「九龍城砦」が舞台のコメディ、『九十九龍城』

公開日 : 2022年01月26日
最終更新 :
筆者 : 武田信晃

香港に「九龍城砦(Kowloon Walled City)」という違法建築の14階建て / 45メートル以下のマンションが集まったスラム街がありました。中国語では「九龍寨城」と書かれるこの場所は香港政庁、中国政府など誰の支配が及ばない無法地帯に近いものでしたが、唯一のルールは、当時近くに啓徳空港(Kai Tak Airport)があったためマンションの高さは14階までとされていた点です(それも一部では無視されていたようです)。無法地帯ですから、中国本土から逃げてきた人、マフィア、麻薬といったものから、食品工場、歯医者、床屋、一般住民などコミュニティとしての営みが見られる場所でもありました。1993年から94年にかけてついに取り壊され、今は公園が整備されています。(下記の写真撮影:清水俊洋)

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今回紹介する『九十九龍城』という舞台は、何らかのパラメータの掛け違いで九龍城が今も残り続けているという夢想の世界を描くコメディです。京都に本拠を置く劇団のヨーロッパ企画の第40回の公演で新型コロナウイルスの影響もあり2年ぶりの講演となります。

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九龍城砦の内部だけで繰り広げられる舞台なのですが、「魔窟」なので、屋上に住む人、刑事、肉屋、踊り子、マフィア、大家、郵便配達など、クセのある多彩な人物が登場。いろいろな絡み合いながら話が展開されていきます。筆者も舞台を見る機会がありましたが、終始笑っていました。また、劇中には「彌敦道(Nathan Road)」というセリフがあったり、香港の文化的背景などを理解している人なら、ツボをつくようなものが散りばめられてので、香港好きにはたまらない舞台だと思います。

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京都と東京での公演が終了し、今後は広島、福岡、名古屋、魚津、高知、砥部、大阪、横浜など全国各地での公演が決まっています。今、観光では香港に行けないので、香港を舞台としたこの講演をみて、暗くなりがちになる新型コロナウイルスを笑い飛ばしてください。

筆者

香港特派員

武田信晃

新聞社や香港現地邦人紙の記者/編集者を経て、フリーランス・ライターとして活動中。スポーツ、グルメ、エンタメまで幅広くカバーしている。

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