カンガ・キテンゲ・キコイ...タンザニア布の違いは?

公開日 : 2021年09月13日
最終更新 :

「鮮やかな色合い、大胆な絵柄」といったイメージで知られるアフリカン・ファブリック (アフリカ布)。

日本でも、バッグやアクセサリー などのおしゃれ雑貨に生まれ変わって静かに人気を広げています。

もちろん、タンザニアでもカンガや キテンゲを使った雑貨・ファッション・インテリアが溢れていますよ。

coasters.jpg

(タンザニア布を使ったアイテムがたくさん見つかる雑貨店『MOYO』のコースターのセット)

アフリカ各地に、その土地に根差した伝統の布地があります。

タンザニアを代表するのは、カンガ(kanga/hanga)、キテンゲ(kitenge)、キコイ(kikoi) といったものです。

khanga at stair.JPG

(右の2点はキテンゲ、残りはカンガ。それぞれ明らかに違う特徴を持っています。見分け方は以下に)

ただ、名前に聞き覚えがあっても、それらの違いが分からない人は少なくないかもしれませんね。

しかし、それらにはシンプルで明白な違いがあります。カンガ・キテンゲ・キコイの違いを知って、適切な用途で楽しんでみましょう!

khanga street.JPG

(布地の専門店が軒を連ねる、ダル中心部にある通称「カンガ・ストリート」)

●カンガとは

カンガのサイズは、ちょうど大判のバスタオルのよう。女性が体をくるむのにピッタリな大きさです。

薄手なので洗っても乾きやすく、サラサラした肌触りは熱い太陽の下で使うのに心地良い生地です。

インターネットなどでカンガの写真を見ると、額縁に入った絵のような一枚布に見えますが、カンガおよびキテンゲは共に2枚で1セットです。 2枚分が横に繋がった長い状態で売っているので、購入したら真ん中で分割し、縁をかがってから使い始めます。タンザニアにいるなら、近所のテーラーが手慣れた様子で処理してくれますよ。

・カンガは女性が使います。

・服の上に巻き付けて、エプロンや家着のような役割を果たします。

・抱っこ紐の代わりに小さな子供をおんぶするのにも使われます。

・タンザニアの女性はいくつものカンガを持っています。

・使い込むほどに、ふんわりと柔らかくなります。

・道を行く行商人は頭に大きなカゴを載せて歩いていますが、カゴと頭の間には輪っか状に 丸めたカンガがクッションとして使われていますよ。

上記のような用途を見ても、カンガがいかに生活に密着した布かが伝わるのではないでしょうか。

現地の学校では、行事で使用されるテーブルには必ずカンガがテーブル掛けとして使われていました。学校という事務的な場所を温かな空間に変えてくれるカンガのテーブルクロスの存在感は思いのほか大きいものです。

四辺を囲うフレーム状のプリントと、"jina(ジナ)"と呼ばれる「ことわざ」が一行プリントされて入っているのがカンガの特徴。 このことわざが伝えるメッセージは、カンガを買うとき・着るときに選ぶ際の大事な ポイントでもあります。

私があるとき見かけたカンガのメッセージは「私は何も言わない。けれど私の目はすべて見ている」というものでしたよ! 何とも意味深ですよね。

カンガについて詳しく知りたいなら、いくつかの本も出ています。

ミニアルバムサイズで情報満載の『Kanga Collection』Chieko Orimoto著は、英語・スワヒリ語に加え日本語併記でダルエスサラームのショッピングセンターSlipwayの書店や雑貨店でも売られています。

●キテンゲとは

サイズは、カンガよりも一回り大きくなります。 カンガに比べ厚手なのがポイント。 そのため、洋服作りに用いられるのは基本的にカンガではなくキテンゲです。 カンガは暮らしに密着して使われるのに対し、キテンゲはもっぱら服飾用と言えるでしょう。

キテンゲにはことわざメッセージは書かれていません。

カンガのように枠状のプリントといった決まったデザインもありません。多くのキテンゲは連続パターンが一面を覆うデザインになっています。そのため、シャツやドレスを作るのに柄の出方をあまり気にする必要がない点も、服飾加工に向いています。

●キコイとは

キコイは、普通サイズのバスタオルほどの大きさです。 一番の特徴は左右に付いている白いフリンジ。

クリエイティビティ溢れる柄を持つカンガ・キテンゲと違い、キコイはストライプが定番。オックスフォード生地に似たような織り目を持つ柔らかな布です。

kikoi.jpg

(キコイ)

もともとは、インド洋に面した地域の漁師たちが腰に巻いていた伝統の布です。

今では、きれいな色と使いやすいサイズが女性たちを魅了しています。肌寒い季節に ストール代わりに羽織ったり、オフィスの冷房対策として人気があります。

また、カンガとキコイは夏の肌掛けとしても最高の素材です! 猛暑の夜でも、とっても気持ちよく眠れるのです...。

●●●

ダルエスサラームに来たら、道行くタンザニア女性のファッションにも注目してください。都会の女性たちはタンザニア布で仕立てた服を、年齢に縛られない自由で大胆なデザインで楽しんでいます! 男性たちも、オリジナリティ豊かなシャツで闊歩していますよ。

手っ取り早く市販の服を買うのも良いですし、時間があるなら自分好みのプリントとデザインで仕立ててもらうのも楽しいものです。アフリカンプリントの子供服も、とってもかわいいんですよ! タンザニアの布は、老若男女皆さんでお楽しみいただけます。

筆者

タンザニア特派員

西東たまき

2012年より東アフリカ・タンザニアのダルエスサラーム在住です。様々な側面から垣間見るダルエスサラームをレポートします。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。