古き良き時代の旅情ただようバー&カフェ
「中央駅に素敵なカフェがあるの知ってる?」という友人の問いに、長年住み慣れた街の駅に素敵なカフェなんてあったかなと首をひねったわたし。「昔の待合室を使っていて落ち着いたいい雰囲気なのよねえ」しかも、去年のベスト・バーにも選ばれているというので、早速、そのバー&カフェ「センチュリオン(Centurion)」に足を運んでみたのでありました。
「センチュリオン」があるのは、イングランド最北端の都市ニューキャッスル・アポン・タイン(Newcastle upon Tyne)の玄関口ニューキャッスル中央駅(Newcastle Central Station)。ニューキャッスルは、イングランドとスコットランドの首都を結ぶ主要幹線イーストコースト本線(East Coast Main Line)上に位置し、ロンドンから北へ3時間、エディンバラまでは1時間半の距離にあります。
ニューキャッスル中央駅は1850年に完成し、開業式はビクトリア女王の臨席を仰いでとり行なわれました。その当時から今も現役でロンドンからの電車を中央駅に運び込んでくるのは、蒸気機関車の父ジョージ・スティーブンソンの息子ロバート・スティーブンソンの設計によるハイレベル・ブリッジ(High Level Bridge)。
近郊の村出身のジョージ・スティーブンソンは、息子ロバートと共同経営の鉄道会社をニューキャッスルで営み、イギリス国内のみならず、日本を含む海外にも蒸気機関車を輸出していたのでした。
ニューキャッスル中央駅を出た電車は、「ニューキャッスル(Newcastle)」という地名の元になった「ニュー・キャッスル(New Castle)」の天守閣キャッスル・キープ(Castle Keep)のわきをかすめてスコットランドの首都エディンバラへと向かいます。
さて、駅舎にあるバー&カフェ「センチュリオン」の入り口をくぐってみると、
ギャラリーか博物館にでも足を踏み入れたかのようなゆったりとした空間が迎え入れてくれました。この奥に駅の構内の雑踏があるのだとは想像できないほどの静けさ。
片側には、バーカウンター。
そして、天井の中央の天窓からは柔らかな光がふり注いで……。
かつては一等車の乗客用のラウンジとして使われていただけあって、内装は細部まで凝った造りになっています。ふんだんに施されたタイル細工には時の流れによって磨きこまれたかのような重厚であたたかな味わいが感じられます。
心地よいソファ席に腰を落ちつけ、ティーカップを片手にくつろいでいると、ガランとしていた室内にいつしか旅人たちの姿と話し声が満ちていました。
ニューキャッスル中央駅には、ロンドンからエディンバラからおのおの30分に1本ずつの割合で電車が発着し、ブリテン島を横断してカーライルに向かう路線をはじめとするローカル線や地下鉄も乗り入れています。
入ってきたのとは反対側、駅の構内側への「センチュリオン」の出口を出ると、目の前がチケットオフィス。
さらに、その向こうはプラットホームになっています。
つまり、改札口はないのです。オープンチケットを持っていれば、途中下車はしたい放題。ロンドン・エディンバラ間のイーストコースト本線でご旅行の際、時間的なゆとりがあれば、ぜひニューキャッスル中央駅の駅舎のバー&カフェ「センチュリオン」に立ち寄ってみてくださいね。古き良き時代の鉄道の旅の雰囲気が味わっていただけることと思います。軽食メニューもあるのでランチもできますよ。
実は、ニューキャッスル中央駅の駅舎自体もイギリスの文化財の第一級建造物に指定されているのですが、駅の周辺にも、先にご紹介したキャッスル・キープのほか、聖ニコラス大聖堂や、街まで足を伸ばせば、紅茶の名前でおなじみの地元出身の首相アールグレーのモニュメントなど歩いていける範囲内で見所も数々あります。「センチュリオン」でランチかお茶をしたあと、辺りを見物してみようと思われる場合には、駅の構内には手荷物預かり所もあるので便利です。
さらに北へスコットランドまで旅を続けられる場合は、ニューキャッスル中央駅を出てしばらくすると、右手の車窓に海辺の景色が広がりはじめます。海岸沿いに建つ古城や、お天気のよい日には青くきらめく北海の海原がごらんになれます。ではでは、イギリスの鉄道の旅がお天気に恵まれた思い出に残る旅になりますように……。
ニューキャッスル中央駅にあるバー&カフェ「センチュリオン(Centurion)のサイト
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