「カラムカリアートで村を蘇らせた親子の話」

公開日 : 2016年12月20日
最終更新 :
筆者 : 竹内里枝

1999年霧雨の降るようなジメジメとしたある朝、家のドアーをノックする音が聞こえた。その家の主人がドアーを開けると、大きな袋を抱えた初老が1枚の布を広げてとにかく見て欲しいとせがんた。その布に描かれていたのは見事なカラムカリアートだった。その後、この家の主人Mr.Dwaraknoth Reddyは、娘のMs.Anitaを連れて初老の村を訪ねた。

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その村は、政府からも見放された電気も水の供給もないアンドラプラデッシュにあるSrikalahastiという村。

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村には立派な寺院があるものの村人達の暮らしは貧しく、この親子はその様子を見てこの村をカラムカリアートを使って助けようと決意した。

500年前、SrikalahastiのSwarnamukhi川の岸では、民間伝承のカラムカリアートは当時のマハラジャSri.Krishnadevarayaの保護の下で全盛期を迎えていた。しかし、彼が亡くなると後継者からの関心は薄れ、さらにカラムカリアートに欠かせない川の水も枯渇し次第に忘れ去られていったのだった。

Reddy親子は、アーティスト達の才能を活性化することでその村の暮らしを変えようとした。

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と同時に、コンピュータの使い方を教えることで、貧しい女性達の自立を目指した。そして、手書きのカラムカリアートという伝統的な染めのアートが、ただの絵だけではなく実用的なものに加工していくことで蘇っていった。

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カラムカリアートには、手書きのものとブロックプリントのものがあるが、ここでは手描きのアートだけを扱っている。お金持ちマダムなら、手描きが高価で素晴らしいものと認識している。通常、布に描かれた絵の部分は、村にいるアーティスト達が描き、それをバンガロール市内にある工房で150種類以上あるデザインの商品に加工していく。

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絵の品質をチェックした後、その絵を商品のどの部分に使っていくのか慎重に配置しながら加工していく。

カラムカリアートは、どんな手順で描かれていくのか。

まず、木炭でアウトラインを描いていく。モチーフは自然のもの花や葉、マンゴーや鳥などが多く、特にお手本もないので自分のアイディアだけでデザインしていく。

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もし、図柄からオーダーする場合は、どんなデザインをどれぐらいの大きさや色で描いて欲しいかリクエストすることもできる。6mのサリーならおよそ25日はかかる。

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そして、インクはすべて自然から採れたものを使うのが伝統。

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アウトラインの黒は、なんとサトウキビと鉄を混ぜることで作られる。インドを象徴する最も高価な染料インディゴブルーも植物から採れるそうだ。

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この事業を父親から受け継いだMs.Anita Reddyは、特に人からの寄付金も募らず、自身の財産を持ち出してまでこの活動を続けている。なぜこの村の人達のために、一生懸命になれるのかという私の質問に対し「父は、私にたくさんの財産を残してくれました。そのお金を使って多くの人を救うようにと言われました。私にとってここで働いている人達は神様です。皆さんが幸せになってくれること。それが私の幸せなのです。」と答えた。

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彼女は、DWARAKA以外にも貧しい子供達への教育、スラムの保護活動などにも力を注ぎ、2011年インド政府からはソーシャルアクティビストとして表彰されている。

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電話 080-2356-1394

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