｢ハリー・ポッター｣の蒸気機関車の旅

ハリー・ポッターとその他のホグワーツ魔法魔術学校の生徒たちが｢ホグワーツ特急｣に乗りこむのは、ロンドンにあるキングズクロス駅。その実際のキングズクロス駅の構内に、｢ホグワーツ特急｣が発着するプラットフォーム｢9と3/4番線｣があるのをごぞんじですか。

ということは、｢ホグワーツ特急｣にも乗りこめそうにもありませんが、｢ホグワーツ特急｣を彷彿(ほうふつ)とさせる蒸気機関車に乗って、ハリーやその仲間たちが｢ホグワーツ特急｣の車窓からながめるのと同じ景色を楽しむ旅はできるのです。今日は、その蒸気機関車｢ジャコバイト(The Jacobite)｣の旅をご紹介します。

｢ジャコバイト(The Jacobite)｣が発着しているのは、スコットランドのグラスゴーでウェストハイランド線(West Highland Line) に乗りかえて、さらに北西へ入ったスコットランドの山岳地帯ハイランド最大の町フォートウィリアム(Fort William)の駅。今年(2008年)の｢ジャコバイト｣の運行期間は、5月19日から10月10日まで。そのうち、6月28日から8月31日までは、通常の月曜日から金曜日の運行にくわえて、週末の土曜日と日曜日も運行しています。

フォートウィリアムから、前回の記事でご紹介したグレンフィナンを経由し、スカイ島やその他のスコットランドの島々へ渡るフェリーの発着している海辺の町マレイグ(Mallaig)まで片道の全長が42マイル(68キロメートル)、２時間におよぶ汽車の旅となります。

｢ジャコバイト｣の運行は、フォートウィリアムとマレイグ間を一日に一往復のみです(往路：フォートウィリアム発10:20、マレイグ着12:25。復路：マレイグ発14:10、フォートウィリアム着16:00)。往復すると、ほとんど丸１日の旅となってしまうので、もう少し短時間の旅にアレンジしたいと思われる場合は、片道だけ蒸気機関車の｢ジャコバイト｣に乗車し、往路または復路は、同じ路線を運行している電車を利用するという手もあります。

ちなみに、今年(2008年)の｢ジャコバイト｣の運賃は、当日のみ有効の一等車(First Class) の往復切符が、大人43ポンド、小人21ポンド50ペンス、普通車(Standard) の往復切符が、大人29ポンド、小人16ポンド50ペンスです。また、片道切符は、一等車が、大人34ポンド、小人17ポンド50ペンス。普通車が、大人21ポンド50ペンス、小人12ポンド50ペンス(今朝の換算レートによると、1ポンドは、190円あまり。また、100ペンスが1ポンドです)。一等車には、車内で紅茶やコーヒーのサービスがあります。

｢ジャコバイト｣の客車は、映画｢ハリー・ポッター｣の｢ホグワーツ特急｣の客車として撮影に使われています。そう言えば、ハリーたちこんな個室になった座席にかけてましたよね。

｢ジャコバイト｣がフォートウィリアムの駅を出発すると、ほどなく背後にイギリス最高峰ベンネビス山がどっしりとした姿をあらわします。

先にご紹介したグレンフィナンは、フォートウィリアムとマレイグのちょうど中間地点に位置します。そして、このグレンフィナンのあたりから車窓には、ハリー・ポッターの映画のシーンに迷い込んだかのような景色が広がりはじめます。

この画像を撮影した日はあいにく曇天と雨の空模様だったのですが、それでも、雄大な景色に出会えました。｢ジャコバイト｣は緑深い山々の谷間をぬい、ひっそりとたたずむ湖の湖畔をかすめ、大西洋岸にのぞむマレイグをめざしてひた走ります。

マレイグの駅舎もプラットフォームもひっそりと静まり返っているかに見えたのですが、｢ジャコバイト｣が到着するやいなや……。

わたし自身もこのアマチュアフォトグラファーのひとりではあったものの、いやあ、ハリー・ポッター人気はまだまだ衰(おとろ)えを知らないと思い知らされたのでありました。

蒸気機関車｢ジャコバイト｣のサイト　ご注意！このサイト、蒸気機関車の音入りです。