パブリックフットパスを歩いてみよう 3
パブリックフットパスを歩いていると、もしかしたら、途中で、「ブライドルウェイ(Bridleway)」と記されている道しるべに出くわすことがあるかもしれません。パブリックフットパス(Public Footpath)は歩行者のみが通行を許されている小道ですが、ブライドルウェイ(Bridleway)は歩行者のほかに、馬、自転車も通行を許されています (車はもちろんのこと、バイクは通行不可) 。ちなみに、「ブライドル(bridle)」というのは、馬のくつわや手綱などの馬具のことです。ときには、ウォーキングコースの一部がブライドルウェイと重なっている場合もあるかと思います。ブライドルウェイでは、とくに休日など、ぱかぱかとのどかな蹄(ひづめ)の音をひびかせて通りすぎていく馬と乗馬者の姿が見うけられます。
人の姿はまったく見かけなくても、羊の姿を見かけないことはまずないと思います。
子羊が生まれるイースター(復活祭)のころには、親子連れの羊たちの姿が春の野原のあちこちで見られます。
放牧されている牛や馬もおなじみ。
放牧されている家畜ほど頻繁にお目にかかることはできませんが、ひょっこり野生動物に出くわすこともあります。
残念ながら、カメラにおさめることはできなかったのですが、それは数年前、人影のない田舎のパブリックフットパスを歩いていたときのこと。何か動くものの気配を感じて立ち止まると、目の前の野原を2頭のシカがもつれ合うようにとび跳ねながら横ぎっていく姿がありました。まるで空中を飛翔するかのような躍動感としなやかな肢体の美しさに息をのみ、ひたすら見ほれてしまったこともありました。
かと思えば、春先のころ。小高い丘のへザーのブッシュの足もとで、ケッケラケッケラ甲高い声でいったい何があざ笑っているのだろうと思うと、ころんっと丸い母親グラウス(ライチョウ)がひなグラウス3、4羽をしたがえて、ブッシュのあいだの小道を親子でよたよたよちよち横ぎっていくのに出くわしたこともありました。
また、歩いている足もとで、突然、バサバサバサッ。
いったい何の騒ぎかと肝をつぶしたとたん、赤と緑と茶色の鮮やかな羽毛を身にまとったオスのキジが長い尾をひきずって木立ちのかたなへ飛び去っていったことも……。
せせらぎ沿いの岸を、野ねずみがちょこまかとび跳ねまわっていたかと思うと、すみかの穴ぐらの中へダイブして消えたり。
イギリスの野うさぎには、「ピーターラビット」でおなじみの小型のうさぎラビット(rabbit)と、
ラビットに比べると、大型で耳と脚が長いヘアー(hare)と呼ばれるうさぎがいます。ラビットは、野原を歩いているとあちこちで見かける穴の中に住んでいて、ひょっこひょっこ立ち止まるように動くのでよく見かけますが、ヘアーは野原に住んでいて、「あっ、あれがヘアーか!」と思ったときにはもう姿がありません。
パブリックフットパスを歩いていると、のどかな緑の風景の中で、街の生活ではなかなかお目にかかれない家畜や野生動物たちとの思いがけない出会いがあります。イギリスの人々のあいだに、ウォーキングが週末のレジャーや長期のホリデーとして定着しているのもうなづけます。
みなさんもどうか、その足でイギリスの田舎を歩き、その目でイギリスの田舎の風景や動物たちと出会ってみてください。きっと、おだやかな景色の中にとけこんで一体となるような心休まるひとときをすごせることと思います。
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