風邪に効く食べ物・飲み物

公開日 : 2011年01月13日
最終更新 :

先週の日曜日、イングランドの最北端ノーサンバーランド州(Northumberland)の丘アルウィントン(Alwinton)を歩きにいってきました。今年の12月イギリスは観測史上最も厳寒の新記録をうちたて(イギリスの12月の平均気温は-1℃。ということは、北イングランドの丘の上はさらにずっと低いということ)、新年を迎えてもまだまだ寒い日が続いているのでそれなりの覚悟はしていったのでしたが、やっぱり、一面の雪景色。

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しかも空の片端には青空がのぞいているものの、行く手をはばむ雪雲から常時突風が吹きつけてくるので、地面をおおう雪が雪煙となって舞い立つ様子は、まるで強風にあおられ地表に風紋の刻まれた砂漠の風景さながら。しかも、ピシピシ間断なく顔に当たる雪つぶてがが冷たいを通りこして痛いのです。日を照り返す雪原はほんのり青みを帯びて、その表面には風になでられて作られたウロコ模様や風化した岩石のような模様が浮んでいます。その風景は自然が造りだした現代アートのオブジェのようでそれはそれは美しいのですが、見とれて立ち止まっていると、体はどんどん凍りつき、指先の感覚もなくなってしまうので前進あるのみ。

雪の吹き溜まりでは新雪にヒザまではまり込んだり、新雪を踏んだと思ったらその下に積もっていた雪が凍りついていてすってんころりん。はたまた、雪の下は水が流れる湿地帯で、泥水の中にくるぶしまでつかってしまったりと、散々な目にあいながらも、都合4時間も雪の丘を歩き回ったせいなのか、そのあと、わたし、風邪を引きこんでしまいました。

というわけで、近況のご報告と前置きが長くなりましたが、今回の話題は、今年初めての「地球の歩き方」海外特派員ブログ今月のお題「風邪に効く食べ物・飲み物」です。にもかかわらず、実は、日本の生姜湯やおやゆなどといった伝統的な食べ物や飲み物は思い当たらず、わたしもひたすらごろ寝をして休養をとるという対処策をこうじているのみです。ですが、それだとブログ記事にはならないので、イギリスで一般的に風邪やインフルエンザにかかった場合に利用されている市販の飲み物をご紹介しようと思います。

1.ビタミンCの補給や風邪、インフルエンザの症状緩和に、「レムシップ(Lemsip)」

  現在は錠剤やカプセル、レモン以外のフレーバーも出ているようですが、典型的なレムシップは、粉状で一杯分の袋入りでレモン味。レムシップをカップに注ぎ、お湯を注いでかき混ぜて飲みます。生姜湯ならぬレモン湯といったところ。手もとに現物がないので、レムシップのパッケージはこちらのサイトをご覧ください。

2.子供の発熱には、炭酸ガスを抜いたコーラ

  イギリスのNHS(National Health Service)と呼ばれる国民健康保険は無料が建前なので(実際には、歯科治療や処方箋の発行など無料ではない場合もあります)、そうやすやすと解熱剤や抗生物質を出してはくれません。息子が発熱し、初めてイギリスのお医者に連れて行ったときに言われたのは、「こんなに熱があるのに厚着をさせてちゃあいけません。服は全部脱がせなさい」。「カルポル(Calpol)を与えて、気を抜いたコーラをたくさん飲ませるように」とのこと。カルポルとは、子供が飲みやすいように甘い味をつけたシロップ状の子供向け鎮痛剤。市販されていて熱の緩和や痛み止めに使われます。(検索してみたところ、コーラはアスピリンなどの鎮痛剤の場合だと効果を遅らせるらしいのですが、コーラに含まれているカフェインは、鎮痛剤の解熱効果を促進するのだそうです。また、わたしの命によって職場の同僚に炭酸を抜いたコーラの効用を聞きまわってきた夫によると、コーラには胃腸を整える働きがあるとのことです)

3.栄養補給には、「ルコセイド(Lucosade)」

  「ルコセイド(Lucosade)」はスーパーの清涼飲料水の棚に並んでいるグルコース (glucose ブドウ糖)補給のための飲み物。外観は、こんな感じ。オレンジ色をした甘めの炭酸入り清涼飲料水です。スポーツをする人々にも愛飲されていますが、風邪やインフルエンザ、その他の病気で食欲がない時に手軽な栄養摂取ドリンクとして利用されています。病院でも利用されていて、前夜から水分や食べ物をとらずに手術を受け、全身麻酔から目覚めた直後に、このルコセイドをあてがわれた経験があります。

その他、日本のように「首にねぎを巻く」というのは耳にしたことがありませんが、風邪やインフルザのために呼吸するのが難しい場合、呼吸を楽にする「オルバスオイル(Olbas Oil)」が使われています。のど飴のように舐めたり、吸引したり、ティッシュにしみこませてあったり、入浴時に浴槽に注いだりとさまざまな製品が出ているようですが、オリジナルは小瓶入りのもの。ティッシュやハンカチに垂らして嗅いだり、胸にすり込んで呼吸したりして鼻腔内に取り込みます。首にねぎを巻くのと同様、独特の臭気があって、すっきりとした爽快感が広がります。また鎮痛作用もあるので、皮膚に傷のない場合の外用鎮痛薬としても使用されます。

ところで、イギリスでは去年の秋から新型インフルエンザが猛威をぶり返し、去年の10月からのインフルエンザの死者が50名にのぼっています。インフルエンザの予防接種が受けられるのは、喘息などの疾患のある人々、妊婦さん、高齢者に限られていますが、それでも予防接種が不足している状態です。インフルエンザの患者が多いので、予定されていた手術を延期してインフルエンザの患者の対処にあたる病院も多くなっています。この冬、イギリスへ旅される方は、インフルエンザの予防接種を受けてお出かけになるのがいいかもしれません。

今回の記事は、ギブソンみやこがお届けしました。

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