市場を歩こう! 北九州の台所 旦過市場
こんにちは、「地球の歩き方」福岡特派員のDukeです。今日は、「北九州の台所」と呼ばれる小倉北区の旦過市場(たんがいちば)を紹介します。旦過市場は、紫川の支流、神嶽川(かんたけがわ)沿いの全長180メートルばかりのアーケード通りとその周辺の路地に広がる昔ながらの市場。この狭い一帯に、新鮮な魚・肉・野菜や様々な惣菜などを扱う店、120軒あまりがひしめきあって、昭和レトロな雰囲気をただよわせています。
旦過市場は、JR鹿児島本線小倉駅から歩いて約10分。モノレールを利用すれば、旦過駅で降りてすぐなのですが、日本最初のアーケード商店街である『魚町銀天街』を通ってぶらぶら散策するのがお勧めです。銀天街を南に歩いて先日紹介した「お好み焼き いしん」を過ぎ、小文字通りを渡ったところが旦過市場の入口。右手に見えるのは、これまた日本で最初に24時間営業を始めたスーパー丸和です(今年の3月から運営母体が代わったことにより、店名は「ゆめまーと小倉」に変更されましたが、旦過市場の再整備が予定されているため、建物の外の看板は以前のまま残されています)。
外から見ると市場の建物は、神嶽川の上にせり出すように建てられていることがわかります。
全国的に商店街のシャッター通り化が進むなか、平日の午前中だと言うのに旦過市場はこの賑わい。
個性的な店が揃う旦過市場は、食材の宝庫。新鮮で、安くて、旨いものが店頭に並びます。特に、魚介は目の前の玄界灘などで揚がる近海ものが主体。今が旬の関門海峡たこもありますね。
珍しいクジラ専門店などもあります。今年は31年ぶりに商業捕鯨が再開されましたが、これから安定的に市場に出回るのかどうか気にかかりますね。
暑さが残るとは言え、季節はもう秋。マツタケが店頭に並んでいました。
小倉らしい料理と言えば、「ぬか炊き」(「ぬかみそ炊き」とも「じんだ煮」とも言います)です。白ご飯とぬか炊きは最高の組み合わせ。山椒の風味がよく、ぴりりと唐辛子も効いて、日本酒や焼酎にもよく合います。
ぬか炊きは、サバやイワシなどの青魚を、漬物などを漬けるぬか床を加えてじっくり炊き上げたもので、江戸時代から続く小倉の味。ぬか床は植物性乳酸菌の宝庫なので、優れた健康食品でもあります。ぬか炊きの店は旦過市場だけでも数軒ありますから、自分の好みの味を探してみるのも楽しいですよ。
市場のもっとも奥まった場所にある旦過うどんも人気のある店です。店の前に置かれた大きなおでん鍋が郷愁と食欲を誘います。
こちらはかまぼこの店。新鮮な魚のすり身をベースに、しいたけや蓮根、とうもろこし、枝豆を使ったものなど、種類も豊富です。にんじんやタマネギを練りこんだ魚のすり身を食パンで包み、サクッと揚げた「小倉カナッペ」は特に人気です。
ちょうど、カナッペ作りの真っ最中でした。生地はふわふわで、見るからに美味しそう。
大學堂は、旦過市場と北九州市立大学が連携して2008年にスタートしたコミュニティスペースで、北九大・人類学ゼミの学生が主体となって運営しています。コンセプトは「街の縁台」で、ミュージシャンによるライブなどのイベントも企画されており、私も何度か聴いたことがあります。
この大學堂の名物と言えば「大學丼」。まず白ご飯だけをよそった丼を購入し、そのまま、市場内を散策して好みの具材を丼に載せて、自分だけのオリジナル丼を作るというものです。大學堂には、味噌汁やお茶、その他の飲みものなども用意されており、居心地も上々。丼を手にして歩き回るのに抵抗がある人は、具材だけを買い集めて大學堂で盛りつけることもできます。旅行者や海外の方にも人気だそうですよ。
続いて、旦過市場のイベント情報です。来たる9月2日(月)は、毎月恒例の「食市祭」。半額市が行われる店舗には赤い印が付けられています。
このほかにも、いろんなサービスがあるようです。そろそろ店頭に並びはじめる秋の食材を見て回るのも楽しそうですね。
こちらはこの日買って帰った旦過市場のおみやげ。手前から右回りに、蓮根揚げ、まるごと椎茸天、もろこし天、若竹天、おいものかき揚げです。
こちらは、外はカリッと、中はふわっとした食感がよいカナッペ。ビールと実によく合うので、旦過市場に行った時は必ず買って帰ります (^-^)ゞ
旦過市場は大正時代初期、漁師がこの辺りの神嶽川河岸の空き地に網ごと荷を揚げて商売を始め、そこに他の業者なども集まって次第に賑わいを増していったことが起源だそうです。100年を越えて北九州の台所として、人々の胃袋を支え続けた旦過市場。建物の老朽化などにより再整備計画が策定され、来年度には着工されるとのことです。新しくなっても、旦過市場独特の雰囲気や各商店の個性を大事に、変わらぬ賑わいを見せる旦過市場であってほしいと思います。
【旦過市場】
○場所:福岡県北九州市小倉北区魚町4丁目1-26
○営業時間:9:00~18:00
○休日:日曜・祝日
○アクセス:JR鹿児島本線・日豊本線小倉駅から徒歩約10分
モノレール旦過駅から徒歩1分
○駐車場:提携駐車場なし。近隣の有料駐車場を利用
筆者
特派員
Duke
縁あって福岡県北九州市に落ち着いて、はや15年。県外の方はもちろん、地元の方にも楽しんでいただけるよう、福岡・北九州の旬な情報を発信していきたいと思っています。
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