リアル「ターミナル」in 成田

公開日 : 2009年12月10日
最終更新 :

トム・ハンクス主演の「ターミナル」という空港を舞台にした映画をご存知ですか?

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主人公は東欧の小国クラコウジア出身。亡くなったジャズ好きの父親の最後の願いを叶えるため米国に到着したところ、祖国でクーデターが起こり、一時的に国が消滅した状態になりパスポートも無効に。祖国ではクーデターで帰国もできず、かといってこの世に存在しない国の国民となってしまった彼は米国に入国することも許可されず、空港の制限エリア内にて立ち往生、空港内で生活を始める…というストーリー。

そこで様々な人々と出会い、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ演じるフライトアテンダントと恋に落ちたり…という人間ドラマが展開されるのだが、それはおいておいて。(ご興味があればDVDが出ているので観てみて下さい)

この映画「ターミナル」を地で行く人が現在、成田空港の制限エリア内に滞在(?)しています。彼は中国・上海出身の人権活動家・馮正虎さん。日本から中国への入国が8回も拒絶され、日本へ強制送還となった馮さんは、中国政府の不当処置に抗議のため日本への入国も拒否。一種の政治難民となってしまった彼は11月初旬から成田空港第一ターミナル南ウイングの制限エリア内で籠城生活を送っています。

12月10日現在、すでに空港生活37日目。

さらにその様子をTwitterを使ってリアルタイムで全世界に向かって配信しており、なかなかこまめに更新しています。

http://twitter.com/fzhenghu(中国語)

日本から強制送還されるのではなく、自分の国から外国に「追放」でもなく「強制送還」されるというのは聞いたことがありません。通常「強制送還」といえば外国→自国というルートのはず…なのですが。別に馮さんは海外に亡命したいわけではなく、自分の家に戻りたいだけなのです。このリアル「ターミナル」状態となった馮さんには世界中のメディアからのインタビュー申し込みが殺到しているとか。

「今日はカナダの記者の取材だった。来週はドイツと英国の記者が成田空港に取材に来るそうだが、電話ではメディアの名前は聞き取れなかった。まあ来たら分かるだろう」と意外にのんびりとした様子。

かと思うと「病気で倒れてしまった。熱が高い」など、苦しい空港生活の様子も漏らしたり。

もちろん日本のお役人もこの状態を傍観しているわけではなく、事態の打開に動いている…ようです。「日本の役人・米田さんが訪ねてきた」とありますが、一体どの省の方なんでしょうか?(By Twitter)

人権活動問題に敏感な香港人がこのような事態を放置するはずもありません。

12月3日、香港市民支援愛国民主運動聯合会(HK Alliance in support of Patriotic Democratic Movement of China)の主席と副主席、「我要回家運動(うちに帰る運動)」の牧師などが日本へ飛び、成田空港で馮さんと面会。差し入れをして、全面的な支持と早期解決への協力を発表しました。同会は中国政府が自国民の権利を侵害しているとして即時帰国を要請するため500冊の冊子を作成、搭乗客に配布したとのことです。

馮さんが1日も早く故郷に戻れることを願っています。

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