ブリュッセル連続テロ

公開日 : 2016年03月24日
最終更新 :
筆者 : SAORI

【この記事は、ブリュッセル特派員SAORIがテロ発生日に個人的に体験したことを記載しています。】

日本でも大きく報道されている3月22日に発生した空港と地下鉄での連続テロ事件。その事件が起きたとき、私は東京からブリュッセルへ向けて、昨年就航したばかりのANAの直航便NH231便に乗っていました。空港での爆発が起きたのは、現地時間の午前8時と報道されていますから、日本を出発してからすでに5時間ほどが経った頃です。どのタイミングで機長にブリュッセル空港が閉鎖されたという情報が伝えられたかはわかりませんが、乗客である私たちが連続テロ事件について知ったのは、ブリュッセル到着予定時刻の約3時間前、日本を出発してから9時間半後、空港での爆発が起きてから4時間半後でした。

機長は、ブリュッセル空港と地下鉄で爆発があったこと、ブリュッセル国際空港が閉鎖されたこと、そして、日本に引き返さずにヨーロッパの他の空港に着陸することが決まり、デュッセルドルフに向かっていることを、アナウンスされました。

デュッセルドルフに着くと、もともとブリュッセルから乗り継ぎで他の空港に向かうことになっていた乗客の方には、デュッセルドルフから目的地へと旅行を続けられるようにとチケットがすでに手配されていて、ほぼ問題なく目的地へと向かわれたようでした。私のようにブリュッセルが目的地だった乗客に対しては、ブリュッセルへ向かう交通機関が運行していないので、デュッセルドルフ市内のホテルがすでに手配されていました。また、翌日自分たちの判断でブリュッセルへ向かえるようにと、交通費として一定額の現金もご用意いただいていました。

デュッセルドルフ中央駅に近い場所に位置するホテルまでは、大型バスが準備されており、見ず知らずの土地でスムーズに移動ができ、本当に助かりました。ブリュッセルで私と同じ建物に住む方は、空港で爆発があった5分後に着陸の予定が、急遽アムステルダムに着陸することになり、そこからレンタカーを借りてブリュッセルに戻りましたが、利用していた米系航空会社からのサポートは一切なかったのだそうです。どういう基準で航空会社がサポートをしてくれるのかはわかりませんが、ANAの場合、地上係員の方も日本語で対応してくださったので、このような事態が起きた時には本当に安心だと感じました。

さて、デュッセルドルフのホテルに到着して、ブリュッセルへの戻り方を調べてみると、ベルギーへの国際列車はすべて運休となっています。デュッセルドルフ中央駅の案内所で状況を聞いてみると、「明日のことは明日にならないとわからないけど、国際列車は運休じゃないかなぁ」という答え。そこで、ブリュッセルに住む外国人駐在員たちのFacebookグループに、「デュッセルドルフからブリュッセルまで帰るにはどうしたらいい?」と質問してみました。

30分以内に11人がアドバイスをくれました。電車、バス、カーシェアリング、ヒッチハイクなど、どのサイトで詳細を確認できるかといった情報がすぐに集まりました。その日の深夜までに、さらに11人が追加の情報をくれました。

翌日、鉄道の情報を調べると、やはり国際列車は引き続き運休しているようでした。そこで、アドバイスをいただいた中から、FlixBusという会社が運行する朝9:40にデュッセルドルフ中央駅の近くから出発するバスを予約しました。

9:30前にバス停へ行くと、すぐにバスが来ました。この日は現地テレビ局が取材に来ていて、「どうしてバスでブリュッセルに向かうのか」、「ブリュッセルに戻ることは怖くないのか」といった質問を受けました。バスには私も含めて10名程度が乗り込みましたが、ほとんどが若い学生のようでした。

バスは定刻どおりに出発し、大きな渋滞に巻き込まれることもなく、また、テロが起きた翌日にもかかわらず、国境でパスポート等が確認されることもなく、予定よりもずいぶん早く12:10にはブリュッセル北駅に到着しました。そこからUberに乗り、自宅までもあっという間に到着しました。かなりの大混雑を想定していた私には、拍子抜けするほど簡単な移動でした。

私が住むアパートは、爆発のあった地下鉄Maelbeek駅から1.5kmほどしか離れておらず、最寄駅は封鎖されています。しかし、これほど大きなニュースになるような事件があったにもかかわらず、なんとなく街の空気はテロが起きる前の普段の様子と変わらないというのが、私の率直な印象です。11月にパリで連続テロ事件があり、ブリュッセルでも厳戒態勢がとられたときは、もっと街は混乱していたと記憶しています。ただ、11月の経験を通して、ブリュッセルで生活をする人たちは、テロの脅威下にあっても「生活し続けなければいけない」ということを、実感したのではないでしょうか。ですから、今回はこんな大惨事になっても、人々はいつもと変わらぬ生活を続けて、テロに屈しない姿勢を貫いているのではないかと思うのです。学校もほぼ通常どおり開校していますし、コンサート等も予定通り行われているケースが多いようです。

一方で日本関連のイベントは次々とキャンセルとなり、私が利用したANAの成田=ブリュッセル便も今月いっぱい欠航することが決まりました。日本の旅行代理店が企画したベルギー行きのツアーが続々とキャンセルされているという報道も目にしました。日本からベルギーへの渡航を取りやめた方や、今後のベルギーへの渡航は控えるという方も多いでしょう。

今のこの状況では仕方のないことですし、皆様にも安心してベルギーを旅していただける日が1日も早く来ることをただただ願うのみです。以前にもお知らせした通り、今年はベルギーと日本が友好関係を結んで150年となる記念の年で、たくさんのイベントが企画されています。日本でも楽しめるベルギー関連のイベントもありますので、ご参加いただき、ベルギーを応援していただけると嬉しく思います。

日本で行われている150周年記念イベント一覧:http://belgiumjapan150.jp/ja/events

最後に、ヨーロッパを陸路で移動する場合に参考となるサイトとして、今回Facebookを通してアドバイスをいただいたサイトをご紹介します。ご利用になる際には各サイトをよくご確認の上、ご自身の責任にてご利用ください。この他、電車での移動をご希望の場合は、各国の鉄道サイトをご確認ください。

長距離バス(目的地によって運行していない路線もありますが、サイトより簡単に確認できます)

  ・ FlixBus

  ・ MegaBus

カーシェアリング:BlaBlaCar

ヒッチハイク(事前にFacebookグループのメンバーになることが必要です):Hitchhiking Europe

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