グアラニー族の住む村へ*Comunidad Aborigen

公開日 : 2009年11月30日
最終更新 :
筆者 : bonita
グアラニーの子ども達の歌.jpg

▲グアラニー族の子どもたち。

世界遺産・イグアスの滝への旅。

最終日の3日目は、グアラニー族が住む村へ行くことにしました。

レミースを頼もうとしたら

「あの村へ続く道は、四駆の大型車でないとムリ!」

と運転手のトムに断られたので、ホテルのフロントに依頼して

グアラニーの村へ行くツアーを予約してもらいました。(85ペソ)

グアラニー族の住む村・Comunidad Aborigenは

ミシオネス州内にいくつか点在していますが、

ツアーとして観光客を受け入れているのは

プエルト・イグアスにほど近い村です。

舗装されていない道を行かねばならないので、

ツアー客が乗る車は、四輪駆動の大型トラック。

まるで、戦地にでも赴くかのような雰囲気です。

▲車にへばりついているのは、グアラニーのガイドさんです。

グアラニー族は、アメリカ州先住民のひとつで、

主にパラナ川からパラグアイ川にかけてのラ・プラタ地域に住んでいました。

対立する部族と戦い、捕らえて食べるという食人文化があった・・・

という記述をネット上で目にすることがありますが、真相は定かではありません。

泥と石でガタガタの道を進んで行くと、

グアラニーの子どもたちが通う学校が見えてきました。

この学校は、ドイツのODAによって建てられ、

彼らの言語であるグアラニー語の他

スペイン語での授業も行われているそうです。

▲いよいよグアラニー族の村へ。

▲学校の近くにある川で泳ぐ子どもたち。

▲自然と共存する村人の暮らし。

▲家はとても簡素な造り。泥で出来た家もありました。

▲この日のガイドさん。スペイン語が堪能ですが、学校は通ったことがないとのこと。

 子どもたちには、しっかり勉強して立派な人になって欲しい、そう話していました。

▲この日のツアーは、私たち夫婦ともうひと組の夫婦の4人だけ。

 ジャングルを分け入って、グアラニーの人々の生活について学びます。

かつて狩猟中心だった彼らの生活は、大きく様変わりしました。

洋服を着るようになり、学校に通い、観光客相手に商売をする。

それでも、自然とともに生きる昔ながらの気質は変わっていません。

今でも、村人はグアラニーの習慣に従って生活しています。

▲これは、アルマジロを捕獲するための罠。

▲シカを捕獲するための罠。

生活が大きく様変わりしたとはいえ、

ジャングルの中には、彼らが仕掛けた

動物を捕獲するための罠があちらこちらにありました。

趣味でも、スポーツでもなく、

生きるために狩りをする。

しかも、このような原始的な道具で。

便利な時代と場所しか知らなかった私には、

ちょっとした驚きでした。

アマゾンのジャングルは、

彼らに生活の糧を与えてくれるだけでなく

病気から彼らを守ってくれます。

村の周囲には、腹痛に効く薬草、頭痛に効く薬草、

ケガをした時の治療に使う葉などが自生していました。

長い年月をかけて、これらの植物を生活に取り入れる知恵が生まれ、

親から子へと伝えられてきたのでしょう。

▲この茶色いツブツブは何に使うかというと・・・

▲天然の避妊薬だそうです。

ジャングルの中に住む彼らの生活は、

野生の生き物や植物の恩恵を受ける一方で

危険が待ち受けていることもあります。

ジャングルに住むジャガーが、

グアラニーの幼子をさらい食べてしまった・・・

という惨い話も聞きました。

グアラニー族の人々は、彼らが信じる自然の摂理に従って

彼らの人生を生きています。

新月の日から満月の日の間(月が満ちていく期間)に生まれる子どもは、

必ず狩人にならなくてはなりません。

また、満月の日から新月の日の間(月が欠けていく間)に生まれる子どもは、

民芸品や生活に必要な物を作る人にならなくてはなりません。

つまり、いつ生まれたかによって、

その子どもの将来が決定されてしまうのです。

職業選択の自由が保証されている日本国憲法下に生まれた私には、

これはかなり衝撃的な話でした。

また、全てのグアラニーの人々の誕生日は、9月25日です。

1月1日に生まれても、12月25日に生まれても、

いつ生まれても、誕生日として祝うのは9月25日その日なのです。

これは、彼らにとっての「新年(Año Nuevo)」が9月25日だから。

友だちの誕生日にお呼ばれするのが大好きな私には、

これもまた衝撃的な話でした。

ガイドさんの話を聞きながらジャングルを行くと、

向こうから歌声が聞こえてきました。

聞き慣れたスペイン語とは違う歌。

そう、グアラニー語です。

イグアス(iguazú)という言葉も、

グアラニー語の「大きな水」という意味。

南米大陸で、一時は最も勢力を持っていた言語だそうですが、

残念なことに、グアラニー語は文字を持たないのです。

世界各国の言語で書かれた『星の王子様』を収集するのが趣味の私、

グアラニー語版も手に入れよう!とはりきっていたのにガッカリ・・・。

歌声のする方へ歩いていくと、

子ども達が私たちを歓迎する歌を歌ってくれていました。

▲この歌も、親から子へと伝えられてきたのでしょうね。

▲元・小学校教員として気になったのは・・・

▲この子どもたち、学校には行かないのかしら・・・?

村の現金収入のため、観光客を受け入れているとはいえ、

就学年齢の子どもたちを待機させるというのは・・・うーん。

考えてしまいます。

歌う子どもたちの前に置かれた、小さな箱。

ここにチップを入れてね、ということなのでしょうが、

歌っている子どもたちの顔が晴れやかではないように感じたのは

私の気のせいでしょうか。

でも、カメラを向けたら明るい笑顔を見せてくれました。

▲私たちアジア人と、顔がよく似ていると思いませんか?

ツアーの最後は、村の広場での土産販売です。

彼らの現金収入は、政府から支給される保護金と

動物の彫り物などの土産品を販売して得られるお金です。

もちろん、このツアー費用の一部も、村の収入になります。

▲お土産を売る少女。はにかんだ顔が可愛らしいです。

グアラニーの人々が売る民芸品は、なんとも素朴な雰囲気。

イグアス国立公園や、プエルト・イグアスの街の中で買うより

ずっとずっと安いので、ここでいくつか購入しました。

▲彼らの生活の一部となっているジャングルに住む動物たちの彫り物。

▲ジャングルの植物の種で作られたネックレス。

▲吹き矢。(何に使うかって?それはナイショ)

*旅のポイント*

 村へのツアーは、前日までにホテルのフロントで予約してもらうことが出来ます。

 朝9時頃にホテルに迎えの車が来て、9時半には村に到着しました。

 村の見学は11時まで、実質1時間半という短い時間なので、

 ツアー代金85ペソ/1人を高いと感じる人もいるかも。

 村はジャングルの中にあるので、蚊(それも特大の!)がいっぱいいます。

 虫除けを持参し、何度も使ったにもかかわらず、私は20カ所以上もさされてしまいました。

 暑くても、長袖・長ズボン着用での訪問をおすすめします。

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