北の天使「エンジェル・オブ・ザ・ノース」

公開日 : 2009年04月28日
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日本ではまだおなじみではないと思うのですが、去年、誕生から10周年を迎えた北の天使「エンジェル・オブ・ザ・ノース(Angel of the North)」、イギリスでは、北東イングランドの新名所として全国的に知られるようになりました。今日は、そのたぐい稀な巨大現代彫刻の姿を足もとから、とくとごらんいただこうと思います。

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北の天使「エンジェル・オブ・ザ・ノース」が建っているのは、前々回ご紹介したニューキャッスル中央駅のあるニューキャッスルに隣接するゲーツヘッド(Gateshead)市の小高い丘の上。足もとには、イングランドの首都ロンドンとスコットランドの首都エディンバラを結ぶ幹線道路A1号線(上の画像)や幹線鉄道イーストコースト本線(East Coast Main Line)が走っているので、両首都間を旅する人の目にはいやが上にも飛びこんできます。そして、それが何であるかをご存じであるかないかにかかわらず、移動中の車窓から目を離すことができなくなるのではないでしょうか。

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はじめて目にするその立ち姿はそれほどインパクトがあると思うのです。「あれは、人か? それとも、飛行機か?」何とも言葉では形容しがたい姿を「天使(エンジェル)」と銘打ったのは、生みの親である芸術家の命名の妙。その彫刻家アントニー・ゴームリー (Antony Gormley)氏は、この北の天使「エンジェル・オブ・ザ・ノース」によって全国的に名前を知られるようになったのでした。

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総工費100万ポンド(現在のレートで1.5億円ほど。当時のレートだと2億円以上)にものぼる建設計画が持ち上がったときから、地元では喧々諤々(けんけんがくがく)の賛否両論が戦わせられ、完成した後も、地元では評価はあまりかんばしくなかったのでしたが、何しろ高さ20メートル、幅54メートルに及ぶサイズも見た目も存在感のあるイギリス最大の現代芸術作品。ロケーションも幸いしたかとも思えるのですが、全国的に知られるようになって地元での酷評はなりをひそめ、今では、地元のシンボル的な存在と見なされるようになっています。

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エンジェル・オブ・ザ・ノースの足もとには訪れる人々の姿が絶えることがありません。というのは、やはり人気のゆえなのか。それとも……。昨年4月、大手旅行保険会社によって行なわれたアンケート調査によると、イギリス国内で実際訪れてみてがっかりする観光名所の中で、イギリス国会議事堂ビッグベン(10位)、バッキンガム宮殿(8位)、ダイアナ妃の記念碑メモリアル・ファウンテン(5位)を差しおいて、エンジェル・オブ・ザ・ノースは、第2位に輝いたのでした。それでも、第1位の古代遺跡ストーンヘンジには及ばなかったのですけれどもね。

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その一方で、イギリスの「イエローページ」がアンケート調査を行なった「イギリス七不思議」の中では、国会議事堂ビッグベン、ローマ遺跡ハドリアヌスの長城、複合型環境施設エデン・プロジェクト、大観覧車ロンドンアイ、英国王室の離宮ウインザー城、古代遺跡ストーンヘンジ、ヨークミンスター大聖堂に次いで、エンジェル・オブ・ザ・ノースは、第8位に選ばれています。ということは、残念ながら「イギリス七不思議」にはもれてしまったものの、やはり、エンジェル・オブ・ザ・ノース、イギリスの人々の不評ばかりではなく好評も集めているようです。

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また、去年の秋には、全国ニュースの話題にものぼりました。イギリスの国営放送BBCの番組に、アンティークの鑑定家たちがイギリス各地を訪れて地元の人々が持ち寄ったアンティークを鑑定し、値踏みをするという息の長い人気番組があります。その「アンティーク・ロード・ショー(Antiques Roadshow)」が、去年の秋、ゲーツヘッドで収録されたのでしたが、エンジェル・オブ・ザ・ノースの作者ゴームリー氏製作による製作模型の鑑定を受けたところ、「アンティーク・ロード・ショー」の15年の歴史の中で最高値の100万ポンド(なんと本体の総工費と同額!)をつけたのでした。その製作模型はゲーツヘッド市の所有。また、ゲーツヘッド市によると、ゴームリー氏による別の製作模型は、実際に200万ポンドで買いとられたものがあったのだとか。

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このニュースを耳にしたとき、えっ!10年前に造られたエンジェル・オブ・ザ・ノースがもうアンティーク? その上、15年に渡って「アンティーク・ロード・ショー」に持ち込まれた数々のアンティークの中で最高値って? 個人的には、首をひねることが多かったものの、どうやら、今や、北の天使「エンジェル・オブ・ザ・ノース」がイギリス全国区の観光名所としての位置を確立しているのは事実。さて、訪れてみると、がっかりしてしまうのか。それとも、その人気のほどを実感できるのか。自分の目で確かめてみようと思われる方は、以下のサイトの地図をご参照の上、A1号線からエンジェル・オブ・ザ・ノース への道路案内を見つけたら、A167号線へと車のハンドルを切ってください。

ゲーツヘッド(Gateshead)市のサイトの中の

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