フェミニストという生き方

公開日 : 2012年04月25日
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先日ハノーファーで、著名なフェミニストであるアリス・シュヴァルツァーの朗読会がありました。28歳のときミニスカートでサルトルにインタビューしたブロンド娘も、今年70歳。1969年より5年間フランスに住み、女性解放運動に目覚めました。1974年にドイツに戻ってから、ドイツでの女性解放運動の旗振り役に。1977年には「エマ」というフェミニストの雑誌を創刊し、現在でも年4回発行しています。昨年「履歴書Lebenslauf」という自叙伝を発行するなど、著書も多数あります。

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講演会では「20世紀後半のフェミニスト運動は、多かれ少なかれすべての人に影響を与えた」と力説。何か嫌なことがあったら「物事を真剣に考えすぎないで。ぱたんと扉を閉じて、食事に出かければいい」とアドバイス。「大事なのは自分が誰か知ること」。ポルノや暴力に反対し、女性の経済的自立が実現できる政治を目指して活動してきました。70年代には「中絶禁止」に反対する運動をメインとしてきました。当時は夫が妻の仕事場にでかけ「妻が家事をしない」と訴えれば、本人の了解なしに解雇できたそうです。現在は、セクシーでなければならないという女性像を危惧しています。

しかし現在は、反対に男性が生きにくい世界になっており「本物の男になるためには、本物の女が必要。でないと男ではなくただの人になってしまう。男らしさを証明するすべを知らないから暴力に走る恐れがある」とのこと。女性が強くなったから、男性は立場がないのは日本もドイツも同じようです。

観客は400人近くおり、大半は女性でした。若い人から年配者まで幅広く、中には車椅子の人もいました。会場には一体感が漂い、みんな同志として一緒に時代を生き抜いてきたという印象をうけました。朗読会の後、参加者たちは「すごくよかった」と興奮しながら感想をいい合い、著書が飛ぶように売れていました。サイン会は長蛇の列でしたが、シュヴァルツァーはひとりひとりに話しかけながら丁寧にサインし、ファンは大感激。シュヴァルツァーのポリシーには賛否両論があるけれど、女性に元気を与えていることが事実です。

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ドイツでは、同じ仕事をしていても女性の方が賃金が低かったり、昇進が遅かったりとヨーロッパの中でも男女同権が遅れているといわれています。時短勤務が認められているため、かえってそのために、子持ち女性は働き続けてもキャリアコースから外されることがしばしば。しかし女性であるクリスティナ・シュレーダー家族大臣は、大手企業の管理職の女性の割合を法的に定めることに反対し、議論が巻き起こっています。女性の社会進出や、男女同権は勝ち取るべきもの。シュヴァルツァーは「戦うこと、生き延びること、生きることは楽しい」と、女性たちを励ましています。

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