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ベトナム/ホーチミン特派員ブログ 稲葉 伊巧斗

ベトナム・ホーチミン特派員が現地からアジア地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。

2020年8月 3日

サイゴン川の支流に浮かぶ絢爛豪華な道教寺院「浮珠廟」


サイゴン川の支流に浮かぶ絢爛豪華な道教寺院「浮珠廟」

新型コロナウイルスが猛威をふるっておりますが、事態が収束したら訪れてほしいおすすめのホーチミン市の観光スポットを紹介します。今回、私が紹介するのは浮珠廟(PHÙ CHÂU MIẾU)です。前回の福海寺 に引き続き、寺院紹介の第2弾となります。あいにくの雨天でしたが、新型コロナウイルスの収束祈願のために行って参りました。

浮珠廟(PHÙ CHÂU MIU)の基本情報

浮珠廟(PHÙ CHÂU MIẾU)はサイゴン川の支流でタンソンニュット空港の東方を流れるヴァムトゥアット川(旧ベンカット川)の中州にある道教寺院です。川の中州に建てられているため、別名「Miếu Nổi」(浮かぶ寺院)とも呼ばれています。住所でいうと、ホーチミン市のゴーヴァップ区(Quận Gò Vấp)にあります。浮珠廟はオフィシャルのウェブサイトがないので、寺院の成り立ちなどについてはっきりしたことはわかりません。一説によると、約300年前に地元民が川の平和を願い水の神様を祀る目的で建てたのだそうです。そのあと、時代を重ねて寺院はすっかり荒廃してしまいましたが、1989年中国系ベトナム人の Luc Cau氏が私財を投じ、地元の人々を動員して寺院を再建し、現在の姿になったということです。現在では遠方からもバスツアーで参拝客が訪れる人気寺院となっています。

浮珠廟(PHÙ CHÂU MIU

・住所: 420/2 Nguyễn Thái Sơn, Phường 5, Hide, Phường 5 Gò Vấp Hồ Chí Minh(船着場の住所)

・拝観時間: 8:00~18:00

・入場料: 無料 ただし、船着き場と浮珠廟を結ぶ渡し船の往復運賃1人1万ドン(約50円)が必要

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■川岸の船着場からボートに乗って浮珠廟へ

浮珠廟は川の中州にあるため、川岸にある船着場から船に乗って行かなければなりません。船着場には「水龍宮」と呼ばれる小さな寺院も隣接していますので、雨宿りを兼ねてその水龍宮でまずお祈りをすることにしました。

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水龍宮と呼ばれるだけあって柱には昇龍の彫刻が巻きついています。

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線香の煙と香りが立ち込める堂内でお祈りをしてから、ボートに乗り込むため船着場に移動しました。私が訪れた日は横殴りの雨が降っており、川の水かさも増しているため、桟橋につながれたボートは左右に大きく揺れています。そのような状況でボートに乗り込むのはなかなかスリリングでした。雨合羽姿の参拝客が順番に船頭さんの手をとってボートに乗り込んでいきます。ヴァムトゥアット川はそれほど大きい川ではないので、船着場から中州にある浮珠廟まではほんの数分です。雨で視界が悪いなか、徐々に浮珠廟がその姿を現し始めました。

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浮珠廟の入口にあたる中州の先端部分にボートが着岸したのを確認して、乗船時と同様に参拝客が次々と船頭さんの手をとって桟橋に降り立ちます。そこから手すりもない急な階段を上がるとすぐに浮珠廟の正門です。正門の奥には浮珠廟の本堂が見えます。正門付近では参拝を終え帰りのボートを待つ人々が記念撮影をしているため、かなり混雑していました。浮珠廟は小さな縦長の形状をした中洲(2500平方メートル)の上に建てられていて余分なスペースはないため、船着場に近い正門付近は乗船を待つ人々、下船する人々、記念撮影する人々でごった返しています。くれぐれも川に落ちないように気をつけてください。

■色鮮やかな装飾で彩られた絢爛豪華な本堂へ

躍動感のある龍の彫刻が瓦の上に数匹鎮座する立派な正門を見て期待が高まります。正門を通り抜け、十数メートル進むと浮珠廟の本堂です。本堂の中に足を踏み入れてまず最初に感動するのが、壁や天井に施されている色彩豊かな装飾です。龍や魚、亀といった水にまつわる生き物の姿が陶器の破片を組み合わせて描かれています。頭上には参拝客の願いを託した何百もの巻線香が整然と吊り下げられています。そして、本堂の主役はなんといっても道教の数々の神様像です。私自身、道教については不勉強のため、個々の神様について詳しく紹介することはできませんが、前回紹介した福海寺の玉皇殿 の神様の像に比べると迫力の面では劣る一方、神様の数の多さと絢爛さでは勝っていると思います。また、前回の玉皇殿は写真撮影禁止でしたが、今回の浮珠廟は写真撮影が可能です。お祈りを捧げる参拝客の邪魔にならない程度に写真をいろんな角度から撮ってみてはいかがでしょうか。この本堂が浮珠廟観光の目玉といっていいでしょう。

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観光スポットとしての浮珠廟の醍醐味

本堂の側面の出口を出て通路を挟んで向かい側には、「龍母宮」と書かれた小さなお堂が建っています。アーチ型の入口と壁面に描かれた魚の絵がかわいらしく、おとぎ話の浦島太郎に出てくる竜宮城を想起させます。ほの暗く神秘的な雰囲気の本堂に比べて、龍母宮の中は陽光が差し込んで明るく、絢爛な装飾を間近で見ることができます。

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浮珠廟の本堂と龍母宮の間の通路を奥に進むと、フーティウ(Hủ Tíu)などの麺料理が食べられる食堂があります。私も何か食べようと思い店に入りましたが、すでに品切れでした。ベトナムでは一般的に寺院に参拝する時間帯は早朝が多く、この食堂もおもに早朝に着いた参拝客の朝食用として利用されているようです。食堂の周囲には、亀やなまずなどを販売する露店が並んでいます。これらは土産用に売られているのではありません。多くの参拝客はこれらの生き物を購入しては、上述の龍母堂の脇からヴァムトゥアット川に放していました。生き物を自然に帰してあげるという善行をすることで自分たちに幸運が巡ってくるように祈るのだそうです。私も今回の浮珠廟参拝の最後に、数匹の小亀となまずを川に帰して帰路につきました。わずか2500平方メートルの小さな中州の上に建てられた浮珠廟ですが、このような立地の寺院はほかにそうありません。浮珠廟の魅力は、ホーチミン市内でありながらわざわざボートで川を渡って参拝に行くという冒険的要素です。そして、そんな面倒な思いをしてまでも来てよかったと思える寺院の絢爛豪華な装飾も見事です。晴れた日に必ずもう一度訪れたいと思いました。

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    ホーチミン特派員
    稲葉 伊巧斗
    ルポライター近藤紘一さんのベトナム関連の著作に影響を受け、ベトナム移住を思い立つ。2012年~2014年まで日本語教師としてハノイとホーチミンに赴任。帰国後、大学院修士課程、専門学校勤務を経て、2020年再びベトナムに移住。現在ホーチミン市内の大学にて講師として働きながら、ベトナム人の奥さんとともに子育てに追われる毎日を送っている。主にホーチミン市を中心にベトナム南部の魅力を歴史的背景もふまえて発信していきたい。 DISQUS ID @disqus_nKzpgmpqcx

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