伝統モザイクアートの工房スカルペッリ

公開日 : 2022年07月27日
最終更新 :
筆者 : 白崎和恵

フィレンツェには、16世紀のメディチ家のトスカーナ大公フェルディナンド1世の時に始まり、今でも続いている素晴らしい伝統工芸があります。

その伝統工芸とは、「Commesso Fiorentino(コンメッソ・フィオレンティーノ)」という輝石モザイクアートです。

「commesso」というのは、「commettere=一緒に置く」という意味が元になって、石を一緒に合わせるということから、こう呼ばれています。

石を切って、その天然の色で、自然風景、建物、人、動物、花、紋章、柄、装飾モチーフなどを形作っていきます。職人の熟練の技で、素材が持つ性質を利用して、魅力的な明暗の効果を生み出します。

石で描いたアートとして額縁に入れて飾るものから家具の装飾に至るまで、さまざまなものがありますが、天然石のラピスラズリ、トルコ石、マラカイト(孔雀石)など外国産の石も使い、非常に豪華で高価なものです。

パラティーナ美術館、ヴェッキオ宮殿、メディチ家礼拝堂、Opificio delle Pietre Dure(輝石作業所付属博物館)などでこの伝統的な技術の工芸作品を展示で見ることができますが、実際どうやって作られているのか、興味がわきませんか?

フィレンツェの街のなかでもいくつか工房がありますが、そのなかの一つ、スカルペッリの工房で、職人が細かい手作業で製作しているのを見ることができます。(お店になっています。)

スカルペッリは初代レンツォ・スカルペッリ氏が1972年にフィレンツェ郊外で開業、リカーソリ通りにある今のギャラリー兼工房は2007年から。娘さんであるカティアさんが経営を担っています。

工房/お店入り口

入り口.jpeg

ヴェッキオ橋をモザイクアートで再現!美しいですね。

モザイクアートのヴェッキオ橋.jpeg

工房の様子

工房.jpeg

色とりどりの石を使っていますね。

石.jpeg

デザインに合わせて石をカットして、さらにヤスリで削ってパズルのように合わせていきます。

ひとつひとつのモチーフ、色のグラデーションに使われるピースを繋いでいく根気のいる仕事です。大聖堂のデザインになっていますね。

大聖堂デザイン.jpeg

裏から見るとこうなっているんですね!

裏から見た.jpeg

職人のする精密な作業に思わず見入ってしまいます...

モザイクアート職人手元.jpeg

一人前の職人になるには何年もかかります。

数世紀に渡って続けられている、難しく貴重な技術を持つ職人はわずかです...

伝統技術を絶やさないように、継承していくのは大変ですね。

継承していくためには、伝統文化が多くの人に知られる必要があります。

メディチ家から始まった歴史あるフィレンツェの伝統文化の存在を伝えることが大切です。

工房/お店には日本人スタッフのマユミさんがいて、日本語でもお話が聞けます。

フィレンツェにいらしたら、是非工房を覗いてみてください。

Scarpelli Mosaici - Artigianato Artistico e Mosaico Fiorentino

住所: Via Ricasoli 59/r-50122 Firenze

URL: scarpellimosaici.it

筆者

イタリア特派員

白崎和恵

名古屋出身。フィレンツェ公認観光ガイド。芸術・歴史文化・グルメ情報、旅行や長期滞在のヒントになるような話題をお届けしていきます。

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