「ハリー・ポッター」の魔法チェスを見に

公開日 : 2009年11月03日
最終更新 :

先週、パスポートを取りにエディンバラの日本領事館へ行ってきました。スコットランドの田舎歩きに行くときには、エディンバラの郊外をかすめて北上するものの、エディンバラの街を訪れるのは8年ぶり。

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さすが、スコットランドの古都エディンバラ、数百年の歳月を経ても変わらないお城や通りもあれば、

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現在、刻々と姿を変えようとしている通りもありました。

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2011年開通を目指して工事が進む路面電車のレール敷設工事。この工事のために街の道路は規制が厳しくて、日本領事館へ行くのもひと苦労。

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ところで、わが家からエディンバラまでは車で2時間半の距離。日帰りできないことはないのですが、せっかくだからスコットランドの山岳地帯ハイランドの古城見物へ行こうと1泊しました。ところが、翌日は、あいにくの雨。それも景色が雨でけむるほどの大雨だったので、ハイランド行きは断念してエディンバラの市内見物をすることに……。

雨にぬれないで見て回れる場所を思案しているうちに、ふと思いついたのは、スコットランド国立博物館(National Museum of Scotland)。映画「ハリー・ポッター」で、「魔法チェス(ウィザード・チェス)」(ハリーとロンが乗っかっている巨大な方ではなくて、魔法学校の1室で2人が対局している方のチェス)として出てくる「ルイス・チェスメン(Lewis Chessmen)の実物が、大英博物館と、このスコットランド国立博物館に所蔵されているはずなのです。ということなら、「魔法チェス」の実物を1度見ておくのも悪くないとスコットランド国立博物館へおもむくことにしました。

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1998年に完成したモダンな建物の中は、各所が吹き抜けになっていて、ゆったりとした空間の中に展示物が並んでいます。機能的で洗練されている上に、見学者がくつろげる設計のなされている快適な博物館です。聞くところによると、チャールズ皇太子のお好みではないらしいのですけれどね。

「魔法チェス」のモデルになった「ルイス・チェスメン」の実物は、入り口を入ったところにある10世紀から18世紀初頭にかけての歴史の展示室に展示されていました。(画像をクリックしていただくと拡大画像でご覧になれます)

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このチェスセットが発見されたのは、スコットランドの最西端に浮かぶルイス島(Isle of Lewis)の海岸に大嵐が吹き荒れた1831年のこと。大嵐が過ぎ去ったあと姿をあらわした石室の中から93個のチェスのコマが出てきたのでした。これらのコマは、セイウチの歯モースアイボリー(Morse Ivory)で出来ており、12世紀ごろにスカンジナビア半島で作られ、バイキングによってスコットランドにもたらされたものだと考えられています。(「ルイス・チェスメン」が発見されたルイス島のユイッグ(Uig)の海辺の景色を、個人ブログのこちらのページでご紹介しています。よかったら合わせてご覧ください)

スコットランドの過去を知ることのできる歴史的な展示物も豊富ですが、時代の先端を行く展示物も豊富で、その中でも、えっ!こんなところに、と思ったのは、こちら……。

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これ、クーロン羊のドリー(Dolly)です。世界で初めて哺乳類の体細胞からつくり出された、あのクローン羊。ドリーは、1996年にエディンバラ近郊のロスリン研究所(Roslin Institute)で誕生し、2006年に死亡。その誕生も、死亡も世界的なニュースになりましたが、死後、こんなところで、ガラスケースに入ってぐるぐる回っていたことは……。

館内では、その他にもスコットランドの歴史や文化、科学の進歩への貢献を物語る展示物の数々を見ることができます。ちなみに、電話の発明者グラハム・ベル(Graham Bell)や蒸気機関の改良で有名なジェームズ・ワット(James Watt)もスコットランド人。それに……。

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地階から6階にかけて各階にテーマごとの展示がされているほか、屋上にはエディンバラの街なみや郊外の田舎の景色を一望できるルーフテラスがあります。それぞれの階をじっくり見て回るには、たっぷり1日くらいの時間は欲しいところ。

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また、館内には、レストラン、カフェ、ショップなどもあり、大雨の日のエディンバラ観光にはもってこい。ここで1日過ごせば、なじみがあるようで、実は、よく知らなかったスコットランドの歴史や文化を目のあたりにすることができます。それに、これだけ充実しているにもかかわらず、入館料が無料なのも大きな魅力。大雨のため仕方なく訪れた博物館で思わぬスコットランドとの出会いができてラッキーでした。お天気の日でも、エディンバラ観光に時間のゆとりがある場合は、ぜひお勧めのスポットです。

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