さよならアラビック

公開日 : 2000年03月28日
最終更新 :

夏が近づいてくるとバスやドルムシュ(乗合タクシー)に乗るのが憂鬱になる。トルコ人の汗の臭いが鼻につくからだ。

別にトルコ人に限った事じゃないのだけれど、羊中心の食事のせいなのか、この国も夏にはかなり臭う国である。トルコのように貧富さが激しいと、平均=普通とは言えない。育った環境にもよるから一概に言うのは難しいけれど、例えば私が最初ホームスティした家庭では、風呂を沸かすのは1週間に1回だった。その他の日は、さっと体を拭くのだ。当然、夏は金髪碧眼の可愛い娘達の体臭までかなりのものになってくる。日本人がトルコ家庭にホームスティして一番もめやすいのはやはり風呂関係であるらしい。私もお風呂回りの単語を真っ先に暗記し、お風呂に入りたい!!!と懇願したのを今となっては懐かしく思い出す。

さて、一般の人は臭わない人も臭う人もいるとして、これがお金を払った先のホテルの従業員やタクシードライバーだと思わず不機嫌になってしまったりする人もいるだろう。トルコ人も別にそれをいいと思っていたわけではないらしい。新しく可決された法律は、新聞を派手に賑わした。

ドルムシュ運転手にネクタイ!車の中では俺が王様タイプの多い職種である。出稼ぎにきた地方労働者であることも多く、シャワーの習慣がある人の数も少なめ。その彼等に、ひげを剃り、ネクタイを締めて、自慢の車からは宗教的言葉のかかれたものを全てはずして、そして運転中がんがん鳴りっぱなしだった彼等の愛するアラビック音楽を禁止する新法である。ドライバー達は声を揃える。「考えられない、そんな事!」

アラビック音楽の大御所歌手が正論で反発した。「もちろん公共の場所で望まない音楽を無理に聞かされることは苦痛であり、法によって制御されてもいいと思いますよ。しかし、それなら全ての音楽を禁止すべきだ。」

アラビック音楽を愛する人々のトルコの中での位置付けがわかってくる。ドルムシュの運転手が紳士に変貌するのを強制する法を、笑いながら歓迎した旅行業者の一人である私だけれど、この意見を読むにつけ少し考えさせられてしまった。

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