イギリスの大地を赤紫に彩るヘザーの花
わが家から南へ車で40分ほどの田舎に、夏になると、見わたすかぎりヘザーの花が咲く平原があります。ところが、去年の夏の終わり、英国国営放送BBCの地方ニュースで、ノースヨークシャー(North Yorkshire)の荒野ムーアでヘザーが花盛りというニュースを見ました。どうやらノースヨークシャーのヘザーは、わが家の近くの田舎のヘザーに輪をかけた見事さのようなので、今年の夏は、ぜひ、そのヘザーの花盛りを見に行きたいと思っていました。ですが、残念ながら、その場所がノースヨークシャーのどこなのかがよくわからなかったのです。
すると、先月末、まさに渡りに舟のタイミングで、ノースヨークシャーの北に住む友人がヘザーの花を見に行こうよと誘ってくれました。というわけで、今回は、イギリスの夏の大地を赤紫に彩(いろど)るへザーのお話......。
イギリス国内では、北イングランドとスコットランドのムーア(moor)、あるいは、ムーアランド(moorland)と呼ばれる酸性土壌で農耕にも適さず、牧草も育たない荒地で見られると言われていますが、南西イングランドの高地などでも見ることができます。こちらは、イングランド南西部デボン州(Devon)にあるダートムーア(Dartmoor)に出かけたときに見かけたヘザー。
ところで、このヘザー、ヒース(Heath)と呼ばれることもあります。ヒースと聞くと、イギリス文学に造詣の深い方は、エミリー・ブロンテ作の「嵐が丘」の主人公ヒースクリフ(Heathcliff)を思いうかべられるかもしれません。こちらは、エミリー・ブロンテ一家の暮らしたウエストヨークシャー(West Yorkshire)のハワース(Haworth)の村はずれで撮影したヒースです。
現在は博物館となっているブロンテ牧師館の裏手には、「嵐が丘」の舞台となった荒地ムーアが広がっています。エミリー・ブロンテ一は、自分の小説の主人公をその荒れ野に根をはるヒースのたくましさになぞらえたのではないでしょうか。
さて、今回、友人がヘザーを見に連れて行ってくれたのは、ブロンテ一家が暮らしたハワースの北東に位置するノースヨークシャー(North Yorkshire)のパンパーデールムーア(Pamperdale Moor)という場所。
きっと、その年によっても見ごろの時期は多少異なるのだと思われますが、今回は、いささか花の盛りをすぎていたとのこと。友人一家が前回訪れたときには、もっと色鮮やかな赤紫の花が視界の限りの大地をおおっていたそうです。
この日は、空一面白い雲におおわれていたのですが、空模様によっても、へザーの花の色合いは変わって見えるにちがいありません。また、へザーの原は、次の年の芽吹きをよくするために焼きはらわれることがあって、その痕跡も残っていました。けれども、その分を差し引いても、見事なヘザーのお花見ができました。今年は、すでにヘザーの花の時期は終わってしまいましたが、来年の夏、北イングランドへお出かけの計画を立てられる場合は、パンパーデールムーア(Pamperdale Moor)にも立ち寄られてはいかがでしょうか。パンパーデールムーアへのアクセスと駐車場についは、こちらのサイトをご参照ください。
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