ロックアウトで学校閉鎖...対抗する教師たちのデモ

公開日 : 2013年04月12日
最終更新 :
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今日は、打って変わって、ニュースをお伝えさせていただきます。ただいま、デンマークの全国各地で、教師たちによるデモが行われています。というのも、政府の新政策をめぐって、コミューン全国組織(KL: Kommunernes Landsforening)と教師組合(Danmarks Lærerforening)が対立し、コミューン全国組織は教師たちをロックアウト(締め出し)。教師たちは学校に入れず、学校閉鎖...という異例の事態となっているのです。

こちらの写真には教師たちの訴えが書かれています。「準備=質」「子どもたちはフリータイムが必要では?」...

(撮影者Lars Rasborg/BT2013年4月11日記事より)

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政府は、学力向上のため、授業数を増やそうとしています。また、授業の有無にかかわらず、教師に8時~15時30分まで学校滞在を義務づけようとしています。それに対し、教師たちは抗議の声をあげているのです。教師たちは、学校への長時間滞在は、家で授業の準備をする時間を奪い、授業の質の低下につながると警告を鳴らしています。また、子どものフリータイムが減ることを問題視している教師もいます。

(筆者撮影 4月10日午前8時Vesterbrogadeにて)

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ここ数日、私も街中でよくデモを見かけるのですが、そこで感じるのが、デモが爽やかで明るく平和だということ。教師たちがポップなデモ・ユニフォームを着たり、路上ライブを行ったり、ダンスしたり...。教師だからといって真面目くさっていません。私はそこにカジュアルで自由なデンマークのカルチャーを感じます。また、教師たちが泣き寝入りせず、組織化された集団として抗議デモをするのも、とてもデンマークらしいです。

(筆者撮影 4月10日午後1時 Købmagergadeにて)

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(撮影者Jens Nørgaard Larsen/BT2013年4月11日記事より)

昨日はコペンハーゲンで約4万人がデモに参加したようです。

このロックアウトは社会にさまざまな影響を与えています。職場のない教師たち、学校に通えない子どもたち、(子どもが学校に通えないため)子どもを預かる祖父母たち、職場に子どもを連れてくる親たち...。

さらに、思わぬ問題となっているのが、学校で飼育されている動物や魚たち。フュン島では、魚を放流するはずの教師がロックアウトされており、60万の魚が瀕死の危機にさらされているそうです。逆に、喜んでいるのは、ショップ。教師と子どもが休みなので、普段よりも客が多く、繁盛しているそうです。云々...と、ロックアウトは、さまざまな波紋を呼んでいます。

このロックアウトは、教師組合とコミューン全国組織が合意するまで続きます。いつまで続くのでしょうか?教師組合とコミューン全国組織はどこに妥協点を見出すのでしょうか?今後の行方が気になります。

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