光のカーテンゆらめくスコットランドウォーク
今日の天気予報はくもり。ところによってはにわか雨になるでしょう、とのことなので、今日も、やっぱり、高い山にのぼるのは断念し、800メートルくらいの山にのぼろうと、峡谷グレンシール(Glenshiel)にむけて出発。すると、お日さまの光が......。
これはさい先がよいとよろこんだのもつかのま、薄いもやのような雲が空をおおって朝日をおぼろににじませる前方の湖畔に姿をあらわしたのは、スコットランドの名城のひとつエレンドナン城(Eilean Donan Castl)。あわい光をまとった古城のたち姿が何ともはかなげで美しかったのですが、素通り。写真に撮れるほどの明るさではないと判断したのでしたが、今から思うと、やっぱり撮っておけばよかった~。などと、先に立たない後悔をしているまに、わたしたちを乗せた車はグレンシール(Glenshiel)の峡谷へとやってきました。
「さあて、どっちにのぼる?」
夫イアンが指さしたのは、
こちら(↑)と、こちら(↓)、
「う~ん。こっちにしよう~」
ええっ。わたしに聞いたのじゃなかったの~(まあ、いつものことだけど)。というわけで、今日は、わたしたち、へザーのお山Sgurr an Airgidにのぼることに。(スコットランドのハイランド地方の地名、スコットランドの古語ゲール語であることが多く、どうにもカタカナ表記できないなんてことも。なもので、カタカナ表記は、ネットの日本語表記をサーチしてもっとも信憑性のあるものを選んで記載しているのですが、Sgurr an Airgidについては日本では知られていないようで見つけられませんでした。というわけで、Sgurr an Airgidの発音を原音で聞いてみたい方は、こちらのサイトのタイトル「Sgurr an Airgid」の右にあるスピーカーのアイコンをクリック)
道路ぎわの駐車場に車を乗りつけると、となりに1台、そして、わたしたちのすぐあとにもう1台やってきました。それだけ。こりゃ、また、このひと山、わたしたち一家で独占だ~。な~んで思って身支度をしていると、となりに乗りつけてきた車から降りてきた50代半ばと見える男性が話しかけてきた。
この陽気なおじさんグラハムさん。何でもイギリスの南端ドーセットから夫婦で休暇でやってきたのだけれど、未経験の山歩きをぜひしてみたいとのこと。奥さんは山登りには興味がないので宿で待っているのだそう。ふ~ん。さぞ、退屈なことだろう。などと思っていると、わが家と足なみそろえて歩きはじめたグラハムさん。なんか、道連れを見つけてラッキ~♪みたいな調子なんですけれど。
というわけで、今日は、この山、わが家プラスあと1人で独占ってことか~。と思っていると、ふだんは追いぬかされても追いつくことなんか滅多にないわが家が3人連れのウォーカーに追いついた。ってことは、この方々が駐車場の先客の車でやってきた人々のはず。
駐車場に車はとまっていても、ほとんど人影を見かけないのが常なのに、まあ、今日はなんてこと~。同じ駐車場に車をとめた全員が顔を合わせるなんて。それに、あれこれ話をはずませることに。その話から、3人連れの1人は、この近くのB&B(民宿)のオーナーで、20代のカップルはリトアニアからやってきた泊り客であると判明。
さてさて、こうしてしばらく大きな編隊をくんでだべりながら歩いていたわたしたちでしたが、そのうちあまりお言葉が達者ではないリトアニアのご夫婦とガイドのB&Bのご主人が遅れをとりはじめ、そのうち姿が見えなくなって、もしかしたら下山されたのかなあ~。というのも、霧のような細かな雨がほほをぬらしはじめ、空にはどこをさがしても青空の切れはしさえ見あたらないしまつ。
ですが、まあ、わが家にとっては、ここでひき返すほどの雨ではないもので、そのまま先に足を進めていたところ、あたりが妙に明るくなったなと思ったら......。
光のカーテンが舞いおりてきて、地上の谷間を照らしはじめたのでした。
そのあわい日ざしにけむる緑の風景の美しいことと言ったら。
その後も、てっぺん近くまで、小雨はやんだかと思うと、またふりはじめるという移り気な空もよう。薄日もさしり、くもったり。なもので、ときに幻想的な風景が目の前にたちあらわれてくることも......。
ほんとうに目の前にある風景なのかななんて思えてくることも......。
ですが、このあたりから間断のな暴風雨に。
でも、そんな荒涼とした景色の岩かげには、ひっそりと咲いているこんな可憐な花の姿もありました。
ついに、てっぺんに登頂。
あたりは、まっ白......。晴れた日にここからどんな景色がのぞめるのかは不明。それに晴れていたらここでお昼にしたいところなのですが、凍えるような寒さと風と雨とでそどころではありません。
風雨がもう少しましなところまで下山して岩かげに身をよせ、寒さに震えながらおにぎりを食べていると、
なんと、B&Bのオーナーとリトアニアのカップルの姿が......。
下山しちゃったわけじゃなかったんだ。でも、それにしては時間かかってるよねえ。などと言いながら、手をふるわたしたち。てっぺんを目ざしてのぼっていく3人を見送ると下山支度にとりかかりました。
くだりものぼり同様、雨がやんだりふったりの空もよう。イアンは、そのたびに防水ジャケットを着込んだり脱いだりするもので、「なんで脱ぐとふってくるんだ~」と嘆くのです。じゃ、脱がずに着てればいいじゃん。と思っていると、行く手の厚い雲に割れめができて......。
その割れめがみるみる大きくなって、
地上の景色を輝やかせはじめたのでした。
このさらに左手へも、あふれるばかりの光がふりそそいで......。
スコットランドの大自然が書くシナリオには、その劇的な変化に目をみはらされることがしばしば。
山の斜面のヘザーの赤紫色も明るみをまし、
下山するわたしたち一行のお出迎えをしてくれる姿も......。
もう地上はすぐそこ。
でも、やっぱり、向かいの山のてっぺんには、ミストがかかってるなあ~。
と思って、駐車場までくだりきり、下山してきた山のてっぺんを見あげると、
青空を背景にはしているものの中央わずかに右手のてっぺんのさきっぽも白い綿帽子をかぶっています。B&Bのオーナーさんとリトアニアのご夫婦は、今どのあたりを歩いているのかなあ~。
それから、わたしたち、ドーセットのグラハムさんとも別れを告げて家路についたのでありました。
最後にもうひとつ、同じ日の夕刻に目をみはる風景に出会いました。それは、夕食後、カイルオブロハルシュのコープへ切れたミルクの買い出しに出かけたときのこと。
スカイブリッジをのぞむ西の空
夕焼けではないけれど、明日のお天気をうらなうかのような光景だとわたしには思えたのでありました。
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