クスッと笑える!四半世紀前に作られたハンガリー語の教科書

公開日 : 2014年11月18日
最終更新 :
筆者 : Shuri

わたしはブダペスト移住後、現地のハンガリー語学学校に通っていたのですが

比較的新しく発行された教科書を使っているクラスが多い中、

わたしのクラスでは、なぜか四半世紀前に作られた教科書を使っていました。

この教科書が最初に発行されたのは1989年、ハンガリーが共和国に体制転換した年。

調べてみると、当時はプリントをホチキスで数カ所留めただけの物だったようです。

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わたしが使っていた教科書は、第5版 (1999年)

ハンガリー人が見たら驚くものではないのかもしれませんが、

日本の教科書では有り得ない場面設定や

何と言ったらよいか分からないような挿絵がたくさんあり、

(あくまでも "わたしが使っていた教科書は" ですが...)

日本の教科書で育ったわたしにとっては、驚きの連続でした!

まずはその、衝撃的だった挿絵から。

〈歯をみがく〉

矢印は必要なかったような...?

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"Itt magyarul beszélnek" Lexikai és beszédgyakorlatok より

〈動物たち〉

猫の顔だけが、なぜかリアル...!

顔だけ書き直されたとしか思えませんね。

ちなみにとなりの鳥は、ハトです。

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"Itt magyarul beszélnek" Lexikai és beszédgyakorlatok より

〈泳ぐ〉

白目を剥いてますね...

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"Itt magyarul beszélnek" Lexikai és beszédgyakorlatok より

〈ドラム、太鼓を叩く〉

何かに取り憑かれたように叩いている感じが伝わってきます。

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"Itt magyarul beszélnek" Lexikai és beszédgyakorlatok より

〈島〉

無人島のイメージでしょうか? 周りはサメだらけです。

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"Itt magyarul beszélnek" Lexikai és beszédgyakorlatok より

〈ラジオを聴く〉

Rádio と書いてなかったら、何だか分からなかったかも?

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"Itt magyarul beszélnek" Lexikai és beszédgyakorlatok より

また、お話の中にも時々ぎょっとする挿絵が出て来ます。

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"Itt magyarul beszélnek I." より

... こ、こわい!

家族に存在を忘れられそうになった赤ちゃんが、

泣いているアピールしている場面です。

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"Itt magyarul beszélnek I." より

こちらの女性は、見るからにふしだらな感じ...

「嫁は汚くて、だらしなくて、怠け者で、しかも大の男好きなんです」と、

旦那 (挿絵の男性) のお母さんが、お隣に住む弁護士に相談に来たという設定です。

これが教科書だとは思えません!

そしてこちらは、ハンガリー人も好きそうなお話。

タイトル 「うわさ話」

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"Itt magyarul beszélnek II." より

「ベネデクさん、新しいアパートへ引っ越すんですって」

「本当かい? で、場所はどこなんだい?」

「正確には分からないけど... ブダのどこかだったと思うわ」

この後、人から人へうわさが広まっていきます。

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"Itt magyarul beszélnek II." より

そして最後、6人目に伝わった時の会話はこちら。

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"Itt magyarul beszélnek II." より

「ベネデク夫妻が、離婚するそうだな。

なんでも、旦那が横領の罪で刑務所行きになったらしいんだ。

奥さんは旦那の釈放を待たずに、愛人とバラの丘(ブダの高級住宅街)の

別荘へ引越すそうで、娘さんはしばらくローマへ旅に出るらしい...」

「娘さんは、どうして旅に?」

「そりゃあ、両親のせいで、人とまともに顔を合わせられなくなったんだろう」

ベネデクさん一家の耳に入る頃には、

更にひどい話になっているのでしょう... うわさ話は怖いですね。

さて最後は、授業で配布されたプリントから。

ここで、みなさんに問題です!

絵から答えを想像して、文章を作ってみてください。

〈問題〉

子供たちは、○○ したらケーキを貰えたのに。

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さて、子供たちは何をしているのでしょう?

(ここで分かった方は、すごいです!)

スプーンを持っているし、食べ物に間違いないということで

少し違和感を感じながらも「スープ」に設定。

翌日、先生に「さて、子供たちは何を食べていますか?」 と聞かれ

「スープ...?」と答えると 「こんなスープは無いでしょう!」と笑われてしまいました。

行き場を失ったので、分かりませんと答えると...

「ホ ウ レ ン ソ ウ ですよ!」

えーっ!!

どこからどう見ても、ホウレンソウには見えませんよね?!

これがカラー印刷だったら、少しは想像の幅が広がったかもしれませんが

この状態では絶対に分かりません!

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実はこれ、ハンガリーでよく食べられる "ホウレンソウのペースト" というもの。

ホウレンソウをにんにくとバター、牛乳などで煮たもので

子供たちが苦手なもののひとつと言われているのだそう。

ということで、答えは

「子供たちは ホウレンソウ を食べたら、ケーキを貰えたのに」 でした!

この他にも、挿絵のせいで答えられなかった問題がいくつか続き、

ハンガリーの文化を知らなければ、問題自体が分からないということを

何度も思い知らせれたのでした...

そんな大変だったことも含めて、この教科書は大切な思い出のひとつです。

11月のお題は 「あったかエピソード」 ということで

今回はわたしの身近なところから、心がぽっと温かくなるような

そしてクスッと笑えるお話をお届けしました!

(11月お題"あったかエピソード")

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