アルゼンチンの大学生〜法学部に通うエリックの場合〜
統計によると、
アルゼンチンで大学に通う人の8割が公立で
残りの4割が私立に通っています。
公立大学の場合、
基本的には無償で受講できるというのが
アルゼンチン政府の基本方針です。
1985年以降、それまでの入試と定員制度を廃止し
希望するなら誰でも大学へ入れるようになりました。
現在、公立大学には、日本のセンター試験のような
統一された試験制度はありませんが、
私立大学の場合はそのほとんどが
厳しい入試試験を受ける必要があります。
ブエノスアイレス州内の私立学校に通う友だちが、
大学を案内してくれると言うのでついて行きました。
エリックは、弁護士を目指して法学部に通う学生で、
私の夫に法律を教えている家庭教師でもあります。
▲弁護士や裁判官の卵たち。勉強がんばってね〜
この日、2年次の成績を受け取る日でした。
アルゼンチンの大学の留年率は
日本の大学と比べ物にならないくらいに高いのですが、
卒業できる学生の割合はさらに少ないと言います。
大学に通っている学生のおよそ半数が
仕事を持ちながら通学していることも理由のひとつ。
卒業までの平均通学年数は7年を超えると言われています。
この成績記入用の手帳に、
教授や講師がそれぞれの成績を記入してくれます。
エリックは無事に合格点!おめでとう!
日本の学生街もそうですが、ここアルゼンチンでも
大学のある街には、
安いレストランやカフェがたくさんあります。
▲女子学生がビールを飲みながらおしゃべりに夢中。
在学中の厳しい試験をパスし大学を卒業することが出来ても、
良い職につくことの出来る人はわずかだと言われています。
せっかく専門性の高い知識や技能を身につけても、
それを生かすことの出来る受け皿(働き口)が
あまりにも少ないのが現状です。
アルベルト松本氏著書の『アルゼンチンを知るための54章』には、
弁護士資格を持つ多くのタクシー運転手の例が紹介されています。
アルゼンチン国内で就職できない知識層の一部は、
海外に働き口を求めて出ていきます。
将来のアルゼンチンを担っていくであろう若者たちが、
国の経済的理由から海外に出て行ってしまうのは
この国にとってかなりの痛手になってしまうかもしれません。
法学部卒業とともに弁護士資格が取得できるエリックは、
同じく弁護士をしている父親のように
弱き者を助ける正義の弁護士になるでしょう。
彼の最終目標は、実は弁護士ではありません。
アルゼンチンを代表するような政治家になり、
この国を根本的に変えていきたいー。
現大統領もそうですが、
アルゼンチンの歴代大統領の多くが弁護士出身です。
そのため、法律を作ったり改正したりするのは熱心、
だけど国の財政を立て直すことはニガテなようです。
会計士資格を持つ大統領が誕生した方が
アルゼンチン経済のためになる、
そう感じている国民はかなりいるようです。
何はともあれ、
夢を抱いて学ぶ学生たちの姿って素敵ですね。
大学時代、もっともっと勉強すれば良かった・・・
とちょっぴり後悔した1日でした。
*参考文献
アルベルト松本(著)『アルゼンチンを知るための54章』明石書籍
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