「つまずく石」 という記念碑 Stolperstein(シュトーパーシュタイン)

公開日 : 2016年08月31日
最終更新 :
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ドイツの街を歩いていると、地面にこの金属のキューブが埋まっているのを

そこかしこで見かけます。

このキューブはStolperstein(シュトーパーシュタイン)と呼ばれるもので、

直訳すると「つまずく石」という意味になります。

1992年にドイツ人の芸術家であるGunter Demnigが始めた、

ナチスの被害者を忘れないための記念碑です。

迫害されたすべての人々の記念碑が埋められるのがこのプロジェクトの目標です。

Stolpersteinのほとんどはホロコーストの被害にあったユダヤ人に贈られています。

それ以外にはジプシー、同性愛者、エホバの証人、黒人、シンティ・ロマ人など

様々な被害者がいます。

ケルンで始まったこのプロジェクトは2015年1月11日の時点で、

18ヶ国に15000以上まで達成し、現在もこのプロジェクトは続いています。

Stolpersteinは故人が最後に住んでいた家の前に埋められます(たまに職場の場合もあります)。

故人の調査を終えるとDemnig氏は生年月日、わかる場合は強制退去先、亡くなった年月日、

一番上には「ここに住んでいたのは...」をドイツ語で意味する"Hier wohnte"と彫ります。

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「ここに住んでいたのはHurst Lothar Koppel。1929年生まれ。1943年に強制退去される」

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こちらはケルンの市庁舎の前に埋められた最初のStolpersteinです。

Stolpersteinは人がこの金属でつまづいた時に下を見て、亡くなった人々を

思い出してもらおうと、この名前が名付けられました。

またナチスが台頭していた頃、ドイツでは石でつまづくと

「ユダヤ人がこの下に埋まっているに違いない」と言われていました。

それに加え、「Stolperstein」という言葉はドイツ語で「基本的な問題」

という意味がもともとあります。

10cm×10cmのStolpersteinは近づかないとどこにあるか見つけるのは難しいですが、

ふと下を見るとそこかしこに埋まっています。

中にはこんなにもたくさんの方が被害にあった場所もあります。

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最近ではポケストップになっているStolpersteinがたくさんあります。

若い人々が今一度過去に何があったのか、振り返る良い機会になればと思います。

ケルンだとクリスマスマーケットが毎年開催されるNeumarktにいくつかありますので、

気になる方は足を運んでみてください。

筆者

ケルン2特派員

マリ・ミュラー

ドイツに約10年在住。

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