フィレンツェのサンティッシマ・アンヌンツィアータ広場、聖堂、美術館情報

公開日 : 2022年01月18日
最終更新 :
筆者 : 白崎和恵

コロナの流行が落ち着き、自由な海外旅行が再開となった際に、是非訪れてほしいフィレンツェとっておきの場所を紹介します!

フィレンツェには歴史のある広場が多数ありますが、そのなかでも私の大好きな広場があります。

大聖堂から700mの距離にあるこの広場は、名前の由来となっているサンティッシマ・アンヌンツィアータ聖堂があり、囲む建物の柱廊の美しいルネサンス建築、広場に面した捨子養育院美術館など、見どころが満載です。

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サンティッシマ・アンヌンツィアータ広場

キリスト教の信仰会のひとつである『聖なる受胎告知のマリア』を象徴としたセルヴィ・ディ・マリア(聖母マリアの下僕)会の聖堂として13世紀に造られた教会を持つ広場です。現在の教会は15世紀に建築家ミケロッツォ、その後レオン・バッティスタ・アルベルティにより増改築が始められました。広場の両側の建物は、半円形アーチと柱が並ぶ美しいルネサンス建築様式。今は美術館となっている建物は建築家フィリッポ・ブルネレスキが手がけ、向かい側の建物の柱廊もブルネレスキのデザインを継承したアントニオ・ダ・サンガッロとバッチオ・ダーニョロによって造られました。

大聖堂から延びるセルヴィ通りから見て、広場にはメディチ家フェルディナンド一世のブロンズ騎馬像(16世紀)が堂々とした姿を見せています。その少し後ろには、広場の中央両側にあるのがブロンズ製のふたつの『海の怪物の泉』という噴水があります。

海のないフィレンツェに、なぜ海の怪物のモチーフの噴水があるのでしょうか?

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メディチ家がコジモ一世の時代から大公として治めていたトスカーナ公国が新しく作ったリヴォルノ港に本来なら置かれるはずだったものです。それを大公フェルディナンド二世が大変気に入り、結局この作品はリヴォルノに設置されず、フィレンツェから離れることはありませんでした。

広場から大聖堂の方角を見ると、広場の構想デザインを手がけた同じ建築家のブルネレスキによる傑作である、大聖堂の丸屋根のクーポラがその美しいフォルムを優雅に見せていて、大公フェルディナンド一世の騎馬像の後ろから写真を撮ると、歴史的情緒を感じられます。

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サンティッシマ・アンヌンツィアータ聖堂

広場に面した入り口から中に入ると、最初に出迎えてくれるのが『奉納物の回廊』です。16世紀の画家のアンドレア・デル・サルトなどをはじめ、ヤコポ・ダ・ポントルモ、フランチャビージオ、ロッソ・フィオレンティーノによる美しいフレスコ画に圧倒されます。

聖堂内に入ると、手前左側の受胎告知の礼拝堂に、13世紀のゴシック期『受胎告知』の祭壇画があります。

翼廊にはルネサンス期のペルジーノ、アンドレア・デル・カスターニョなどの祭壇画、主祭壇や天井画にはバロック時代の作品が並んでいます。

こちらの聖堂は信者達が通う教会として、訪れる人は無料で入場できます。ただし、ほかの美術館になっている有料入場の教会や大聖堂と違って、聖堂が開いている時間は信者がお祈りをしているため、入る時は邪魔にならないよう、撮影をなるべく控え、そっと見るだけにしておきましょう。特にミサの時間はキリスト教信者以外は入場を避けましょう。

■ La Basilica-santuario di SS Annunziata di Firenze

・住所: Piazza della Santissima Annunziata, 50122 Firenze

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捨て子養育院美術館

聖堂を正面に、広場の右側にある建物にある捨て子養育院美術館は、フィリッポ・ブルネレスキが設計した建物群のひとつです。かつて、15世紀初めに絹織物業組合が出資者となり、ブルネレスキに病院建物の建築を依頼し、病院・捨子養育院として、捨てられた新生児・乳幼児を保護する施設でした。19世紀の終わりに病院から生活保護援助公共研究機関に代わり、美術館もできましたが、建物正面の柱廊左側に、親が対面せずに施設に預けるために、なかに乳児を入れていた回転盤の跡が記念碑として残されています。

建物正面のアーチと柱が並び、美術館のシンボルである新生児の姿が入った円形エンブレムで飾られていますが、これは15世紀後半のアンドレア・デッラ・ロッビアによる彩秞陶器です。

美術館内は、その施設の変遷と養育された子どもたちの記録を見ることができ、また、ゴシック期からルネサンス期まで、数々の絵画作品や彩色陶器の作品を収蔵した美術館になっています。

なかには、ボッティチェッリやギルランダイオの作品もあり、ほかの美術館ほど混んでいないため、ゆっくりと美術鑑賞ができます。

美術館の建物の奥には、子ども達を預けるための保育園があります。

いつの時代も人道的でフィレンツェの街の親子を支える施設の役割を担っています。

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サンティッシマ・アンヌンツィアータ薬局

サンティッシマ・アンヌンツィアータ聖堂の広場と大聖堂広場の間の-参道-セルヴィ通りには、かつて、13世紀から布を作る商工組合の建物が立ち並び、現在もその建物には組合の紋章も残っていますが、その通りの途中に、広場と同名のサンティッシマ・アンヌンツィアータ薬局があります。1561年創業のスペッツエリア(ハーブスパイス調薬店)、その後、「受胎告知」の丸い陶器板が建物の正面にあったことから「聖なる受胎告知のサインの薬局」と名付けられ、19世紀後半にさらに短くなり「聖なる受胎告知(マリア)の薬局」へと名前が変わりました。

現在では、香水や化粧品類、石鹸やキャンドル、ディフューザーなどの商品を展開しています。歴史を継承しながらも、こだわりのある商品作り。店内で今もディスプレイ用に使われている木製棚は17世紀のもの。

2021年には創業から460年を迎え、ブランドロゴも一新しました。

自分用に、そして大切な誰かへのプレゼントなどに、洗練された上品な香りの逸品を選ぶのも素敵ですね。

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筆者

イタリア特派員

白崎和恵

名古屋出身。フィレンツェ公認観光ガイド。芸術・歴史文化・グルメ情報、旅行や長期滞在のヒントになるような話題をお届けしていきます。

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