立ち読み厳禁!すわって読んでネ、ここはドイツだから

公開日 : 2008年05月02日
最終更新 :
筆者 : 柴山 香
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ドイツの本屋で受けたカルチャーショックといえば、お目当ての本が店になくて注文した場合、超特急(たいてい、1〜2営業日)で届くこと。それから、白昼堂々と店内で本を立ち読み、いや、正確には「座り読み」できることだ。

例えば、私の自宅から徒歩圏内にあるS書店。規模的には中の中といったところだが、店内を見渡すと、通路はもったいないくらいに広いし、ゆったりと平積みになっている書籍の多いこと、多いこと...。日本にある同面積の本屋なら、この二倍の量の書籍が生き残りをかけてしのぎを削っていることだろう。

そんなのどかな田園風景に拍車をかけるように、S書店内中央には彫刻を配した泉がサワサワと涼しげな音を立てていて、その泉を囲んで並ぶのは、"読書用"のソファーとテーブル(本日の画像)。テーブルの上にはご丁寧に読書灯まで置いてあって、どうぞこゝろ行くまで読書をお楽しみ下さいと言わんばかり。

こんな読書コーナーがあるだけでも、客としては十分幸せなのに、ソファーの傍らにはホットドリンクの自販機まで設置してあって、カフェオレ片手に優雅に読書タイムなんてのも可能なのである。

かくいう私も、このソファーで時折読書させて頂いているが(しかも、5回に1回くらいしか買わないのに)、読書中にイヤ〜な顔されたことは一度も無い。(余談:さんざん「座り読み」した挙げ句の、「あの〜、店内の写真、撮らせて頂いてもいいですか?」という厚かましいお願いにも、「どうぞ〜!」とニッコリ笑顔で答えてくれた店長さんへ。今後は4回に1回くらい、売上げに貢献します)

さて、ここまで客の好き放題にさせちゃって大丈夫か?本屋?と、経営悪化を案じてしまうところだが、このソファーにどっぷりつかって日がな読書にふけるようなヒマ人を、実はあまり見かけない。複数の本を比較検討するために一時的に腰掛ける人はいるものの、購入したい商品が決まるや否や席を立ち、会計を済ませてさっさと店を出て行ってしまう。長時間ソファーに陣取るような目障りな客は、不思議なほどいないのである。

そんな具合だから、客ひとり当たりの滞店時間を引き延ばし、ひいては一冊でも多くお買い上げ頂くための店側のアイデアが、この泉とソファーと自販機なのかもしれない。

これが日本だったら、開店前から、ソファーの席取り行列ができそうだけど...。

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