シカゴで落語 さん喬さん&正蔵さんインタビュー

公開日 : 2019年09月19日
最終更新 :

ハロー!ワッキーまゆみです。

シカゴの風物詩には色々あれど、夏が終わり、また暑さがぶり返すインディアンサマーが来ると、

あー、またあの恐怖の冬がやって来る~と戦々恐々する私です。

でも雪や、キーンとする鋭い寒さも乙ですけどね。

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日本の伝統芸能の落語で今年もシカゴ郊外が沸いた!

第11回を迎えたシカゴ寄席、柳家さん喬さんと林家正蔵さんの二人会が今年もハーパーカレッジにてM Square Global Incさん主催の元、7月23日火曜日に開催されました。2016年の第8回よりお2人での寄席ですが、それ以前はと言うとさん喬さんの独演会だったそうです。毎年シカゴの夏を落語と言う海外では中々味わえない日本古来の粋な芸能で楽しませて下さっているお2人にインタビューをさせて頂きました!お笑いが大好きな私としては願ったり叶ったりと言う事で、今回初めてインディアナのインディアナポリスにあるIndianapolis Museuma of Artでも開催された落語と合わせて質問をさせて頂きました。

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ワッキーまゆみ

今回はインディアナはインディアナポリスの日米協会にて初めての寄席と言う事で如何でしたか?

正蔵さん

シカゴと比べるとインディアナポリスは少し静かな所に感じましたが、会場には日本人の方ばかりでなく、アメリカ人の方もいらして、落語の所作やストーリーで笑って頂き嬉しかったです。そして開催されたIndianapolis Museuma of Artと言う場所では、日本の刀や浮世絵なども展示されていて、とても楽しい思いをさせて頂きました。

さん喬さん

お客様は今回初めて聴くと言う方が多く、日本語学校補習校の生徒さん達も大勢いらしてくれ、子供達がこんなにも落語初体験で笑ってくれるのかと嬉しくなりました。全体の3割がアメリカ人の方でしたので、パワーポイントを使っての字幕を今回初めて設置した所、日本人の方達と同じ所で笑ってくれたりと大成功でした。終わった時にはアメリカ人の方が態々私の所に来てくれて、「とても素晴らしかったです、また聴きたいです」と言ってくれ感動しました。

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ワッキーまゆみ

その字幕を通してお2人の声や表情、仕草を皆さん感じられていらっしゃったのですね。

さん喬さん

そうなんですよ。日本語で落語をする意味と言うのはそこにあるんですよ。英語で落語をする時は英語で理解してもらおうとしますが、私達のする日本語でしゃべっての落語は想像する世界を作って欲しいな、と言う思いが何よりの望みなんです。それは日本人に限らず、外国人の皆さんにもそう思っています。そういう意味では今回のアメリカでの寄席は大成功だったかなと思います。

ワッキーまゆみ

インディアナとシカゴでは会場の規模、来客数の違いなどあったと思いますが、その辺りは何か違いや感じる所はありましたか?

正蔵さん

落語と言う芸は何千人もの前でするのでは無く、始まりの江戸の落語は、お座敷でお客様が集まって聴いて下さると言う感じなのでインディアナで初めて落語を聴くと言うにはベストな人数、会場で本当にマイク無しでも出来そうな素敵な空間でした。お互いの顔や仕草などが読み取れる距離感だったので一体感を感じ、やっていてとても楽しかったです。

ワッキーまゆみ

インディアナで私の友達も参加して感想を聞いた所アメリカ人の方で、それも若い方が何人かいらっしゃり、更にはその人達の中には浴衣を着た人までもいらしたと言う事でしたがアメリカ人の方達に対して何か意識された事などありましたか?

さん喬

あまり意識などはしてなかったですね。アメリカの方に聞いてもらうんだ、アメリカの方がいらしているんだと意識してしまうと、真っ直ぐな落語が出来なくなってしまうので、こっちはどなたにも同じ感じで落語をし、パワーポイントの力をお借りして一体感をもっていました。どなたがいらしても僕達の落語は何も変わらないですね。

ワッキーまゆみ

今日の演目4本ともとても面白かったのですが、それらを選んだ理由などありますか?

正蔵さん

今迄続いているシカゴの二人会なので以前と重ならない様にして、自分の持ちネタからさん喬師匠に相談させて頂き決めました。

さん喬さん

本当はお客様を見て演目を決めるのが当たり前なんです。今日のお客さんはどんな感じかな、なんて見て決めるんですけどね。東京で寄席をしているのと遜色変わりない感じで今迄のネタと重ならない様、何も変わりの無い様にして決めました。

ワッキーまゆみ

シカゴでスタートした寄席の当初と今回とでは、お2人の気持ちの変化や違いなどを感じますか?

正蔵さん

気持ちが変わったと言うよりはお客様が聞き上手になってらっしゃるなと思いました。落語上手な方や聞き上手な方が増えたなと思います。"話下手聞き上手に助けられ"と言う言葉があるようにお客様が良いとこっちも乗って出来るので年々それを感じています。

ワッキーまゆみ

落語を聴いていると見えない物が見えて来たり、次は何かくるのか?どんなオチなのか?と観客の皆さんが落語に引き込まれていたり想像しているのを私は感じてるんですが、それは話してらっしゃるお2人も感じられますか?

さん喬

はいそうです、感じていますね。例えば僕は正蔵師匠が話している時に脇で見ていますが、「あー、お客さん入り込んでいるなぁ」と思いますね。お客様が話に入り込んでいると外から見ていても分かるんですよ。ですから今日お客さん楽しんで下さっているなと。そうすると安心するんですよね。正蔵師匠が温めてくれてるから次の僕が何やってもいいやとね(笑)

正蔵さん

オチの所ですが、今日私は"鼓ケ滝"をしましたが鼓と言うものが今の日本の子供達や若い方達に分かる人がいるのかどうかと思い、上がる前にさん喬師匠に、「今日鼓ケ滝で大丈夫ですかね?」と聞きました。鼓にはバチが要らない、当たらないのと神様の罰をかけたものなんですが今日のお客さんは分かるかなと。するとさん喬師匠は「今日のお客さんは大丈夫、大丈夫」と言われたんですけどね。

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ワッキーまゆみ

さん喬師匠の演目のそば清の中にも"うわばみ"が出て来ましたが、それも同じですね。

さん喬さん

言葉が分からなくても自分の世界を作ってくれたらいいんですよ。どんな物でもいいんです。うわばみの世界を作ってくれたら。ひょっとしたら「ライオンみたいなのかな?」と思う人もいれば「蛇かな?」と思う人もいるのでこっちの落語の動きで想像して頂けたらいいと思います。自分の世界を作れると言うのがいいですね。

ワッキーまゆみ

今日のシカゴでの会場はステージから客席がすり鉢状になっていますが師匠達は目線をどうされていましたか?

正蔵さん

かみしもと言いまして右の人、左の人と登場人物によって決めるんですけど、今日の場合はそのすり鉢状の客席と言う事で目線を少し上にしてみました。割と近い目線ですね。

ワッキーまゆみ

シカゴの日本人の方で落語をまだ聴いた事が無いと言う方に来年是非来て欲しいと言う意味で何か一言最後にお願いします。

正蔵さん

インターネットやCD、DVDなど色々な方法で落語をご覧になる事が出来ますが、場の空気を楽しむと言う事が生で聴く落語の醍醐味だと思います。演者が落語を話し、皆さんがそれを笑ったり、拍手したりする事によって場の空気を楽しむ、話や語りもそうですが、より生で聴く楽しさが落語なので是非いらしてください。

さん喬さん

本当にその通りです。初めて落語を聴く方は分からないだろうなとか、古典とか落語は非常に古く理解が出来ないものと思っているかもしれません。古くは400年以上も続いている落語はその時代にしか生きていない、だから400年も続いているんです。それが過去のものだったら続いてないのですが、その時代、時代にお客様とコミュニケーションが取れる芸能ですから長く続いているんですね。ですので怖がらずに聴きに来てください(笑)

ワッキーまゆみ

とっても素敵なお話が沢山聞けて益々落語が好きになりました!今日は有難うございました。

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アメリカに着いて色々なイベントをこなし、お疲れの所、快くインタビューを受けて下さったさん喬師匠と正蔵師匠の落語に対する熱い思いを沢山お伺いする事が出来て本当に有難うございました!私の落語熱が益々上昇し、暫くは落語の余韻に浸れそうです。

筆者

アメリカ・シカゴ特派員

ワッキーまゆみ

名古屋、東京、シンガポール、ロサンゼルス、シカゴに住み日本を出て25年。子育てをしつつシカゴライフを満喫中。グルメ、観光、ショッピング、キッズ関連などシカゴ情報を発信しシカゴライフをエンジョイしたい!

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