粉ミルクを巡り中国人と香港人が大揉め

公開日 : 2013年02月07日
最終更新 :
筆者 : 武田信晃

 タイトルにあるように、なんで香港人と中国人が粉ミルクで戦っているの? と思われると思いますが、赤ちゃんをもつ香港のお母さんには大問題となっています。というのは、中国人が香港の粉ミルクを買い占めて、粉ミルクが売り切れる店が続発しているからです。香港政府は1人2缶までとしたり、鉄道会社は車輌内に持ち込める最高重量を少なくするなどの対策を取っています。会員に対する優遇特典などを実施して、香港人、中国人どちらにも納得してもらえそうなことをする小売店もあります(いまや小売店には粉ミルクに関する注意事項の張り紙だらけ)。

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 背景ですが、

1、2003年まで、中国人はビザを申請しないと自由に香港にくることはできませんでした。しかし2003年に発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)で、疲弊した香港経済を活性化させるため一部の中国の都市に住んでいる住民に対して、個人旅行する際にビザの規制を緩和します(それでも香港に来るにはパスポートが必要)。これで香港との行き来が容易になりました。

2、2007年に人民元の価値が香港ドルを上回ったことと、中国のインフレで生活必需品の一部は香港の方が安くなりました。隣街の深センから税関を超えて買い物をする人が増加します。商品を買い付けて中国で売る並行輸入をして、ひと儲けしようとする人が2009年ころから急増し、社会問題となりました。

3、2008年に中国の粉ミルクにメラミンが混入されていてそれを飲んだ赤ちゃんや幼児が死亡したり数万人の健康被害が報告されました。これを機に、中国人は自国製の粉ミルクを信じなくなりました。加えて中国人には外国製品信奉というメンタリティーも持っていることがあります。

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 粉ミルクが新聞のトップに(左)。十分に供給するので心配しないくださいという雪印の広告(右) 

 来週から旧正月に入るので多くの小売店は閉店します。しばらくの間はミルク騒動はやみそうにありません。

筆者

香港特派員

武田信晃

新聞社や香港現地邦人紙の記者/編集者を経て、フリーランス・ライターとして活動中。スポーツ、グルメ、エンタメまで幅広くカバーしている。

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