アフリカ暮らしに密着・タンザニアのモバイルマネー事情

公開日 : 2017年12月01日
最終更新 :
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タンザニアに来たら、国内隅々どこでも目にするのがきっと"Wakala(ワカラ)"の看板です。

日本では、現金以外の支払い方法というと断然クレジットカードですが、タンザニアでは断然、

Mpesa(エムペサ)を始めとする、携帯電話を使った各種モバイルマネーサービスです。

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(一か所のワカラで各社のモバイルマネーを扱うので便利。)

●●●至る所にある「Wakala(ワカラ)」とは

至るところで見られる"Wakala"の看板が出ているところが当サービスの取扱代理店です。

広いスペースは不要、ある程度の元手があれば身一つでできるビジネスとあって、1本の道路に

何件もの取扱店が見つかるほど林立しています。

ローカルマーケットの片隅や道路脇で、小さな机と椅子一つで業務をしている代理店も見られます。

Wakalaの看板を掲げていないとしても、サービス会社のロゴと共に代理店登録番号を記した紙が

店先に貼り出されていれば、「取り扱いアリ」ということ。商店やブティックなど、そこここの

店先に見られます。住宅地のほんの小さな商店でも!

Vodacomが提供している"Mpesa(エムペサ)"は国際的に知られていますが、他の通信各社は

どこも同様のモバイルマネーサービスを提供しており、送金手数料に若干の差をつけたりして

差別化を試みています。

◎Vodacom社:「Mpesa(エムペサ)」

◎Tigo社:「Tigopesa(ティゴペサ)」

◎Airtel社:「Airtel Money(エアテルマネー)」

◎Halotel社:「Halopesa(ハロペサ)」

◎Zantel社:「Ezy Pesa(イージーペサ)」

"Pesa(ペサ)"とは、タンザニアの国語・スワヒリ語で"money(お金)"のこと。

現金を携帯電話にチャージすると、様々な支払い・送金・現金受け取りができるという仕組みで、

スマートフォンでなく従来型携帯電話でも利用可能です。

Mpesa menu.png

(Mpesaトップメニュー画面)

例えば、TV視聴料、BRT(高速バスシステム)の乗車賃チャージ、各種税金、保険、年金、学費、

寄付、ECサイトの支払いなどのメニューに並び、"Renewable Energy(再生可能エネルギー)"

という項目もありました。そこには、太陽エネルギー関連と思われる9つのサービス名がリスト

されています。

もちろん、レストランやショッピングなどの支払いにも使えますよ。

「ダルエスの自宅でレストランの味を楽しめる!信頼のデリバリーサービス」の支払いも!

独自の貯金・ローン機能もあり、銀行口座とのやり取りさえ可能です。

街なかには銀行やATMもたくさんありますが、郊外では数も少なく不便です。そもそも、銀行

別に多少の差があるものの、概してタンザニアで銀行口座を開くのは日本のように簡単ではあり

ません。いくつもの書類が求められ、手続きが非常に煩雑といった事情もあります。

その点モバイルマネーなら、携帯電話さえあれば送る方はその場で一瞬の内に送金できますし、

受け取る方は近所のワカラへ出向くだけで現金が手に入るとあって、その便利さは比べ物に

なりません!

そのため、このモバイルマネーサービスを利用するための携帯電話は誰にとっても生活必需品

なのです。

筆者も各種公共料金の支払いに使っています。自宅にいながらいつでも瞬時に払うことができます!

※「タンザニアの公共料金ってどうなっているの?」と思ったら、こちらの記事も!

●●●ごく少額から気軽に送金可能

最低取り扱い金額わずか100シリング(約5円)。キャンディ1個分の金額です。いかに気軽に

モバイルマネー取引が行われているかお分かりいただけるのではないでしょうか。

日本では友人・知人・家族間での現金貸し借りは稀ですが、タンザニアでは少額の貸し借りは

日常茶飯事。そんなときにも機動性の高いこれらのサービスは欠かせません。利用は24/7

(24時間年中無休)、取引一回につき最大日本円で約20万相当までの扱いが可能です

(Tigopesa、Airtel money)。

『レストラン・ホテル・スーパー・ショッピングセンターでの支払いをモバイルマネーで行う

と10%キャッシュバック』といったキャンペーンの案内も定期的にメッセージで届き、プロモー

ションにも余念がありません。最近ではMpesaで支払いするたびにポイントが付く制度が始まり

ました(2018秋)。

●●●しっかり登録で利用も安心

タンザニアでSIMカードを購入したら一定期間内に本人確認証を持って利用者登録をしなければ

なりません。また、同一人物が同じ通信会社で複数の登録をすることもできません。これらの

条件を満たしていないと電話番号はまもなく利用不能になります。

※モバイルマネーシステムの悪用を防ぐため、2019年5月にはSIMカードの指紋登録手続きが義務

化されました。

携帯電話で現金のやり取りをするにあたり、各電話番号はきちんと身元確認ができている必要

があるのです。

●●●マネーチャージの方法

サービスを使うには、まず携帯電話にお金をチャージ(入金)するところから始まります。

最寄りのワカラへ行き、自分の携帯電話番号と入金額を告げます。スタッフが手持ちの携帯

電話を操作し情報を打ち込むと、持ち主として登録されている自分の名前が表示されるので

安心です。

操作が完了すると自分の携帯電話に即座に入金完了のメッセージが届き、残高が表示されます。

引き出して現金化するか、モバイルマネーとして使います。

●●●モバイルマネーとしての使用方法

各社のサービス番号に電話をかけ(無料)、メニューに沿って操作するのみ。

最後に、登録済みの暗証番号を入力すると取引完了です。

●●●送金方法

携帯電話に入っている残高の範囲であれば、携帯電話の操作だけでいつでも送金が行えます。

相手の携帯電話番号さえあれば即送金完了という手軽さ。相手の名前が画面に表示されので、

送金先間違いも防げます。通信会社をまたいだ取引も可能です。

チャージ残高が足りない場合はワカラに現金を持っていき送金してもらいます。

●●●送金受け取り方法

現金の受け取りもワカラで行います。各ワカラに固有の代理店番号と金額を自分の携帯電話に

入力するだけで現金を受け取ることができます。

現金化には、基本的に引出し額に応じた手数料が取られます(無料の通信会社もあり)。

そのため場合によって送金人は、受取人が現金化するときにかかる手数料分を上乗せして送る

というのが、心ある人の「マナー」になっています。

受け取った金額をそのままモバイルマネーとして使う分には受け取りに出向く必要もなく、

手数料もかかりません。

以上、タンザニアのモバイルマネー環境のイメージは掴んでいただけたでしょうか。

もはや誰にとっても無くてはならないほど暮らしに深く入り込んでいるこれらのサービスは、

アフリカが世界の最先端を行っているといわれています。

メニュー内容もこまめに更新されており、人々のニーズに沿うよう進化し続けているのです。

旅行でタンザニアを訪れた場合でも、当地のSIMを差し込めばすぐに携帯電話でインターネット

を楽しむことが出来ます。旅行者でも、通信接続料の支払いでタンザニアのモバイルマネー

サービスを体験できますよ!

筆者

タンザニア特派員

西東たまき

2012年より東アフリカ・タンザニアのダルエスサラーム在住です。様々な側面から垣間見るダルエスサラームをレポートします。

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