龍巻地獄のお湯に入れる!長泉寺「薬師湯」は穴場の共同浴場だ!

公開日 : 2019年02月06日
最終更新 :
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別府温泉の定番観光コース「別府地獄めぐり」。別府市内に点在する特徴的な源泉の周囲を公園のように整備した、いわば「温泉テーマパーク」のような施設です。地獄巡りに加盟している地獄は、

・海地獄

・鬼石坊主地獄

・かまど地獄

・鬼山地獄

・白池地獄

・血の池地獄

・龍巻地獄

の7ヶ所(2019年2月現在)で、このうち海地獄〜白池地獄は別府の高台に位置する鉄輪温泉に集中していますが、血の池地獄と龍巻地獄だけが少し離れた海沿いの亀川温泉近くにあります。

今回ご紹介するのは、亀川の龍巻地獄近くにある長泉寺という小さなお寺。境内に「薬師湯」という名前の共同浴場があるのですが、なんとこの共同浴場、龍巻地獄のお湯を引いている唯一の入浴施設なんです!龍巻地獄と血の池地獄の周辺は市営の温泉が一軒あるだけで、入浴施設が極端に少ないエリア。おまけに地獄のお湯に入ることができる入浴施設は別府でも数が少ないため、薬師湯は非常に貴重な共同浴場といえるでしょう。

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龍巻地獄は40分おきに5分間噴出する間欠泉で、血の池地獄と隣接しています。

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龍巻地獄のお湯を引いている長泉寺は、龍巻地獄の前の県道を100メートルほど下った場所にあり、屋根に大きく「長泉寺」と看板を出しているのが目印です。本尊は薬師如来で、別名乳薬師とも呼ばれ、乳の出に御利益があると遠方から参拝に訪れる人もおられるんだとか。

■温泉にゆかりの深い長泉寺の歴史

長泉寺の歴史は古く、寛徳2年(1044年)まで遡ります。第69代後朱雀院の皇太子・親仁親王(ちかひとしんのう)が重病に罹り病の床に伏せっていると、その夢枕に高僧が現れ「豊後国、かまどの庄にある霊泉に浸かりなさい」と告げました。親仁親王はすぐに船で旅立ち、血の池近くの川の中から湧いている温泉に浸かったところたちまち病は回復。

京都に戻り後冷泉天皇として即位した親仁親王は、家臣に命じ、温泉の近くの山の上に百済様式の七堂伽藍を建立しました。そして血の池の赤い温泉の色から山号を「朱湯山」、温泉が常にあふれている様子から「長泉寺」と名付けたということです。

ちなみに、この時親仁親王が入った温泉は龍巻地獄ではなく、現在市営温泉になっている「柴石温泉」と伝えられています。

長泉寺はその後大友の乱で焼失しますが、薬師如来像だけは戦火を免れ、地元の人によって草堂に祀られていました。

そして長い月日が流れ、江戸時代の初頭、この辺りの土地を所有する長者が夢のお告げを受け、自分の所有している土地を寄進し、以前伽藍があった山の中腹に薬師堂を建立しました。

明治時代に入り、廃仏毀釈によって荒廃した長泉寺は、柴石に説教所を設けるのみとなっていましたが、昭和43年にようやく現在の場所に移転し再建されました。今は浄土宗のお寺となっていますが、昔の名残で本尊には薬師如来を祀っています。

このへんのいきさつは、長泉寺のホームページに詳しく記載されています。

数奇な運命により、山から転々と平地に下りてきた長泉寺。もとは柴石温泉に感謝して建てられたお寺が、龍巻地獄の共同浴場を管理することになった理由は、長泉寺の近くに住む人の持ち物だった共同浴場が廃業することとなり、「それでは地域の人が困るだろう」と運営を引き継いだのが長泉寺だったからなんだそうです。

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料金は本堂の奥にあるお寺の人の自宅に支払いに行きます。金額は決まっていないので、玄関先に置かれた賽銭箱にお気持ちでお支払いしましょう。

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その際に、住所や氏名を芳名帳に記載します。薬師湯は別府八湯温泉道に加盟しているので、スタンプを集めている人はこちらで押すことができますよ。

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浴室は門のすぐ脇にある白い古びた外観の小屋。なんと前の住職が自分で作ったんだそうです。

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浴室は1つだけなので、カギをかけて入ります。先客がいる場合は、前のベンチで気長に待って下さいね。

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浴室内には浴槽が1つ。シャワーやカランなどの設備はありません。

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100度近い高温で湧出する龍巻地獄からの引き湯なので、浴槽のお湯が高温になることも多いそうです。お湯が熱い時は、温泉を注いでいるパイプの角度を変えることで、お湯の量を調節することができます。

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それでも熱すぎる場合は、浴室の隅にバケツや洗面器で冷ました温泉が用意してあるので、こちらを湯船に入れます。加水しないで温度調節するこだわりは、温泉ファンにはうれしい心遣いですよね!冷ました温泉を使ったら、再びバケツに温泉を入れて冷ましておくことをお忘れなく。

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温泉は飲んでも体にいいんです。味はしょっぱくて酸味もあり、例えるなら「梅昆布茶」。意外にも美味しくてゴクゴクいけちゃいます。

■長泉寺「薬師湯」の施設情報

龍巻地獄のお湯に入れる共同浴場・長泉寺「薬師湯」

営業時間は10時〜16時と少し短いのですが、これは長泉寺に通っているお手伝いさんが温泉の管理も兼業しているため、お手伝いさんがいる時間に合わせているからだそうです。お寺に人がいないときは臨時休業になります。

薬師湯に入る際には、龍巻地獄の観覧も一緒に行かれることをオススメします。「あの間欠泉のお湯なんだ...」という感動も相まって、入浴がさらに感慨深いものになりますよ。

長泉寺「薬師湯」

住所:大分県別府市亀川野田800-6

電話:0977-66-4013

駐車場:6台

営業時間:10時〜16時

定休日:不定休

料金:お賽銭

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