TATA NANO

公開日 : 2008年01月22日
最終更新 :
筆者 : 冬野 花

インド最大財閥TATAの自動車メーカーが発表した「TATA NANO」、日本でもかなり話題になったらしいですね。

縦3.1m、幅1.5m、高さ1.6mというそのミニマムサイズも去ることながら、なんといっても国際的に注目を浴びたのがその値段。

なんと、たったの1ラークルピー(約28万円)。

新車が30万円弱で買えるのだから、たしかにそれは、すごい安さです。

私も、その「TATA NANO」が展示されたオートショウを見に行きました。

まずびっくりしたのが、その入場料。なんと100ルピー(280円)。これは、インドにおける、「ただの展示会」の入場料としてはそうとうな額です。庶民にはけっこう痛い出費だと思うのですが、なんといっても貧富の差が天と地ほどもあるインドのこと。

ある意味、「車を買ったり、買わなくとも興味のある層」限定の入場料の決め方としか考えられません。

確かに、富裕層などは、私たち日本人より遥かに経済的に余裕のある暮らしをしているインドです。

次に驚いたのが、その常軌を逸した混雑ぶり。普段でも、こんなに大きな国土のそこかしこが、人、人、人だらけのインド。多少の混雑なんて、屁でもないです。

ですが、今年のオートショウの混雑ぶりには、たじろぎましたよ。

建物の中は、もはや朝の山の手線並みの混雑・・。

建物の外でさえ、足元も見えないほどの人。しかも、秩序などという事柄とはいっさい無縁のインド人で構成された人ごみは、ちょっとやそっとのものではありません。

結局、人気のヤマハのバイクの展示場などでは、背伸びをしようがどうしようが、ハンドルすら見えませんでした。押し寄せている人々が(ほとんど男)、ネコも杓子もといった様子で、全員、携帯電話で展示されているバイクや車の写真を撮っており、私といえば、彼らのモニターに映るバイクを下からなんとかチラ見するのがやっと。

そして肝心のTATA NANOですが・・・・。

見れませんでした。

というのも、TATA NANOの展示されている建物の前が、身動きできないほどの人ごみで埋め尽くされ、しかも人々が口々に「不公平だ!」とか叫んでいたのです。

なにかと思ったら、「もうどうしたってこれ以上の人間が建物に入るのは無理」ということで、TATA NANOの展示されている建物の扉が無理矢理閉められてしまっていたんです。

怒る客達に、警備員がもっとすごい剣幕で「明日また来い!」と叫んでいました。

100ルピーも払ったのに・・。

この、TATA NANOを見れなかった人続出の件は、新聞にも出ていました。

ちなみに、TATA NANOには、環境問題を悪化させるという懸念も出ています。

というのも、すでに深刻な渋滞問題を抱えるデリー。大気汚染も半端じゃありません。

1時間弱、外へ出ただけで鼻の穴が真っ黒になるあの排気ガスに満ちた大気と、朝夕にまったく動かなくなってしまう車の流れ・・・。

これにプラスして、「今までバイクしか買えなかった」層の人々がTATA NANOの出現で、車を手にするようになっていけば・・・・・・。

想像もしたくありません。もう場所などないのに、これ以上車を増やしてどうするんでしょうか・・・。せめて交通マナーをもう少し(いや、かなり)人々に叩き込んでから、車を増やしてほしいものです。

渋滞を見ても、大気を見ても、そして今回のオートショウを見ても、「とにかく人が多すぎる!そして秩序がなさすぎる!」と叫ばざるをえないインドです。

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