サンガラトナ・法天・マナケさん

公開日 : 2007年08月17日
最終更新 :
筆者 : 冬野 花
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私は仏教にも、宗教的な話にも興味がとてもありますが、それでも「インドの大地に仏教復興」だけでは手にとらなかった気がします。ですが、「日本の心を持つインド人仏教僧」という文字が「ん?」と気になったんです。

でも「日本の心を持つ〜」というフレーズ、それだけではひねくれた私は「よくある日本文化大好きオタクの外国人(主に西洋人)のエッセイ?」と思ってしまったかもしれませんが(笑)、なにしろこの本の場合はインド人らしい。珍しいな・・・、とやはり気になり、パラパラっとめくってみました。

するとどうやらこの方は、9歳で比叡山に留学をしているらしい。「インド人が・9歳で・比叡山に・単身留学」。まがりなりにもインド在住4年目突入の私としては、それがいかに「インド諸カルチャー的に珍しい」事かと、即ピンと来たので、面白そう!と即入手。題名には「波瀾万丈」だとか、「奮闘記」だとか書いてあるけれど、そりゃー、そうだろうな、なんて思ったわけなのです。

家に帰って、あっという間に読み終わってしまいました。

まず、「日本からインドにやって来て、防弾ガラス並みにブ厚いカルチャーギャップに時折悶えている」私としては、サンガラトナさんがインドに帰国してから経験なさった諸々の事柄が共感できて非常に面白かった!

そして、カースト制度の事やインド社会の複雑な仕組みについて改めて深く知る事ができ、インドに関わっている者として、大変に為になった。それから、インドにおける仏教の歴史についても。

そして、サンガラトナさんという方の辿っている運命の稀有さが本当に面白い。面白いといっては失礼だが、いい意味で面白く、そして親近感を勝手にたーんと抱いてしまった。だって、本当に「日本の心を持つインド人」なんですよ!(←興味がある方は本を読んでみてください!)

そして・・・・・、

サンガラトナさんのおっしゃる日本の状況(私達のしている事)と、サンガラトナさんがなさっている活動を知り、反省せざるを得ない心境になりました。

私には、私が非常に信頼を置いているある人がいるのですが、彼女がマザーテレサの示した「痛む愛」について説明していた事を思い出しました。それは、「きれいごとの愛ではなくて、自分自身の身を切られても構わないという、そんな痛みを伴う愛こそ、本当の愛である」という話で、「バザーに余り物を出したり安易に署名をしたりするのは愛ではない。身を切ってでも出そうとする、痛みを伴った愛、それが本物の愛だ」という話です。

サンガラトナさんの行っている活動は、きれいごとの愛だけではできないでしょう。

「偉い人の話を聞いて、”あぁ、エライ人はすごいなー。さすがだ!”で終わって、すやすや寝てしまってはいけないんですっ」、「エライ人はすごい。私は凡人だからマネできない」じゃぁ、ダメなんです。彼らはエライからそれができるのではなく、それをやり続けているからエライんですよっ」

と、私の先生がよく言っているのですが、この本を読んで「あー、すごいサンガラトナさんって」で終わっちゃダメなんだよな、と思った次第です。

ちなみに、サンガラトナさんがある時に打ち明けた「私はインド人なのか、日本人なのか」という悩みに対して師匠が答えた『サンガよ、退いて消極的に考えたらだめなのだよ。進んで積極的に考えなければ。「インド人でもあり、日本人でもある」と。「それが俺の強みなのだ」と』という言葉にも妙に感動しました。

※  ※  ※

カースト問題に興味のある方、インドにおける仏教に興味のある方、「日本の心を持つインド人」サンガラトナさんに興味のある方、インドとの文化ギャップに悶えざるを得ない立場の方(笑)、インドと縁のある方、そして、なぜだか私達に不当に敬遠されてしまっている「ボランティア」という言葉を素直に見直してみたい方、お勧めです!

「波瀾万丈!インドの大地に仏教復興」

春秋社 サンガラトナ・法天・マナケ著 1890円

もっと知りたくなった方は・・→http://www.pmj3.com/index.html

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