相の属する国民党が大惨敗したことも、カタルーニャ州民の民意を表していると思います。

いずれにしろ来る2018年が独立問題にとっての正念場になることは間違いなさそうです。


2018年1月 1日

10月1日に”非公式”で行われたカタルーニャの独立を問う住民選挙。ここまで問題が長期化し、国際化するとは現地で暮らしているものとしても想像しませんでした。

正直なところ、現時点でどうなっていてこれからどうなるのか、バルセロナにいても客観的に事実を把握しにくい状況ではあります。(新聞を読んでも”独立派”か”反独立派”かで事実の捉え方が全く異なってきますし、人伝えに聞いてもその人が”独立反対”か”独立賛成”かのスタンスによってかなり事実に対する解釈が違ってくるのです。)

また日本ではカタルーニャ独立運動に関してこれまであまりニュースにならなかったこともあり、今回の件に関して突然プチデモン州首相が勝手に住民投票を行い独立宣言をして問題を起こしたと思われている印象も受けるので、できる限り客観的に今回の独立問題の動きをまとめてみました。

■ 近代独立運動の直接のきっかけになった2010年のカタルーニャ自治憲章の違憲判断

“独立運動”の起源をさかのぼれは、何世紀も昔になってしまうのですが、おそらくここ数年独立運動が高まりをみせたのは2010年最高裁判所によるカタルーニャ自治憲章の違憲判断が直接のきっかけといわれています。
カタルーニャ自治憲章は2006年に国会にて過半数賛成をもって制定されましたが(当然のことながら現在よりもカタルーニャに自治権が認められることを記した法律です。)その1年半後2007年に国民党(当時の党首は現首相のマリアノ・ラホイ氏)によって違憲であると提訴を受けて最終的に2010年に違憲判決が下されました。
この判決を受けて、独立運動の機運が高まり、独立支持率が急上昇したといわれています。同2010年にはバルセロナにてカタルーニャ独立運動の歴史において最大規模の”自治抗議デモが行われています。参加者は100万人にも上るといわれ(バルセロナの人口は170万人なので、約半数以上の人が参加したことになります。)。このデモは独立支持団体Omnium cultural(今回2017年の独立運動にてこの団体のリーダーが、反逆罪で10月末に拘束され現地では釈放を求めた運動が続いています。)が指揮をとり、カタルーニャ州議会と国民党(PP)と市民党(Ciudadanos)以外の全ての政党が指示・参加を表明しました。

■ 2014年 カタルーニャの独立を問う非公式の住民投票

2014年11月、当時のマス首相により非公式の住民投票が実施されました。スペイン中央政府は阻止の意向を示したものの今回2017年の選挙のように直接的な妨害を行うことはありませんでした。選挙のの意図は”投票での独立賛成意思が直接カタルーニャの独立につながるわけではないが、スペイン政府と交渉するための政治的権限を得るきっかけになるだろう”というものでした
この選挙にはカタルーニャ住民の3分の一にあたる230万人が参加。約80%が”賛成”に投票をしたものの、投票率の低さから中央政府は選挙自体を”大失敗であった”と位置づけました。

■2015年のカタルーニャの州議会選挙

マス首相は2015年の州議会選挙を”独立の是非を問う選挙”として位置付け、結果的に独立派政党は議会で過半数を得ることができましたが独立支持政党の得票は47.7%と半数には届きませんでした。選挙後、議会において(独立派が過半数の議席を確保しているので)カタルーニャの独立手続き開始宣言がなされましたが直後にラホイ首相によって州議会が提訴され、マス首相はに2年間の公職追放と罰金が科されました。
その後、マス首相の後継者としてプチデモン州首相が就任しています。その際プチデモン首相はマス首相の意思を受け継ぎ、1年半以内に独立を問う住民投票を行うと発表しました。


■ 2017年 再び非公式の住民独立投票が行われる

2017年6月プチデモン州首相は10月1日に独立の是非を問う住民投票の実施、過半数が賛成であれば選挙後48時間以内に独立宣言を行うことを発表しました。住民投票は中央政府から送られた警察官によって武力阻止を受けるなどあったものの実施され、投票率は住民の43%うち賛成投票者は90%であったとされています。


■ 独立選挙その後、憲法115条の発動とカタルーニャ州の自治権の停止

この結果を受けて48時間以内に独立宣言が行われるかと国内は緊張状態となりましたが、結局宣言は行われませんでした。ただ政治的に不安定な状態になったことから、カタルーニャ州から本社移す企業が出始めます。(11月5日時点で約1700社が本社を移転したといわれています。)また大規模な独立反対のデモが行われたことなども考慮してか10月10日プチデモン首相は独立宣言に署名はするものの保留としスペイン中央政府との対話を望むとの意思を表明しました。

しかしながら中央政府は強硬な姿勢を崩さす、10月16日には独立運動の指揮を執る支持団体のリーダーが逮捕され(実質的には彼らの活動は政府から許可を得て行われているものであり、暴力的行為も行われていません)、その後カタルーニャ州警察のトップが解任されるなどの動きがあったため独立運動はさらなる高まりをみせました。また中央政府の強硬で独裁的なやり方に対して、反独立派の中にもそのやり方に対して抗議の声が生まれ始めています。

さらに10月21日にはラホイ首相がプチデモン州首相の解任、州会議の解散と自治権の停止(憲法155条の発動)を発表しました。憲法155条はスペインの40年間の民主主義の歴史においてこれまで一度も発動されたことがない法律です。
これを受けてプチデモン首相は10月27日州議会にて独立宣言の採決をとり、賛成の多数決をもって”独立宣言”を行いました。
直後に憲法155条が発動され、新しい議会が12月の選挙をもって発足するまでカタルーニャ州は中央政府の直接統治下になっています。

12月21日の州議会選挙には、独立派政党の参加も認められることとなったのですが、独立派の勝利の結果を恐れてか中央政府は独立派の首相を含む州政府のトップを”反逆罪”として告訴。11月2日に副州首相をはじめとする8人の州議会のトップが有罪判決を受けて拘束(本来ならば裁判にもっと時間がかかるはずであるのに異例な速さで拘束が決定されました)、逮捕状が出ているプチデモン首相は、”スペインには司法の独立性がなく公正な裁判をうけられない”とEU議会に判断を求めるためベルギーに移動しました。

11月4日スペイン中央政府が、プチデモン首相をはじめとするベルギーに移動した5人の州政府トップににEU逮捕状が出されベルギー政府に身柄の引き渡しを要求。プチデモン首相を含む州議会議員は11月5日に自ら出頭しました。この日の裁判でははプチデモン首相のスペインへの身柄の引き渡しは言い渡されず現在プチデモン首相らは保釈され、次のベルギーでの裁判にむけて準備中です。現時点ではベルギーの裁判所からは判決は保留となっており、プチデモン前首相は次の選挙にも立候補しています。

確実にスペインの歴史の中でも語り継がれるであろう今回の”独立騒動”、バルセロナで暮らすものとしては事態が1日も早く落ち着いてくれることをただただ祈るばかりです。

ちなみに、観光への影響は…といえばストやデモで交通機関が混乱した時期もありましたが現在はほとんどありません。また今後しばらくは大規模なストやデモも予定されていないので安心してご旅行下さい!

↓日本ではほとんどニュースにはなりませんでしたが、11月11日に行われたカタルーニャ独立派のデモの様子です。
75万人が参加した(バルセロナの人口の約半分!)史上で2番目に大きいデモとなりまたデモが暗くなるまでつづいたこともあって
おそらく今までで一番フォトジェニックなデモとなりました。


2017年11月21日

9月22日から9月25日の間、バルセロナでは最大のお祭りメルセ祭が行われます。バルセロナの街の守護聖人”メルセ”をお祝いするお祭りで旧市街を中心に、広場などのパブリックスペースで無料のコンサートやショーが期間中は一日中行われる予定です。パレードや、カタルーニャの伝統芸能?としても有名なCastellers(人間の塔)も大規模なものが例年、市庁舎前のサンジャウマ広場で行われます。
夜は海岸で花火や、歴史的な建築物にプロジェクションマッピングが行われたりと一日中楽しめるお祭りです。
ちなみに今年の招待都市はアイスランドの”レイキャビク”。招待年にちなんだイベントも数多く行われるので、アイスランド?なにか登場するのかも楽しみです。

毎年メルセ祭のポスターやパンフレットなどのグラフィックはバルセロナで最も”旬”なデザイナーが担当することになっているのですが、バルセロナオリンピックから25年目の今年は、バルセロナオリンピックのマスコット”ゴビ”を担当したハビエル・マリスカル。

カラフルでポップでどこかやさしい雰囲気のある彼の作風は”バルセロナ”を体現しているようで大好きなグラフィックデザイナーなのですが街中のあちこちでマリスカルのポスターを見かけることができます。

ちなみに、さりげなく”ゴビ”に似た犬もポスターに描かれているのでぜひ見つけてみてください・

↓こちらはポスター
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↓こちらは街の電柱のつり広告

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↓メルセのマラソンの告知もマリスカルの作品です。
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メルセのプログラムは、ツーリストインフォメーションのデスクなどで配布しているほか

http://lameva.barcelona.cat/merce/en 

でも英語のプログラムがチェックできます。(PDFやプログラムの専用アプリもこのページからダウンロードできます。)

ぜひこの時期にバルセロナにいらっしゃる方はお見逃しなく!


2017年9月19日
2017年8月18日
2017年7月14日
2017年3月25日
2017年2月18日
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  • 特派員プロフィール
  • バルセロナ特派員

    バルセロナ特派員
    岸田 早希子
    1996年に初めて訪れたバルセロナに”一目ぼれ“その後8年間バルセロナと東京間を毎年往復し2004年より”念願“のバルセロナ在住。現在はスペイン企業に勤務しつつ、日本語を忘れそうになるほど”バルセロナ”にどっぷりつかる毎日。“好きこそものの上手なれ”か、現地の友人たちの間でもお墨付きの”バルセロナ通“。友人たちと作ったサイト“Totteokiバルセロナ”で現地の最新情報を発信中。 DISQUS ID @girasolenbcn

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