ケチュア民族の成人式「ワラチクイ」に行ってきました

公開日 : 2016年09月21日
最終更新 :
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毎年クスコでは、9月18日にワラチクイ(Warachikuy)というイベントがサクサイワマン遺跡内にて行われます。

このワラチクイは、インカ時代には通過儀礼だったようで、若者たちが様々な難関を乗り越えて大人の男であることを証明します。

言うならば、インカの成人式といった感じでしょうか。

証明できない若者は大人として認められず、結婚もできなかったという事ですから、重大な儀式だったことが分かりますね。

大人として認められた若者にはワラ(Wara)というふんどしのような(?)パンツが与えられます。

ワラチクイというのは、大人になった証の「パンツを履かせる」というケチュア語の動詞です。

(そもそも、そんな動詞があることに驚きます!)

特設会場には座席が用意され、その区画でイベントを見たい場合には入場券(70ソル)をその場で購入します。

入場券を買わなくても、遺跡の上部に上って(遺跡に入るための周遊券は必要です)上から無料で見ることも可能です。

ただ、炎天下で芝生に直に座って長時間見ることになるので、日傘と敷物が必要です。

(9:30am開始で、終了は14:00pm頃と、意外と長丁場でした。)

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このイベントは2部に分かれており、第一部は、Cienciaという地元の学校の生徒たちによる伝統舞踊です。

6歳~10歳の小学生たちによる、可愛いダンスが見られます。

ただ、8つのダンスがあったので、全部終わるには1時間半ほどかかりました・・・

1 Varayoq  varaとは杖のことで、「杖を持った人」つまり、村長など権威のある人という意味です。

2 Trigo eray 小麦の脱穀の祭り  erayとは脱穀するの意味。

3 Ajachikuy Ajaとは、トウモロコシの飲物「チチャ」のこと。チチャを作るという意味

4 Unancha Unanchaとは目印、旗のこと。旗の踊りだそうです。

5 Qatqa pukllay カクカ(quispicanchi地方の村)の遊びの意味

6 Qanchis地方の踊り

7 Pitu marca地方の踊り

8 Llakini tusuy llakini(私は悲しいの意味)(pitu marca地方の踊り)

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第一部が終わると、いよいよ第二部であるワラチクイの儀式が始まります。

チャスキ(飛脚)たちがまず入場してきて角笛を鳴らし、インカの到着を知らせます。

メイン会場を挟んで、サクサイワマン遺跡上方の両側には、虹色のインカの旗を持った大勢の少年たちが現れます。

遺跡上方が虹色に埋め尽くされる中、まずはミイラが4体運び込まれ、その後にコヤ(Qoya:インカ帝国の女王)が入場します。

最後にインカの皇帝も入場して、こうしてワラチクイの舞台が整います。

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インカ皇帝がまずケチュア語で挨拶をし、若者たちのためにインティ(太陽)に祝福を求めます。

チチャというトウモロコシの飲物をパチャママ(大地の母の意味)に捧げてから、式典が始まります。

やっとメインのシーンが見られると思いきや、ここでまた民族舞踊が始まりました。

遺跡の上部から見下ろすとよくわかりますが、人文字のようにして星やチャカナ(インカの十字架)などの模様を作ります。

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そして、タワンティンスーユ(インカ帝国の4つの州)が4チームとなり(黒、赤、黄色、緑と色分けされています)それぞれ2チームずつ、様々なアスレチック的なものを競い合います。

丸太の両端からそれぞれのチームの若者が上り、早く相手側に渡った方が勝ちゲーム(懐かしいですね)や、電車の吊り輪のようなものにぶら下がって、相手チーム側まで渡るなど。

興味深いのが、丸太などのアスレチックの道具は備えつけではなく、その都度若者たちが運び込み、倒れないよう四方でしっかりひっぱっていたこと。引っ張る力の加減によるので、道具は不安定な為、普通のアスレチックよりも難しそうです。

実際、大けがをする人はいなそうでしたが、ちゃんと担架が用意されているのも面白かったです。

又、競技の準備中には、また舞踊が披露されます。

(コンドルの舞もありました)

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競技がすべて終わると、最後に4つの州から代表で二人ずつに、褒美として「ワラ」が与えられます。

ワラチクイ(パンツを履かせる)の前後に、若者は何故か(?)鞭打たれます。(かなり痛そう・・・)

そして、ワラ(赤いふんどしのようなものでした)を履かせて、終了です。

最後は、4つの州の若者たち、旗を持って待機していた若者たち、インカの一族などでメイン会場が埋め尽くされ、圧巻でした。

インカの文化を垣間見ることのできる、なかなか興味深いイベントでした!

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