長澤まさみちゃんが泳いだガンジス河

公開日 : 2007年10月14日
最終更新 :
筆者 : 冬野 花

現在、日本では長澤まさみちゃん主演のドラマ、「ガンジス河でバタフライ」が放映されているそうですね。

インドを扱った写真集でも、最も「インドの象徴的風景」として映されていることの多いのが、バラナシのガンジス河のガート(沐浴場)の、人々の沐浴風景。

インドのガイドブックでも、バラナシのカンジス河沿いの、あの光景の写真を載せていないものはないと思います。

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ところが実は、ガンジス河はその汚染でも有名。

簡単に泳げるような河だったら、たかのてるこさん(「ガンジス河でバタフライ」の著者)もわざわざ、本にそんな名前をつけないはず。

バラナシのガンジス河を一度でも見たことのある人なら誰しも、「え!!あ、あの河で泳ぐって!?ウソ!」と必ず叫ぶであろう汚い河なのです。

でも、最初からそんなに汚いわけではありませんよ。

ヒマラヤの奥にある、チャール・ダーム(4大聖地)という、4つの重要なヒンドゥー教の聖地のひとつに、ガンゴートリー(Gangotri)という聖地があります。そのガンゴートリーをさらに20キロほど奥へ入った、ゴームク(Gomukh)という場所に始点を持つのがガンジス河。

雪解け水と、湧き水の混ざったその水は本当にきれいで、その場所を起点に、ゴーゴーと音を立てながら聖なるヒマラヤの谷をかけめぐり、やがて、ヨーガの故郷と呼ばれているリシケーシュ(Rishikesh)を過ぎたあたりから、北インド平野へ流れ出ているのです。

リシケーシュ地点でのガンジス河の水は、まだまだきれい。大きなつり橋の上から見ると、透明の水と河底が見えます。

ところが、そこからインド最大の人口密集地帯である北インド平野に流れ出るや否や、汚染が進んでいくのです。

バラナシのガンジス河は、大腸菌やコレラ菌、その他もろもろの菌が飽和量を超えて生息し、化学汚染も進んでいる模様。

あたり一帯にびっしり立ち並ぶ民家やホテルの下水も、そのまま河へ。

水牛の群れがすぐ近くで行水し、河で用を足す人も多く、目の前には動物や伝染病で死んだ人の遺体が流れていく。

というのも、普通は死体は荼毘に付されるのですが、妊婦や子供、疫病人の死体は焼かずに流すことになっているのです。

以前、私がボートに乗っていた時には、膨れたゴムタイヤみたいなものが漂っており、実際にはそれは牛の膨れ上がった死体でした。

そんな場所でインド人は平気で沐浴し、歯を磨き、洗濯をしているのですから、そりゃぁ、カルチャーショックです。

ガンジス河には、もともとガンジスイルカという、淡水イルカが生息していたそうですが、近年は汚染のせいで絶滅の危機にあるそうです。昔は、ピンクのイルカが飛び跳ねる光景がよく見られたそうですよ。

それにしても、まさみちゃん、よく泳ぎましたよね!

「本当に泳ぐの〜?他の他の場所で撮影して、ごまかすんじゃないの〜?」と疑っておりましたが、先日、私と一緒にバラナシに行ったことのある妹が「本当にあそこで泳いでたよ・・」と言っておりました。

すごい!長澤まさみちゃん!

あんなにかわいいのに、そんな汚れ仕事やるなんて、見直したぜ!

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ところで、なんだかバラナシの悪口みたいになってしまいましたが、いやいや、旅行先としては、やっぱりお勧めですよ。

旅行というのは、普段の生活とのギャップがあればあるほど面白いですから。

冬はさすがに寒いので、インド人とはいえ沐浴する人も半減し、「大勢の人が沐浴しながら朝日に向かって祈る」というような光景は、写真集で見たほどの圧倒感はないと思います。

でも、そのかわり、北インドの冬は霧のシーズン!

早朝、がんばって起きてガート沿いを歩くと、朝もやの中のその風景が本当に幻想的。夕方行われる恒例のプージャもお勧めです。

やはり、なんだかんだ言っても、バラナシはインドを象徴する場所のうちのひとつであるのは確かだなぁと思います。

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