田舎の獣医さんヘリオット先生の物語

公開日 : 2010年03月06日
最終更新 :

イギリスの田舎歩きが大好きです。その田舎歩きがさらに興味深くなる本に出会いました。今回は、わたしと同じくらい田舎歩きが大好きな友人が貸してくれたその本をご紹介します。

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この本の邦題は、「Dr. ヘリオットのおかしな体験」(集英社文庫)。英語の原題は、「All Things Wise and Wonderful」。著者は、ジェイムズ・ヘリオット(James Herriot 1916-1995)。北東イングランドのサンダーランド(Sunderland)に生まれ、スコットランドのグラスゴー(Glasgow)に育つ。グラスゴーで獣医学校を卒業後、獣医となり、ノースヨークシャー(North Yorkshire)のサースク(Thirsk)の町で晩年まですごす。

この本の舞台は、第二次世界大戦中の空軍の訓練地とヨークシャーのダロビーという町。愛妻をダロビーに残して空軍に入隊した獣医ヘリオット先生が戦闘機のパイロットになるために受けている訓練中の出来事や、訓練中に思い出した獣医になりたてのころのエピソードがつづられています。ヘリオット先生はじめ、その他の登場人物、出てくる地名などは架空のものですが、エピソードは、実際の著者の体験を基にして書かれたもの。

ヨークシャーの田舎の風景の描写を読むと、いかにものんびりとした美しい景色が目の前に広がるようです。そののどかな田舎を背景として、そこで暮らす人々、家畜やペットたちの日常生活はいたって穏やか。ところが、その穏やかな日常生活をひっかき回す事件がまき起こるのです。そして、何ともユーモラスで、時には、シリアスな展開をとげながらこの田舎の物語はつむがれていきます。いささか時代は古いものの、田舎の風景は今も当時も変わらず、そこに暮らす人々の日常や思いも、今に通じるものがあるような気がしました。

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田舎歩きに出かけて、牛や馬が放牧されている牧草地を横切ったり、農家の軒先を通りすぎたり、農家の人の姿を見かけると、「ハロー」と声をかけ合うことはあっても、実際の田舎暮らしについてはかかわることも、知る機会もありませんでした。ですが、この物語を読んでからは、田舎の野原でもくもくと牧草を食んでいる家畜たちのあいだで、平原や谷あいにひっそりと建つ農家の中でも、日々いろいろな出来事が織りなされているのだと思うようになりました。

サーチしてみたところ、ヘリオット先生による本は、多数出版されていました。その中でも、世界的なベストセラーになった最初の本は、「ヘリオット先生奮戦記(All Creatures Great and Small)上下巻」(ハヤカワ文庫)。この本は、映画や英国国営放送BBCのドラマシリーズともなり、人気を博したとのこと。そういうことなら、ぜひこの本も読んでみなければと思っているところです。

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