小鳥の声がBGMです。湖のほとりのメジロカフェ

公開日 : 2017年02月13日
最終更新 :

私がこのカフェを知ったのはハノイへ向かう機内誌でのこと。

ハノイに滞在するようになってから、

ハノイアンたちの日曜の朝カフェ習慣がとても気に入りましたが、

そこに自分が育てる小鳥たちを持ち寄って、

小鳥自慢に興じる人々が集まるカフェがあると知り、

そこがどこにあるのか、知りたくてたまらなくなりました。

そうして、やっと見つけた小鳥のカフェ。

そこに腰かけると、一瞬にしてその虜になってしまいました。

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そのカフェは市内ティエン・クアン湖(Hồ Thiền Quang )のほとりにあります。

初めて訪れたティエン・クアン湖は、

絶好の観光地にあるホアン・キエム湖(Hồ Hoàn Kiếm)や、

西洋料理屋が多くある洒落た居住区のタイ湖(Hồ Tây)とは違い、

まさにローカル市民の憩いの場。

朝から湖で釣りをする親子や、

地元ムッシューたちが集まってはベトナム囲碁に興じる、

のどかなハノイの日常風景が広がっていました。

しかし、そのカフェがどこにあるのか、湖を散策したけれど見つからず

あきらめかけてタクシーを拾おうと通りに出たとき、

愛らしい小鳥のさえずりが聞こえ、ついそのカフェが現れました。

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Café と言っても、

おしゃれな店構えのある立派なものではありません。

屋外にプラスチックの椅子とテーブルを並べ、

中央に竿を並べた台が置かれただけの簡素なものです。

1月下旬のこの日の気温は少々冷え込み15度前後、

朝9時ごろではまだ寒く、小鳥はほとんどおりませんでした。

それでも、ベトナムコーヒーを注文して眺めていると、

徐々に人が集まり始め

10時になるといつしか台が小鳥でいっぱいに。

このカフェは大切に育てた小鳥自慢の場所。

カフェが飼っている鳥ではありません。

お客さんがバイクや徒歩で現れて、

それぞれ持ち寄った小鳥を台に掛けていきます。

その小鳥はすべてメジロで、

美しくさえずる姿がとても愛らしいのです。

bird cafe 3 cage&man.jpg

いかに美しい声でさえずるかが大切らしく

時々、かごを入れ替えては鳴き具合をみています。

そのメンバーは男性ばかり。

熟年のみならず若い20代後半から30代も多く、

西島秀俊さん風イケメンや井浦新さん風イケメンなど、

繊細で物静かな雰囲気の方々も。

うっかりどこを見てホッコリするのか間違ってしまうほど。。。。。

冗談はさておき、

熱いコーヒーをすすりながら

メジロたちが空に向かって喉を震わせて歌う姿を眺め、

そのさえずりに耳傾ける。

それが、こんなに幸せな気持ちにになれることだとは。

ハノイアンはとてもロマンティックで風流だと思いました。

bird cafe 4 chat.jpg

しかし彼らは熱心です。

笑いながら仲間をからかい、自分のメジロを自慢しているようです。

私が読んだその機内誌には、

メジロが美しい声でさえずるようになるために、

時間をかけて育てていくことの苦労が書かれていました。

それはそれは自慢のメジロなのです。

私が写真を撮らせてください、とお願いすれば笑顔で許してくださって、

それほど大切に育てたメジロなら、

こわがらない距離でシャッターチャンスを狙わねばと気遣います。

bird cafe boy 5.jpg

しばらくすると、強者が登場です。

自慢のメジロを持ってふらっと少年が現れたのです。

ベテランのメジロ愛好家に臆することなく、メジロ自慢に参りました。

どのメジロたちも、布カバーに大切にくるまれて連れて来られるのがまたステキです。

bird cafe 6 vetnamese coffee.JPG

ベトナムコーヒーに緑茶がついて25,000VND(130円弱)

一般的にぬるいベトナムコーヒーには珍しい

ググっと熱い、いい温度で、

冬のハノイの寒い朝に合う温かさです。

お店の方に英語が通じず

私がベトナム語でモタモタとうろたえていると、

英語ができる方に助けられました。

それでも、

「シン・チャオ(xin chào)」こんにちは

「カフェ、ノン(cafe nóng)」温かいコーヒー

「カム・オン(cảm ơn)」ありがとう

の三つの言葉がとっさに出れば冬のローカルカフェも入れることでしょう。

筆談もとても素敵なコミュケーションになることと思います。

bird cafe 7 landscape.JPG

何かひとつのものを長く大切に愛することは素敵です。

でも、それはとても難しいことだと思います。

大事な小鳥が上手にさえずることができるまで、

丁寧にお世話をし、時間をかけて丹念に愛情を注ぐ。

そんなことに夢中になれる男性たちの姿はただそれだけで美しく。

このカフェが不思議なくらい居心地よかったのは、

繊細ながら広い心を持った人たちが自然に集る場所、

その穏やかさが独特の空気を作り上げているからでは、と思いました。

お昼近く、すこしずつお客が大切なメジロを台から降ろし帰り始め、

12時にはカフェは終わりとなりました。

また、みなさんは来週も集まるのでしょう。

街の喧噪の中にある水辺の緑と小鳥のさえずり。

ハノイらしさを心から感じることができたカフェでした。

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