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イタリア/ジェノバ特派員ブログ 浅井まき

イタリア・ジェノバ特派員が現地からヨーロッパ地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。


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今日は海の日ですね。
イタリアでもフィレンツェやボローニャなどの内陸部やヴェネツィア、それにミラノやトリノなどのポー川周辺は湿度が高く蒸し暑いです。一方でジェノバのあるリグーリア州の海辺は、日差しは強く厳しいものの、カラッと晴れて爽やかな風が吹き、比較的過ごしやすい気候です。

さて、これから夏休みに入るという方、8月にイタリアを訪れる予定という方も多くいらっしゃると思います。チンクエ・テッレなども人気の行先の一つになっているのではないでしょうか。もしジェノバやリグーリア州を訪れるのであれば、せっかくなので綺麗な海を見に行きたいですよね。
今回の記事では、リグーリアの最も美しいビーチの一つ、セストリ・レヴァンテをご紹介します。




イタリアで最も美しいビーチの一つ

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(“静寂の入江”)


ジェノバからはTrenitaliaの普通列車またはIntercityで1時間~1時間半ほど東に向かったところ。ちょうどジェノバとチンクエ・テッレの中間ぐらいに位置するのがセストリ・レヴァンテです。
駅から20分ほど歩くと”Baia del Silenzio(静寂の入江)”と呼ばれるビーチに到着します。澄んだ浅瀬に、この地方では珍しい白い砂浜。この素晴らしいビーチはイタリアの多くの旅行サイトでも紹介されています。
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(砂浜のビーチ)

(参考)
イタリアで最も美しいビーチ10選(Zingarate)
イタリアの美しいビーチランキング2018(7位)(Travel365)

注目すべきは、これらのランキングに名前が挙がっているビーチの殆どが南イタリア、シチリア島、サルデーニャ島であるということ。北イタリアからのランクインはチンクエ・テッレのモンテロッソかここセストリ・レヴァンテだけなのです。





ジェノバ支配下、重要な防衛拠点として台頭

セストリ・レヴァンテの歴史を見てみると、11世紀にはジェノバとピサとの抗争において重要な拠点として位置づけられていたことがわかります。
ジェノバ共和国の領土東部の中心に位置する天然の要衝とあり、中世を通じてルッカやヴェネツィアなどが攻撃を仕掛けますが、失敗に終わります。
近世には一時手形取引の中心市場が置かれていたこともあり、ジェノバにとって非常に重要な拠点でした。





“インスタ映え”する撮影ポイント

セストリ・レヴァンテは海がきれいなだけでなく、海辺に並ぶカラフルな建物もとてもフォトジェニック。この全景が見渡せる写真撮影スポットがビーチから少し横道に進んだところにあるカプチーニ通り(Via Cappuccini)です。
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(高台へ向かうカプチーニ通り)


この崖沿いの道を上っていくと、”静寂の入江”全体を見渡すことができます。狭い道ですが車の往来が結構ありますので、道沿いに点在するベンチのある休息所での撮影をお勧めします。





目抜き通りでショッピング、お洒落なホテルも多数

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(ダンテ・アリギエリ通り。塔のある建物には図書館と考古学博物館が入っています)


“静寂の入江”の反対側にも公共ビーチがあり、多くの人でにぎわっています。2つのビーチの間に挟まれた狭い道沿いには多くのレストランや商店が並んでいて、ショッピングやアペリティーヴォ(夕方~夜にかけて軽食を食べながらお酒などを飲むこと)を楽しむことができます。
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(海岸沿いのリメンブランツァ通り。ヴィラ・バルビは17世紀の屋敷を利用したホテル)


このセストリ・レヴァンテには旧ジェノバ共和国の貴族が建てたヴィラも多く残っていて、そのいくつかは現在ホテルになっています。





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(カプチーニ通りの脇にあるカプチーニ教会付近より)


日本で販売されている旅行ガイドにはあまり名前が載ることがないですが、リグーリア州の中でもとてもおすすめのスポットの一つです。この近辺へのご旅行をお考えの方は、ぜひ立ち寄りを検討してみてくださいね。


2018年7月16日

世界各国の国旗にはそれぞれ深い由来や由緒があるものですが、様々な理由から似たような国旗(または市旗)を使用している国や地域もありますよね。とはいえ、例え他の国や地域の旗と見分けがつかないくらい似ていても、長い間慣れ親しんだ国旗を変更するということはなかなか考えづらいものがありますね。
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(ジェノバの旗は白地に赤の十字)


ところが、ここへきてジェノバ市長のある発言がイギリスでも大きく取り沙汰されています。
(引用:2018/7/5付 英ガーディアン紙web版)

“イングランドの市民がワールドカップに乗じて聖ジョージクロス旗をパブや窓の外、車に掲げているなか、イタリアのある市長がこの赤十字の使用について数世紀にわたる延滞料金を督促することを示唆している”

(引用:2018/7/6付 英ザ・サン紙web版)
“高慢なイタリア都市のリーダーたちはなんと、我々が数百万に上るであろう250年分の未払債務を返済するよう説得する書簡を女王陛下に送ろうと考えている”

これは一体どういう問題なのでしょうか。
この記事ではジェノバとイングランドの間に浮上した「聖ジョージクロス旗使用料未払い問題」についてクローズアップしてみたいと思います。




約250年分の使用料未払い?

(引用:2018/7/4付 伊クオティディアーノ紙web版)

“「女王陛下、遺憾ながらお知らせしなくてはなりません。我々の記録を確認したところ、あなた方は直近247年分の(国旗の)使用料を未だ支払っておられません」” (ジェノバ市長マルコ・ブッチ氏)

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(聖ジョージ=聖ジョルジョ。ジェノバのサン・ジョルジョ宮正面のフレスコ画より)


ジェノバの市旗(旧ジェノバ共和国の国旗)は白地に赤の十字、いわゆる「聖ジョージ・クロス」と言われるもので、イングランドの国旗はこれと”全く同じもの”です。
元々ジェノバが使用していたのをイングランドが後から採用したもので、サッカーのイングランド代表の試合を見ると、この国旗があちこちに揺れているのがわかります。
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(ジェノアCFCのサポーターたちもあちこちで使用しています)


とはいえ、このシンプルな旗は特に珍しいものでもなく、イタリアでは同じ旗をミラノ、イヴレア、パドヴァなど実に45の都市が使用している、非常にメジャーなデザインです。
ではなぜイングランドがこの国旗を使用するのにジェノバが使用料を請求するのか。その所以は実に中世までさかのぼります。





イングランドがジェノバの国旗を借りた理由

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(15世紀のジェノバの艦隊:ジェノバ、ガラタ海の博物館所蔵、Christoforo de Grassi 「ジェノヴァの風景」、パブリックドメイン<ウィキメディア・コモンズより引用>)


ジェノバがこの赤十字の国旗を採用した時期ははっきりとはしていませんが、1096年前後にはその使用が確認されています。この旗は十字軍の旗印としても採用されていました。

12世紀から15世紀頃、地中海でジェノバ共和国と言えばヴェネツィアと覇権を争う強力な海洋国家。とりわけイタリア半島以西の西地中海や、さらに黒海ではジェノバの海軍力が非常に行き届いていました。
中世の地中海と言えば海賊が多発する危険な海でしたが、そんな海賊たちもジェノバの軍事力を恐れ、白地に赤十字のジェノバ共和国旗を掲げた船には手を出しませんでした。


この旗を掲げることで、ジェノバ海軍によって保護されていると示して商船への海賊被害を防ごうと考えたのが地中海を航行するイングランドの商人たちでした。1190年、イングランド王国は正式にジェノバ共和国に対してこの旗の使用の承諾を請い、その見返りとして毎年一定の使用料を支払うことを約束しました。


この使用料はジェノバがオーストリア軍によって一時占領された1746年まで支払われた記録が残っているそうですが、それ以降の支払いは確認されていないとのこと。
市長は市内の古文書を調査し、その金額を算定しているところだとしていますが、本当に約250年分もの使用料を支払うことになればその額はいくら大国のイギリスといえど馬鹿にならないものになりそうです。




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(ジェノバの街中にも随所に掲げられています)


もちろん、ブッチ市長は最後に半分冗談だとつけ足したうえで、「これはジェノバ市にとって最高のマーケティングになりますね」と語っています。
ただし、かつての経済大国で、現在でもイタリア随一の”ドケチ”として有名なジェノバでは

“お金の問題は極めてシリアスである”(引用:クオティディアーノ紙、同上)
のです。



西日本での洪水の被害に遭われた方の一人でも多くの無事と早期の回復をお祈りいたしております。


2018年7月 7日

ワールドカップも決勝トーナメントに突入し、、いよいよ盛り上がっていますね。
そんな中ですが、イタリアでは毎月第一日曜日に全国の国立美術館、博物館がお得に利用できるのをご存知でしょうか。各地多くの施設が無料で一般開放されますが、ここジェノバでもこの機会を活用することができます。
今回の記事では、ジェノバ市内で第一日曜日に無料で入館できる施設の一つ、「王宮」についてご紹介します。

近世ジェノバ最大かつ最も豪華な邸宅

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(窓を広く取った、シンメトリーの優雅なたたずまいを海側から。入り口は反対側ですが、こちらが正面です)


ジェノバにある国立美術館はこの王宮およびスピノラ宮国立美術館の2つです。
この「王宮」ことバルビ・ドゥラッツォ・レアーレ宮(Palazzo Balbi Durazzo Reale)は17世紀半ばに建設され、1664年に迎賓館リストである「ロッリ」に登録されました。(「ロッリ」制度についての詳細はこちらの記事へ→ https://m-tokuhain.arukikata.co.jp/genova/2018/04/post_1.html )


ジェノバ市内の17‐18世紀の建築物の中では最も広く、その内装や調度品などがそのまま残されています。その規模と見事な装飾や美術品のコレクションから、18世紀には多くの文化人が訪れたそうです。かのナポレオン・ボナパルトもこの屋敷に魅了された人物のひとり。そして、サルデーニャ王国への併合時には国王カルロ・フェリーチェがジェノバにおける居所としてここを利用したことから、「王宮」と呼ばれるようになりました。





屋敷の主たち

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(フレスコ画や漆喰の彫刻で装飾された内部)


屋敷を建設したのはステファノ・バルビという人物です。バルビ家はジェノバではいわゆる新興勢力でしたが、ステファノはスペインへの融資や商業などで莫大な富を築いた人物で、「水銀王」との異名を得ていました。
市内でも長者番付上位に食い込むほどの富を持っていても、新興勢力であるために、旧来からジェノバの政財界を牛耳ってきた由緒ある貴族たちに対抗するため、自らの力と存在意義を強くアピールする必要がありました。そこで、市内のどの邸宅にも負けない、大きくて豪華な屋敷を建てたのです。その後、1677年に同じく新興貴族のドゥラッツォ家の手に渡り、更なる拡張が行われました。1824年、サルデーニャ王国のサヴォイア王家の所有となります。ここが美術館として利用されるようになるのは屋敷が国有化された1919年のことです。





内部へ潜入!

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(鏡のギャラリー)


内部の見学は、入口左手の売店でチケットを購入した後、階段を最上階まで上ったところからスタートし、内部を時計回りに進んでいきます。
所蔵品は絵画、彫刻、工芸品など多岐にわたり、壁や天井のバロック~ロココ様式の装飾も見事なものです。
この屋敷の最大の見どころと言えば、「鏡のギャラリー」でしょう。
ヴェルサイユ宮殿の鏡の間と比較すると、規模も小さいですし、地味かもしれませんが、海辺の明るい光を受け華やかで優美な空間となっています。18~19世紀にかけて、多くの客人がここで食事や舞踏会を楽しんだそうです。内装はジェノバ出身の芸術家ドメニコ・パローディの手によるものです。
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(玉座の間)


邸宅の中央部にはサヴォイア家の国王が滞在していた当時を彷彿とさせる、「玉座の間」があります。赤のベルベット貼りの壁が荘厳さを引き立てています。
ここで展示されている絵画作品の中で目玉と言えば、アントン・ヴァン・ダイクの「カテリーナ・バルビ・ドゥラッツォの肖像画」ですが、2018年9月まで貸出し中です。その他の作品は多くが17世紀にジェノバで活動した画家のものです。
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(謁見の間)


表のバルビ通りに面した北側部分がいわば公的空間であるならば、南側は屋敷の住人たちが暮らしていた私的な空間です。広い窓から明るい光が差し込む室内は相変わらず絢爛豪華ですが、どこか生活感を感じさせます。各部屋には絵画作品のほかにも、調度品や家具などが展示されています。





通常一般公開されているのは以上の2階部分のみですが、特別な展示会などがある場合、1階部分も公開されている場合があります。
ジェノバの黄金時代の名残を最も濃く残す建築物のひとつです。ゆっくり回っても1時間強程度で十分に楽しめますので、ぜひ訪れてみてください。
王宮(Museo di Palazzo Reale)
Via Balbi 10, Genova, GE
入館料金:€6.00(※毎月第一日曜日は無料)
   (※スピノラ宮国立美術館の一般チケットを提示すると、割引料金が利用できます)
開館時間:火-金 9.00-19.00
     土日祝 13.30-19.00
     (※チケット売り場は18:30まで)


2018年7月 2日
2018年6月24日
2018年6月18日
2018年6月10日
2018年6月 4日
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  • 特派員プロフィール
  • ジェノバ特派員

    ジェノバ特派員
    浅井まき
    大学卒業後、社会人を経て2015年渡伊。イタリア北部リグーリア州の港町ジェノヴァに住み始めてはや3年目。現在はジェノヴァ大学の大学院史学研究科に在籍。日本と大きく異なるイタリアでの大学院生生活に四苦八苦しつつ、17~18世紀のジェノヴァ共和国に関する研究を行っている。自分の専門以外にも西洋史全般、美術、現代音楽、グルメ、スポーツなどへの関心大。晴れた休日には近郊へ写真撮影に行くのが楽しみ。 DISQUS ID '@disqus_n3hiU5o4o9

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