根っから陽気なオランダ人が静かになる国家行事!

公開日 : 2017年05月17日
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こんにちは!久しぶりの更新となります!皆様、元気でお過ごしでしょうか??ここ数週間、とても過ごしやすい天気の日々が続いているオランダでございます。冬用のジャケットはもはや必要ありません!春用の薄手のジャケットか、もしくはなくてもいいくらいです。昨日はオランダ全土が25℃以上を記録し、今日は30℃に達する見込みです!!オランダ人は一斉に半袖、半ズボン、女性はワンピースなどを着て暖かい日を楽しんでいます。そのまま夏までこの良い天気を持続せよと巫女の様に祈りをささげている私でございます。

さて、オランダの五月初めの国家的行事といえば、5月4日に行われる<Dodenherdenkingsdag  ドードゥヘデンキングスダハ>という行事。これは第二次世界大戦で犠牲になった人々(戦没者)を追悼する日、いわゆる戦没者慰霊日とされています。この日の午後8時には国内一斉に2分間の黙祷をささげることが慣習となっており、すべての公共交通機関もこの2分間だけストップします。また、中には車を運転中の人も車を道路のわきに止めて黙祷する人もいます。

また、その日にはこのように町のあちらこちらの家に三色旗が掲げられます。

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三色旗は棒の真ん中くらいに掲げます。(分かるでしょうか?)

またこの日は、アムステルダム中心地のダム広場にある第二次世界大戦追悼碑の前にてオランダ国王、王妃出席のもと、追悼式が行われます。よってこの日にアムステルダムに行かれる方は公共交通機関の時間変更や渋滞などにご注意ください。

この行事の様子はこちらのサイトから見ることができます。

http://www.4en5mei.nl/herdenken-en-vieren/herdenken

また国内になる戦争関係の祈念碑やナチス・ドイツと戦い、オランダ国内で亡くなった外国の兵士達(英軍やアメリカ軍など)の特別墓地などでも追悼式が行われます。私の住んでいる町にもこの特別墓地があり、毎年この日に追悼式が行われますが、今年の追悼式は夜の19時45分から行われました。当日は行けなかったのですが、次の日に通ってみるとこのように花輪が飾られていました。

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ここには私の町でドイツ軍と戦って亡くなった英軍の人達が埋葬されているそうです。地域新聞によると今年は約1000人の方が追悼式を訪れたそうです。この田舎町の行事で1000人はかなりの数です。私の義父はこの戦争を生きた人なのですが、当時のことをあまり話してはくれませんでした。一度だけ話してくれたのが、彼がお風呂に入っている時にドイツ軍と英軍が家の玄関側と庭側に対面して銃撃戦となり、家の中にも銃弾が飛んできたことと、もし村の中で一人のドイツ軍の遺体が見つかると(戦闘による遺体ではなく)、理由は関係なく住民10人が無差別に選ばれ、銃殺されていたことということです。なので誤ってドイツ人兵士を死なせてしまった場合は住民皆で必死でとても深い穴を掘って遺体を隠し、遺品もすぐに処理していたということでした。今考えると想像を絶する時代だったと思います。

しかし、根っから陽気なオランダ人は静粛な追悼日だけでは終わりません!!次の日の5月5日は<Bevrijdingsdag ブフレイディングスダハ>と言い、いわゆるナチス・ドイツからの解放日となっております。この日にオランダで連合軍によるドイツからの解放が始まったからです。よって、この日時点ではオランダ全体が解放されていたわけではありませんでした。オランダ南部から解放が始まって徐々に北部へ広がっていきました。この速度がもう少し早ければ、あの有名なアンネ・フランクももしかしたら無事に生き延びたかもしれないと思います。当時の一般民衆にとっては希望が見え始めた日、ドイツ軍に協力していたオランダ人にとっては地獄の始まりとなった日です。

この日もオランダ人達は三色旗を掲げますが、戦没者慰霊日とは違い、このように一番上の部分から下げます。違いが分かりますか?

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この日は国のあちらこちらでお祭り騒ぎがあります。カフェやバーなども解放日を口実に派手に楽しんでいるおっちゃん達も大勢います(笑)。観光をしていると、うるさいなぁ~と思われる方もいらっしゃるとは思いますが、この日だけは勘弁してあげてください。

この日から現在までドイツとオランダは常にライバル同士(笑)。特にサッカーなどのスポーツの試合になると絶対負けてはならぬという暗黙のメッセージが飛び交っているような気がします。まあ私はアジアの果てから来た人間なのでどうでもいいですが!(笑)

現在、この解放日を国家の祝日にすべきだという議論が持ち上がっています。この議論がどうなっていくか楽しみです!!

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