北欧のような福祉国家とは言えない?スイスの高額医療費

公開日 : 2020年10月28日
最終更新 :

8月に蜂を飲み込み喉の内側を刺されたことで、救急搬送され1泊入院したことは、こちらのブログで報告済みですが、

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「初体験!救急車で搬送されて、出産以外で初入院してきました!」

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その医療費の額がわかったので、参考までに報告します。

また、久々に歯科治療をしたので、その料金も公開しましょう。

蜂に刺された救急治療の医療費

退院後、2週間ほど経った頃、ベルン市から封筒が届きました。

会社のことや税金関連のことは、ベルン「州」からレターが来るので、ベルン「市」からの通知とは何ぞや?と開封してみると......

それは、ベルン市の「医療警察」(??)の救助などをする部門からの請求書。

20201028-rettung-invoice.JPG

明細を見てみると、救急搬送代や救急医の診察費などで、合計869.70フラン(約10万円)。

傷害保険会社に事故申請したところ、ベルン市からの請求の全額が保険会社から支払われ、もしこの事故に関し追加の請求があれば、保険会社に直接行くように手続きを取った、とのことでした。

1ヵ月以上経って、病院の入院費の請求はなかったのかな?と傷害保険会社に連絡をしたところ、「追加請求はない」と言われたのですが、病院に直接連絡をしてみたところ、入院費で1292.75フラン(約15万円)ということ。

ということで、約15時間の救急医療費は、25万円なり!

スイスに長く居すぎるのかもしれませんが、思ったほど高額ではなかった、というのが感想です。

自分の会社の傷害保険のお陰で、個人的な出費はゼロでした。

スイスの医療保険システム

ちなみに、スイスの保険に関して簡単に説明しておくと......

スイスには、病気の医療費を補償する健康保険(基礎医療保険など)と怪我などの医療費を補償する傷害保険(事故保険)があります。

週8時間以上一所に勤務をしている社員は、会社が契約している傷害保険に加入していて、子供を含むそのほかの住民は自身で傷害保険に加入しなければなりません。

会社と個人の傷害保険の大きな違いは、会社の傷害保険だと免責額がないことです。

健康保険や個人で加入する傷害保険の場合は、300~2500フランの免責額があり、被保険者が免責額を選べることになっています。

私の場合、住んでいる地域と性別、年齢で決まる毎月の保険料は、免責額が300フランの場合、約410フラン(約4万7000円)、2500フランの場合、約290フラン(約3万4000円)と、まったく医療にかからなくても毎月3万4000円の出費があるのです!

しかも、毎月3万4千円の保険料の場合、免責額が2500フランなので、ほとんどの健康な方は、毎月保険料を払いつつ、かかった医療費を100%(2500フランまでですが)払っている、ということになります!

そして、致命的なことは、歯科と眼科は基礎医療保険の補償対象外である、ということ!

健康保険には、基礎医療保険と追加で加入できるプランがあります。

追加プランには、入院したら個室を利用できる、東洋医学などの医療費も一部補填してくれる、などあります。

さらに、歯科に関しては、また別のプランがあり、私が加入する保険会社には5つのプランがあるのですが、年間300フランぐらいの保険料で、歯科治療費の50%、1000フランまでの支払いがされる、などあります。

自腹の歯科医療費より保険料の方が高くなりがちなので、歯科保険プランに加入している人は少ないのではないかと思います。

私も加入していません。

保険がない歯科治療 

スイスでの歯科治療費が高いので、日本の実家に数週間滞在する際に、地元の歯科医に行くのが常でしたが、ここ3年近く歯科医に行く機会がなく、先日、歯の詰め物が取れてしまったことと、冷たい物や熱い物でなくても、何かを食すると奥歯が痛いということがたたびたび起こるようになったので、娘の歯科医に診てもらうことにしました。

スイスに移住した20年前、歯科医に行くと5本ぐらい虫歯治療をしなければならなくなり、(うる覚えですが)2000フランとか支払ったトラウマがあるので、今回も何本治療されるのだろうか......と恐る恐る椅子に座っていました。

「こんにちは!」と日本語を数語ご存じの歯科医が優しく対応してくれたところ、虫歯はなんとゼロ!

「3年もクリーニングをしていないとは思えないほど、歯磨きがよくできているね」とのお褒めのお言葉もいただきました。

痛みを感じていたのは、加齢によるもののようです......

寝る前の歯磨きのあとに、フッ素を歯に塗るように、とフッ素のジェルが入ったチューブをいただき、いまではずいぶんよくなりました。

この初診のあと、歯科衛生士さんによるクリーニングと、歯科医による詰め物を詰める2回の予約を取って治療にいきました。

歯科衛生士さんにも「3年もクリーニングしていないの!」とびっくりされましたが、「年に一度はクリーニングをおすすめするわ」と来年の予約も歯科医を出る前に「取らされ」ました。

最近取れた詰め物は食事中に違和感があるほどの大きさでしたが、そういえば、数年前に銀詰めが欠けていました。

この機会に、その銀詰めを全部取って詰め換えたので、上下2本の歯の詰め物をしました。

この歯科は、予約こそネット予約ではないですが、希望者にはSMSやメールで予約のリマインダーを送ってくれ、請求書も添付メールで送ってくれる、スイスでは平均的なクリニックよりテクノロジーを使っているところです。

スイスでは、医療費の請求書は、忘れた頃の1ヵ月後とかに来てもおかしくないですが、予約がすべて終わった日の翌日に請求書がメールで届きました。

内訳は......

初診: 130フラン

クリーニング: 165フラン

2本詰め物: 640フラン

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合計: 935フラン(10万8千円)なり!

こちらは、残念ながら100%自腹です......。

ネコちゃんに癒やされて、この出費のことは忘れたいと思います......。

それでは、今日はこの辺で!

筆者

スイス特派員

田山 貴子

欧州移住を目指して日本から求職し、2000年よりベルン在住。スイスの会社に10年間勤めた後、日本とスイスの架け橋になるべく起業。

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