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日本国内/福岡特派員ブログ Duke

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2020年4月21日

希少生物や野鳥の宝庫~北九州市曽根干潟


希少生物や野鳥の宝庫~北九州市曽根干潟

こんにちは。「地球の歩き方」福岡特派員のDukeです。北九州市は年間を通じてさまざまな市民参加型イベントを計画しています。今日は、2月9日に市の環境局主催で行われた「冬の曽根干潟満喫~自然体感ツアー」の模様を紹介したいと思います。

参加者は小倉駅新幹線口に集合し、ツアーバスで一路、曽根新田類似公民館へ向かいました。
まず最初に、北九州インタープリテーション研究会の皆さんが温もりのある布絵シアターやたくさんのぬいぐるみを使って、曽根干潟に生息する生物や飛来する野鳥を、季節ごとに分かりやすく解説してくださいました。

1998年(平成10年)、到津遊園の森と動物たちを守る存続署名活動からスタートした北九州インタープリテーション研究会は、「消え入りそうな自然や命のきらめきを伝え守りたい!」という思いをこめて、2002年からは北九州の身近な自然のすばらしさを伝えることを主体に活動しておられるそうです。
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北九州市小倉南区の曽根干潟は瀬戸内海最大規模の干潟で、干潮時には沖合いに約5kmもの広大な干潟が現れ、大潮のときには沖の「間島(まじま:別名クジラ島)」まで歩いて渡ることができます。年間を通じて多種多様な生物が生息し、冬には北日本や大陸から多くの渡り鳥が飛来するなど、貴重な「野鳥や希少生物の宝庫」となっています。

ギラヴァンツ北九州のマスコット、ギランが子供たちのために颯爽と登場。ギランは、曽根干潟のズグロカモメをモチーフにしたキャラクターなんです。昨シーズン、みごとJ3優勝を果たしたギラヴァンツ。今は新型コロナウイルスの影響で開幕の目途が立っていませんが、2020年の今年はJ2で活躍してほしいですね。
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このあと、日本に生息する野鳥の種類や見分け方のコツなどについて説明を受け、いよいよ楽しみにしていた曽根干潟の野鳥観察に出発です。日本野鳥の会の皆さんが、アドバイザーとして同行してくださいました。
右に見えるのは、曽根新田のほぼ中央を流れて曽根干潟に注ぐ貫川。竹馬川と大野川、貫川、朽網川の4河川が注ぎこむ曽根干潟には、年間約7000万㎥の淡水と、約3300tの土砂が流れ込んでいます。これが曽根干潟の生態系を作り上げているんですね。
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潮が引き始めた曽根干潟。ズグロカモメの群れが沖合で波に揺られていました。その向こうに見えているのは、大潮の干潮時には歩いて渡れるといわれる間島です。
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ズグロカモメは、世界中で約3000羽しか生息していないといわれている希少な渡り鳥で、そのうちの約300羽が秋から冬にかけて曽根干潟に飛来します。曽根干潟を代表する野鳥のひとつですが、絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。
しきりに護岸付近を飛び回って、獲物を探すズグロカモメ。その鋭い視線は常に海面を向いていました。
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飛来時の頭部は白とグレーの冬羽で、これがギラヴァンツ北九州のマスコット、ギランのモデルになりました。頭部が真っ黒な夏羽に生えかわる頃には、ズグロカモメは曽根干潟を去って大陸に戻ります。
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ある程度のスピードで飛んでいるときは小さくたたんでいる尾羽ですが、獲物を見つけたのか、主翼と尾羽を大きく広げて安定を保っているように見えます。
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色彩鮮やかな大型カモ類のツクシガモ。ユーラシア大陸の温帯で繁殖し、曽根干潟では約300羽が越冬します。ズグロカモメと同じく、絶滅危惧種Ⅱ類に指定されています。
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頭部は濃緑色、白い体に茶や黒のラインが入りくちばしは赤。遠くからでも目立つ鮮やかなコントラストです。
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町なかでもよく見かけるハクセキレイも、干潟にやってきて餌を探していました。
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こちらは干潟ではなく曽根新田側のクリークで休憩中のコガモ。オスは茶色い頭に、目から首のうしろにかけて緑色のラインが入るなど、歌舞伎役者のような装いですが、メスは地味で小柄。日本に飛来するカモの中では最も小さい種類です。
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私たちに驚いたのか、コガモの群れが一斉に飛び立ちました。羽ばたくと、翼の後方内側部分の羽が緑の濃淡と白で彩られているのがわかりますね。この部分は雌雄差がないように見えます。
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こちらもクリーク。黒灰色の体に、額とくちばしだけが白いオオバン。
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クリーク沿いの枯れ枝にとまるカワラヒワの群れ。ピィーピィーと高い鳴き声が聴こえていました。
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黒い羽に白い斑、胸から腹部にかけてのオレンジ色が印象的なジョウビタキ。
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干潟を歩きながら採餌するシラサギ。シラサギの中ではもっとも小型で、全長60cmほどのコサギです。
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飛翔中のコサギ。
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貫川で見かけた別のコサギです。
散策中、ハマシギやチドリがいると野鳥の会の皆さんに教えていただきましたが、私は見つけることができませんでした (^-^)ゞ
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曽根干潟には多くの珍しい野鳥がやってきます。会場には、ここで観察された野鳥の写真が展示されていました。
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こちらは、曽根干潟に生息する生物。このほか、干潟で採集された珍しい貝なども、生きたまま見せていただきました。
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2億年前からその姿をほとんど変えていないため「生きた化石」とも呼ばれるカブトガニ。私が子供の頃は、河口付近で比較的頻繁に見かけたものですが、今では絶滅危惧種Ⅰ類に指定されるほど、ここ数十年の間に急激にその数を減少させています。曽根干潟は、日本から姿を消そうとしているカブトガニの数少ない生息地のひとつです。
午後は、そんなカブトガニの生態を知り、より身近に感じてもらうための施設「カブトガニ自慢館」を見学しました。
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生きているカブトガニの水槽のほか、パネルやはく製の展示を通じて、カブトガニに関する理解を深めることを目的として、2012年にオープンした自慢館。カブトガニが棲む海を未来に残すため、カブトガニの保護やカブトガニが棲む海・干潟の保全に取り組んでいる《日本カブトガニを守る会》の皆さんによって運営されています。
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脱皮を繰り返して次第に成長する様子(模型ではなく実物)。成体になるまでに10年以上かかるのだそうです。
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カニやエビの仲間だとばかり思っていたら、生物学的にはクモやサソリに近いと聞いてびっくり。
兜前方のカーブやお尻の棘の数などから、カブトガニの雌雄を見分ける方法なども詳しくうかがいました。
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曽根干潟の成り立ちや現状、今後の課題などについて説明する日本カブトガニを守る会福岡支部長の高橋俊吾さん。
開発や埋め立てなどによる海流の流れの変化によって曽根干潟の土質が砂から泥に変わりつつあり、生物相が変化してきているとのことでした。また、水鳥の生息地として重要な湿地に関する取り決めであるラムサール条約に関して、曽根干潟は生物学的要件は十二分に満たすものの、開発規制に関する法的整備や地域住民や自治体の理解などが不十分であることなど、わかりやすく説明していただきました(写真のブログ掲載について承諾をいただいています)。
(ラムサール・ネットワーク日本機関誌「ラムネットJニュースレター」第31号に掲載された高橋さんの記事はこちら
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高橋さんの案内で、干拓によって生まれた曽根新田を散策。
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江戸時代に遡る開拓の歴史、小倉藩と地元の庄屋さんとの関係などについて、興味深いお話を聞くことができました。
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「冬の曽根干潟満喫~自然体感ツアー」参加賞の数々......。読んでいて楽しい曽根干潟のパンフレットや干潟生物ハンドブック。日本野鳥の会編纂のおさんぽ鳥図鑑は、散歩中に見つけた野鳥の判別に役立ちそう。お尻のポケットにも入り、スマホでQRコードを読み取れば鳴き声まで聴ける優れものです。
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海流の流れの変化により、南からさまざまなゴミが干潟に流れ込むほか、近年はゴミの不法投棄も絶えないそうです。私たちが訪ねたときは、そうしたゴミは目にしませんでしたが、カブトガニを守る会や地元の皆さんの努力によって、かろうじて現状が保たれているのだと思います。曽根干潟を守り将来の世代に引き継いでいくためには、まずは曽根干潟の役割や重要性を私たち市民が理解することが大事だと感じました。
「響灘をめぐる!エネルギーバスツアー」に続いて参加した北九州市主催の体験学習バスツアー。個人ではただ行くだけで終わってしまいそうですが、ツアーに参加したおかげでいろいろ体験させてもらいました。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、市が主催するイベントはすべて中止または延期となっていますが、影響が収束に向かい早く再開されることを期待したいと思います(イベント情報は、市のウェブサイトや市政だよりなどで確認できます)。
【曽根干潟】
・場所: 北九州市小倉南区大字曽根~曽根新田
・アクセス: JR日豊本線「下曽根駅」から徒歩40分、最寄りバス停「曽根新田」から徒歩15分
     (車)北九州都市高速「長野」出口から約15分
・駐車場: なし

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カテゴリー 自然・風景
2020年4月21日
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    旅行、温泉、グルメが大好きな元転勤族。北は青森から南は沖縄、米国アルバカーキやハワイを含めると、ちょうど10か所での生活を体験しました。縁あって福岡県北九州市に落ち着いて、はや10年。福岡県は過ごしやすい気候と豊かな自然に恵まれ、水炊きやもつ鍋、豚骨ラーメンや北九州発祥の焼きうどんなど、美味しいものもたくさんあります。県外の方はもちろん、地元の方にも楽しんでいただけるよう、福岡・北九州の旬な情報を発信していきたいと思っています。併せて、「ルイガノ旅日記」もご覧いただければ幸いです。 DISQUS ID @disqus_l7uXZ8XrgH

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