国際工業デザイン賞を受賞した公衆トイレ 〜 ベルリン

公開日 : 2008年10月14日
最終更新 :
筆者 : 柴山 香
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旅行中に何度もお世話になる公衆トイレ。願わくば、一生の想い出に残るようなトイレに出会いたいという想いは、旅人共通のものではないだろうか。

列席したベルリン市長が祝辞を述べ、テープカットもしたという、「ベルリンで最もモダンな公衆トイレ」の落成式がとり行われたのは、ちょうど1年前の夏のこと。そして2008年の春、世界で最も権威ある工業デザイン賞のひとつである"iF communication award 2008"を、何と、この「公衆トイレ」が受賞したのである(過去、高級車レクサス、小田急ロマンスカーも、同デザイン賞を受賞)。

「工業デザイン賞受賞作」の肩書きも誇らしげに、今ではすっかり観光名所の仲間入りを果たしてしまったこのトイレ。所在地は、ベルリンのアレクサンダー広場(通称ALEX)の地下。そもそも、この場所にはすでに1920年代から公衆トイレがあったというから、「ALEXのトイレ前」がデートの待ち合せ定番スポットだったっけな〜!なんていうベルリンッ子もいるのではないか?(真偽のほどは不明)。

さて、時代とともに老朽化が進む中、5ヶ月の工期と総工費75万ユーロ(1ユーロ=150円換算で1億円強)を費やしたというALEXのトイレは、「ベルリンで一番モダンなWCセンター」という大そうな形容詞をひっさげて、生まれ変わった。

構想から建設までを一貫して手がけた(さらに、トイレの清掃・メンテナンスも行っている)Wall社代表取締役によれば、「公衆トイレは、いわば町に配置される公共の家具のようなもの。品質とデザインが、使う人と町並みにマッチしていることが肝要」。

ダークグレーの石造りフロアと、白を基調としたモザイクの壁。ガラスや鏡を随所に使用することで、清潔感と透明感を演出した。また、ALEXにまるわる神話をモチーフとしたプロ撮影の写真も展示されており、用を足すついでに土地の歴史も学べる。車椅子やベビーカーでも、専用エレベーターでスムーズに地下に降りられるので大助かりだ。

「次に使う人がいるのだということを、どうか忘れないでください。」という一文で、落成式の市長の祝辞が締めくくられた。みなさまも、この市長の言葉をお忘れなく。

アレクサンダー広場の「ベルリンで最もモダンな公衆トイレ」は、毎日10〜22時までオープン。実際にトイレを使うには使用料50セントが必要なので、小銭のご用意を。

本日の画像:

映画のワンシーンで、ヒロインが駆け下りてきそうな石造りの階段。(Wall株式会社プレス担当者より、「地球の歩き方ブログ」向けに快くご提供頂きました)

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